Bach 管弦楽組曲第1/2番/ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調
(ヴィンシャーマン/ドイツ・バッハ・ゾリスデン)


Bach  管弦楽組曲第1/2番/ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調(ヴィンシャーマン/ドイツ・バッハ・ゾリスデン)
Bach

管弦楽組曲第1番ハ長調 BWV 1066
管弦楽組曲第2番ロ短調 BWV 1066
ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調 BWV 1050

ヴィンシャーマン/ドイツ・バッハ・ゾリスデン/パウル・マイゼン(fl)/インゴ・ゴリツキ、ミュラー・ブリンケン(ob)/クリスチャン・アルテンブルガー(v)/ヨハン・ゾンライトナー(cem)

LASERLIGHT 15 932(14 132) 1977年録音  5枚組2,350円(税抜)で購入したウチの一枚

 著名なる録音であり、DDD表示もあるが、おそらくは1977年のアナログ最末期の録音と類推。(LPで出ていたことがある。(p)1993を信じれば別録音)昨今流行の古楽器アンサンブルではなく、小編成によるキリリと清潔なる現代楽器となります。世評ともかく、ワタシの付近では意外なほど「古楽器は苦手」という人が多くて、”譲ってコレギウム・アウレウム迄”という声もありますね。ワタシは”無思想の思想”人間故”Bach だったら、なんでもエエけんね”的エエ加減音楽愛好家であります。

 「小編成によるキリリと清潔なる」アンサンブル〜演奏スタイルはこれに尽きて、付け加えるべき言葉はございません。かつて一世風靡した豊かで巨匠風演奏(戦前の異形巨魁なるスケールとまではいかぬとも、例えばカラヤン)とも異なり、もちろん切れ味鋭いリズム躍動(疾走?暴走?)する現代の個性豊かな世界でもない。あまりにフツウなる穏健派でもなく、かといって先鋭なる前衛でもない。ノーミソに連想される許容範囲でのスリムな演奏。誰もが許容できる清廉なる活力溢れます。

 4曲ある管弦楽組曲中、ワタシのお気に入りは第1番ハ長調であります。明朗なるオーボエの活躍し、まことに楽しげ歯切れ良くハズみます。ま、ほかの作品も皆そうなんだけど、どの楽章も適正なテンポ(あまりに速すぎず、異形にスロウ過ぎることもない)であって、しかも、独逸のオーボエ名手二人の技量に(ヴィンシャーマンの弟子筋ですか?)なんの不安もないのは当たり前でしょう。

 第2番ロ短調は有名なフルート協奏曲だけれど、暗く、重く演っていただくと、聴き手はツラいものです。パウル・マイゼンのフルートは技巧的に完璧で豊かなものだけれど、派手で華やかなものではありませんね。あくまで実直に、アンサンブルの一員として完全に溶け込んでいて、しかもたしかな存在感が〜ウェットではなく、ヴィヴラートも少な目〜ありました。通奏低音にファゴットを重ねているのか、小気味よいリズム感は出色であります。

 このボックスは5枚組であって、ブランデンブルク協奏曲1曲分収録オーバーした分がこちらに回っております。全曲中の白眉である第5番ニ長調は、史上初の鍵盤協奏曲であるとのこと・・・そんな余計なる蘊蓄別にして、チェンバロの妙技やら、フルートとヴァイオリン・ソロの絡み合いを楽しみましょう。

 マイゼンのフルートは先と同じような集中力を誇り、アルテンブルガーのヴァイオリンはしっとりとしたコクを感じさせるもの。いっそう穏健派の優雅なアンサンブルを誇って、余裕たっぷりと沸き出流る歓喜のの美しさであります。ゾンライトナーのソロは、テンポに(奥床しい)タメがあって、技巧を誇って走りすぎることはない。音色はやや金属的はあるが(1960年代のような)違和感はありません。

 第2楽章はさらりとリリカルであり、終楽章の舞曲風躍動はまさに”踊るよう”な愉しさが迸りました。 

(2006年6月23日)


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