Mendelssohn 交響曲第3番イ短調 作品56「スコットランド」/
交響曲第4番イ長調 作品90「イタリア」
(ウィリアム・スタインバーグ/ピッツバーグ交響楽団)


Warner 0264862 Mendelssohn

交響曲第3番イ短調 作品56「スコットランド」(1952年11月17日)
交響曲第4番イ長調 作品90「イタリア」(1959年4月4日)

ウィリアム・スタインバーグ/ピッツバーグ交響楽団

米Capital録音パブリック・ドメイン音源をネットより入手

 甘美哀愁な旋律を誇るヴァイオリン協奏曲ホ短調、憧れが溢れ出るような八重奏曲 変ホ長調、ウキウキとメルヘンな「真夏の夜の夢」etc・・・その辺りはお気に入りだったのに、肝心の著名なる「イタリア」「スコットランド」は(不遜にも)どこがエエの?的印象ばかり、Schumannも含め中期?浪漫派交響曲には苦手意識がずっと続いておりました。

 パブリック・ドメイン音源とはありがたいもの、LP時代からお気に入りでした。1960年)との再会から名曲を名曲として認識できるように。その後、バーンスタイン旧録音(1958/1964年)クレンペラーがダメ押しかな?そしてこのスタインバーグと出会いは続きました。スタインバーグ(そしてピッツバーグ交響楽団)は1970年当時、日本じゃ全然知名度はなくて、当時貧しい子供だった我が世代にとって廉価盤LPという選択肢(「運命」「田園」)しか存在しなかったから、その出会いが一生分の嗜好の刷り込みとなりました。

 「スコットランド」は1952年録音、最近音質を気にする似非オーディオ通(=ワシ)はこのところモノラル録音を敬遠しがち。これがほとんど気にならぬほど音質はけっこうクリア、例の硬質かつやや金属的に芯のある厚い響きはたっぷり堪能可能であります。当時の米Capitalって音質良いですよね。快速テンポ、飾りの少ない、テンション高いストレート系演奏。アンサンブルの精度は高いでっせ。鬱蒼としたスケールを誇る作品は(これに限らず)わかりやすい平易な旋律、出足スコットランドの荒涼悲壮とした風情から始まって、明るく終了するのもMendelssohnらしいシアワセな音楽でしょう。

 スタインバーグは粘着質にシミジミ歌う、といった個性とは無縁。オーケストラの響きも明るく、リズムのノリもよろしく全曲さっさと終わります。作品を数多く聴き込んでいないし、演奏個性に好みはないんです。第1楽章Andante con motoは淡々とさっくりとして、第2楽章Vivace non troppoは明るく懐かしい、快活な作品風情がスタインバーグに似合います。第3楽章Adagioは重くなりすぎず、終楽章Allegro vivacissimoにヴィッヴィド軽快、明るい爆発がやって来ました。陰影とか深みとかもったいつけたスケールに非ず、素っ気ないほどの推進力が快い。

 「イタリア」は1959年録音、音に広がり奥行きも出て、ぐっと鮮度アップ。第1楽章Allegro vivaceから躍動するリズム感、終楽章Saltarello; Prestoはイ短調、ほの暗い締めくくりなんだけど、激情に非ず。リズムはノリノリだから「スコットランド」より躍動する明るいイメージありますよね。スタインバーグの真っ直ぐな個性は「スコットランド」よりいっそう似合っていると感じました。(自主CD収録に余裕があったのでWagner「ジークフリート牧歌」1956年を入れておきました)

(2015年3月14日)


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written by wabisuke hayashi