Mendelssohn 劇音楽「真夏の夜の夢」/交響曲第4番イ長調「イタリア」
(オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団)


PIGEON DISC GX-230 Mendelssohn

劇音楽「真夏の夜の夢」(5曲)
序曲/スケルツォ/夜想曲/間奏曲/結婚行進曲
交響曲第4番イ長調 作品80「イタリア」

オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団

PIGEON DISC GX-230  1960年録音(EMI)  中古250円

 以前のコメントから10年経過、光陰矢の如し。久々、聴き直し、読み直しても印象に変化なし。変わったのは聴き手、2度転勤転居して、草臥れてきたことのみ。駅売海賊盤は処分しようにもなかなか難しい状況に至り(これはケースの爪が欠けているし)、音源そのものはパブリック・ドメインに至ってネットより入手可能となりました。もとよりBOOK・OFF@250入手のCD、たっぷり堪能して元はとったとするべきでしょう。LP時代廉価盤音源として登場しなかった、という理由からかクレンペラーとはずっと疎遠でしたね。やがて21世紀CD価格暴落とともに彼と出会って、どれも立派な演奏に驚くばかり。相変わらずMendelssohn開眼!状態には至っていなくて、10年前言及バイエルン放送交響楽団との「スコットランド」(1969年ライヴ)のこともすっかり失念しておりました。(幸い棚中CD残存)

 音質良好(駅売海賊盤でも)。明るく清涼清潔なザ・フィルハーモニアは、クレンペラーとの相性よろしく、重量感と厚み、スケール、やや粘性とコクを加え、聴き応えたっぷりサウンドであります。「真夏の夜の夢」は(珍しく)お気に入りであって、クーベリック、ジョージ・セル(2種)、ギュンター・ヘルビッヒ、アンドレ・プレヴィン、フリッチャイとか、どれも大好き・・・しばらく聴いていないけど。刷り込みはLP時代、ピエール・デルヴォー/ハンブルク州立フィルだっけ(既に記憶の彼方)

 そっと耳元に囁くように開始される「序曲」〜やがて抑えきれぬ歓喜弾けて、夢見るような憧憬に至ります。響きは華やか、重すぎず、急ぎすぎず、歩みは着実であります。スケルツォのテンポは遅め、細部明晰に描き込んで雄弁、堂々たる足取りはいかにも巨匠然とした響き。(5:29/他の演奏より一割ほど長い)夜想曲のホルンは絶品(思わず聴き惚れます)、ここの深遠さもクレンペラーの面目躍如でしょう。表情豊か、不安げ、かつ牧歌的な間奏曲を経、誰でも知っている歌っている「結婚行進曲」へ。

 賑々しくも立派な「結婚行進曲」は、意外と渋いサウンドにて朗々と落ち着いた雰囲気は説得力充分。Chopin の葬送行進曲(ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調第2楽章)、Wagnerの「真心込めて先導いたします」とか定番作品は大好きですよ。

 いつまでも苦手意識が抜けぬMendelssohnの交響曲〜いろいろCD処分して、カラヤンを標準として棚中残したのに(お恥ずかしい限り)一度も聴いておりません。クレンペラーの「イタリア」始まりました。第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」は湧き上がるような愉悦を感じつつ、足取りはしっかりと急がず、細部忽(ゆるが)せにせぬ落ち着きを感じさせます。テンポも気持ち遅め。第2楽章「アンダンテ」は暗鬱、しかし意外と淡々として大仰なる表情付けに非ず。

 第3楽章「コン・モート・モデラート」は悠々として余裕があり、オケの淡彩な美しさが際立ちます。終楽章「プレスト」もリズムをしっかり刻んで、ノリを失わない(「真夏の夜」に於ける「スケルツォ」同様の印象)、そして急がない。こぶりな交響曲、みたいな印象はかなり変化して立派な風情漂いました。なんとかMendelssohn 苦手意識払拭しなくては。

(2013年8月30日)

 Mendelssohnは苦手、なんて常々公言しているけど「真夏の夜の夢」は好きだなぁ。有名なるヴァイオリン協奏曲も好きだし、無言歌も珠玉のような旋律が胸に染みます。ようはするに交響曲が苦手というだけのこと〜これも、最近、御大クレンペラー/バイエルン放響「スコットランド」の激暗壮大演奏ですっかり見直したところ。

 いい加減、海賊盤中古なんて、また叱られるかも知れないけど、これ音も悪くないし、なんていっても250円ですから。ヘルビッヒ盤でのシュターツカペレ・ベルリンは深い、ふか〜い響きに魅了されたが、クレンペラーもなんとも言えぬ貫禄に充ちた表現で一歩も譲りません。

 フィルハーモニア管は、明るくて歯切れが良くて、軽快なる響きが魅力です。これがクレンペラーの芯のある、やや重量感のあるほの暗さと微妙にマッチしして素晴らしい。リズムはしっかりとして、やや重めか。呼吸が深い。先のドレスデンのような痺れるような深みはないけれど、これはこれであちこち名人芸が・・・・例えば「夜想曲」におけるホルンの軽快な音色、「スケルツォ」のフルートの歌心。弦のスッキリとした響きも悪くない。

 繊細なる「序曲」〜「スケルツォ」〜幻想的で夢見るように美しい旋律の連続だが、走りたくなる雰囲気あるでしょ。クレンペラーはしっかり噛みしめるように、一つひとつの音を大切に紡ぎます。けっして流さない。でも、流れを損なうこともなくて、独特の「揺れ」「節回し」(物理的な変化とは捉えにくいが)が感じられて、なんやら深い感じ。(代表例「間奏曲」)

 ワタシ「結婚行進曲」大好きです。Wagnerの「心を込めて先導いたします」と双璧の寿名曲。めでたくて幸せで、胸に込み上げる喜びが溢れます。ここでもなんやら一歩引いたような、若干の重い表現が滋味深い。トランペットも弦も、ホルンも抜群に上手い。これ、劇中では「幻の結婚式」なんでしょう?この曲が日本中の結婚式で使われているのも、じつは深遠なる意味合いがあるのか?


 「イタリア」交響曲を苦手とするのは、おそらくなんらかの先入観があるからでしょうか?出会いは・・・・そう、ショルティ盤でしたね。オケは失念した(イスラエル・フィル?)が旧録音。やたらとテンション高く、速いテンポでキンキンやっていた記憶有。爾来、この作品を聴く度その印象が・・・・どうも好きじゃない。名曲を名曲として楽しめないのは悩ましいものです。

 で、これまた有名なるクレンペラーさんの録音を初めて聴きました。これ、ややテンポゆるり目、というか、しっかり腰を割った表現で、コクもタメもある。堂々たるスケールの「イタリア」なんです。フィルハーニア管の明るく、歯切れの良い響きは、まさに「イタリア」向きでしょ。でもね、クレンペラーは、そうそう意味もなく走らない。

 遅い、とか、重すぎ、鈍重〜みたいな印象はありません。馬力とトルクのある高級車が余裕の走行しているみたい。急いた印象はないが、第1楽章で、じょじょにスピードを上げていく迫力には、感慨を深くして拝聴するしかない。

 第2楽章のなんとなしの暗さ、第3楽章のしっとりと落ち着いた、優雅な表情。終楽章「サルタレルロ」は明快なる(というか、なんというか)アクセントで表現されます。このしっかりとした足取りは、従来のMendelssohnの印象をかなり変えます〜というか、クレンペラーの演奏は昔から評価高いし、これが王道なのかな?(2003年4月18日)  


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written by wabisuke hayashi