MEDITATION(1)
Pachelbel
カノン
マックス・ポンマー/新ライプツィヒ・バッハ・コレギウム・ムジクム
Mozart
ピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467〜アンダンテ
イシュトヴァン・セーケイ(p)/ローラ/フランツ・リスト室内管弦楽団
DELIBES
バレエ音楽「コッペリア」〜夜想曲
ハインツ・フリッケ/ベルリン放送交響楽団(旧東)
Schubert
弦楽五重奏曲ハ長調〜アダージョ
バルトーク弦楽五重奏団/ミクローシュ・ペレーニ(vc)
Bach
管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV.1068よりアリア
ヘルムート・ヴィンシャーマン/ドイツ・バッハ・ゾリスデン
Mozart
クラリネット協奏曲イ長調K.622〜アダージョ
ベラ・コヴァーチ(cl)/ローラ/フランツ・リスト室内管弦楽団
Schubert
交響曲第8番ロ短調D759「未完成」より第2楽章「アンダンテ・コン・モート」
ヤーノシュ・コヴァーチ/ブダペスト・フィルハーモニー
Albinoni 協奏曲 作品9-2〜アダージョ
ルートヴィヒ・ギュトラー(tp)/キルチェイス(or)
Gluck
「オルフェオとエウリディーチェ」〜「精霊の踊り」
ヘルムート・リュッカー(fl)/ケーゲル/ドレスデン・フィルハーモニー
LASERLIGHT 15 686 5枚組 1,780円(中古・・・安いか高いかビミョーな価格)のウチの一枚
こんなサイトを数年間も継続してなんだけど、ちょっと音楽について、グズグズ理屈こねすぎか、と自覚することもあります。(既に倒産した)PILZ瞑想の音楽(1)(2) (3)(4)も久々に取り出したら、一気に痺れましたね。素直に”美しい細切れ旋律”に身を委ねるのも、時によろしいでしょう。こういった「ヒーリング系コンピレーション」CDは、素人騙しみたいな(高)価格で売られることもあるけれど、(価格さえこなれれば)気軽に気楽に聴ける選曲も悪くありません。ここでは演奏録音の質もなかなか。これは韓国製ですな。ヴィンシャーマンの演奏は、全曲所有済み。
録音は、どれも安定して聴きやすいものばかり。演奏家のクレジットがちゃんとしているのは当たり前だけれど、意外と(こういったCDでは)ないものなんです。
Pachelbel「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグニ長調」の第1曲である「カノン」は、端正なるスタイルの現代楽器で生真面目に演奏されました。(「ジーグ」は含まれず。もともとの録音にあったのかも不明)Mozart ハ長調協奏曲 K.467は、映画「短くも美しく燃え」で、かつて婦女子の紅涙を絞った名曲であります。イシュトヴァン・セーケイのピアノは少々さっくりし過ぎて、流したような印象でした。「リラクゼーション」のCDだからこれで良いのかも。
「コッペリア」はエエ感じの静けさだけれど、あっという間に終わって物足りない。Schubert 弦楽五重奏曲ハ長調〜アダージョは、選曲の目の付け所が見事だし、やや神経質なる清潔感と緊張がまったく素晴らしい。もっと、ゆったり甘い旋律の作品だと思うが、禁欲的で息詰まるような演奏。全曲、聴きたくなりますね。
「G線上のアリア」は、バスがピツィカートではないが、おおよそ馴染みのある現代楽器によるオーソドックスな演奏です。ま、もういったコンピレーションものに先鋭なる古楽器演奏を持ってきても意味はありません。Mozart クラリネット協奏曲イ長調K.622〜アダージョこそ「白鳥の歌」であって、ベラ・コヴァーチ(cl)は色気のある名手ですね。バックも極上です。先ほどのピアノ協奏曲より、ずっとアンサンブルが入念でしょう。全曲録音が欲しいところ。
「未完成」第2楽章はMEDITATION(瞑想)に相応しい優しさであり、演奏も入念なるアンサンブルに文句を付ける筋合いのものではない。但し、並み居る名演奏、に特別な個性を発揮する水準でもないか。Albinoniに於ける名手ギュトラー(tp)は、ワタシの贔屓筋であります。軽快で艶やかな音色が爽快です。トランペットの静謐さ、というのも一興でしょう。いつもながらの”哀愁の旋律”にも胸打たれます。
ラスト、硬派・ヘルベルト・ケーゲルの意外なるレパートリーは「精霊の踊り」であります。フルートがとてもジミであって、中間部のソロは少々深刻な味わいを持っております。(まるで日本の旋律みたい)どの演奏も、寄せ集め的違和感はありません。オフィスや作業場、喫茶店などに流すにはちょうどよろしい粒揃いの作品集でした。
(2006年9月29日)