Mendelssohn 劇音楽「真夏の夜の夢」(9曲)
(ギュンター・ヘルビッヒ/シュターツカペレ・ベルリン)


Mendelssohn

劇音楽「真夏の夜の夢」作品21,61(9曲)

ギュンター・ヘルビッヒ/シュターツカペレ・ベルリン/ファレヴィッツ(s)スプリンガー(ms)

演奏会用序曲「美しきメルジーネの物語」作品32
演奏会用序曲「静かな海と幸福な航海」作品27

クルト・マズア/ゲヴァントハウス管弦楽団

BERLIN CLASSICS  0093122BC 1970年代の録音  480円にて購入

 「浪漫派は苦手」なんて、自分で勝手に垣根を作っちゃいけない、と自省しております。Mendelssohnに対する苦手意識は「イタリア」「スコットランド」辺りの印象から来ていて、有名なるヴァイオリン協奏曲ホ短調だって、この「真夏の夜の夢」序曲だって、むかしから大好き。あまり有名でない室内楽なんかも悪くない。

 で、中毒のようにCDを探して、安かったら購入したい毎日でしょ?ちょっと地元のタワーレコードに寄ったら「半額処分」でこのCDがありました。ヘルビッヒはBrahms がとてもよくて、注目しておりました。どうしてこんなに話題にならないのか、不思議。ジミだからなぁ、演奏も存在も。

 このCD、今更ワタシが言うまでもないが、オケの滋味深い響きを堪能すべきものです。序曲〜そっと耳元で囁くように、木管の溜息と弦のトレモロが「あのね・・・」とお伽噺を語り始めます。その微弱音から奥が抜けるんです。もう夢見心地。オケが爆発すると、一気に幻想の世界に突入します。その奥床しくも、柔らかい味わいの深さ。

 「これほど美しいオケって、ここ最近経験しないなぁ。ベルリン・フィルなんかの超豪華激甘濃厚蜂蜜方面とは、世界が違うんです。田舎風非洗練野暮サウンド、と呼ぶほどではないが、これは『ローカル』でしょ」〜コレ、ヘルビッヒのBrahms を聴いたときのワタシの率直なる感想です。オケはベルリン響(旧東)。「これほど美しいオケって・・・」〜この思いはここでも変わりませんね。嗚呼、ワタシもますます地味渋系好みが深化してきているのか。

 でも、シュターツカペレ・ベルリンの音色って、もっと漆黒に底光りする高貴な特徴があって、ベルリン響より贅沢でしょう。でも、とにかく地味であることに変わりはない。木管の深く輝く響きには、目眩を覚えるほどの感動が存在します。アンサンブルは精密。特別なる変化ワザなどどこにも見られないが、必要にして充分なる(抑えに抑えた)歌を感じさせます。ザワザワと胸のなかで騒ぐ、怪しい魅力がある。

 そのあと「スケルツォ」でしょ。これほど艶やかな木管は聴いたことがない。リズムがしっとりと瑞々しく弾んでいて、弦の暗く奥行きのある表現(重心低い、しかも重すぎない)が、極上のビロードのような肌触りがあります。二人の歌い手はメルヘンに相応しい落ち着きを感じさせて好ましい。

 ワタシ「結婚行進曲」が大好きです。軽快に、派手派手しく、思いっきり元気に演っていただきたいもの。(たしか、これ劇中では幻想というか、夢なんですよね。いかにも結婚式に相応しい!)ヘルビッヒの表現は、中音域が厚くて金管が金属的にならない、素晴らしく立派な演奏でいつもの(自分の)イメージとは異なります。この「バカ騒ぎ」に感動を持ち込んじゃ、ね?

 フィナーレは合唱が静かに結末を語って、弦が再びの眠りに落ちるような静謐さで幕を閉じます。

 「Mendelssohnのスペシャリスト」と評価されるマズアの2曲。ファンの方々には申し訳ないが、オケと指揮者の技量の違いに愕然とせざるを得ません。リズム感が不自然で、いわば「ガチャガチャ」状態。ゲヴァントハウス管弦楽団も歴史と実力ある団体だけれど、アンサンブルの集中力も落ちて、これは録音の加減でしょうか。(2002年11月29日)


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written by wabisuke hayashi