Martinu 2台のヴァイオリンのための協奏曲/Symanowski ヴァイオリン協奏曲第2番 作品61/
2台のヴァイオリンのためのソナタ ハ長調 作品56
(アンドレ &ヤーガ・シヴィ(v)/ルドルフ・バルシャイ/RTBF交響楽団)
Martinu
2台のヴァイオリンのための協奏曲(1950年)
SZYMANOWSKI
ヴァイオリン協奏曲第2番 作品61(1933年)
アンドレ ・シヴィ(v)
Prokofiev
2台のヴァイオリンのためのソナタ ハ長調 作品56
アンドレ &ヤーガ・シヴィ(v)/ルドルフ・バルシャイ/RTBF交響楽団(ベルギー・フランス語放送交響楽団)
DISCOVER DISCD920161 1989年録音 $1.99で購入
おそらくは十数年以来の再聴。当時は新しい音楽、作品への興味は貪欲だったなぁ、いつもながら華麗なる加齢はノーミソの保守化、感性の劣化を自覚しております。RTBFというのはベルギーのフランス語放送局らしく、このオーケストラは諸行無常1991年に解散したとのこと。下の文書は1999年頃の更新みたいだから、このCDは15年以上のお付き合い、これだけ保てば立派なものですよ。シヴィ・デュオはポーランド出身ベルギーで活躍とのこと(ネット情報による)。
音質印象か、オーケストラの個性か、薄く、淡彩散漫に明るい響き(ソロも同様)。多作家Martinuにはこんな作品もあったの?Wikiにも載っておりません。”ラプソディックで旋律が楽しい、弾むようなリズムが生き生き”とは十数年前のコメント、18分ほど短い三楽章制の協奏曲であります。冒頭「英雄」風和音二発ぶちかまして、勇壮に明るく弾む第1楽章「PocoAllegro」。陰影豊かな旋律に、複数ソロのシンプル絡み合いというのもパターンでしょう。ソロに切れ味はあるけれど、やや線は細くて、音色は乾いた感じ。(6:50)
第2楽章「Moderato」は人懐こくも牧歌的な旋律に陰りが散りばめられる・・・(5:03)アタッカでそのまま第3楽章「Aregro con brio」へ。まるで西部劇(Copland風)のようなのびのびとした旋律が歌います。(6:55)そういえば1950年、西海岸(サンディエゴ近郊)の音楽祭向け「シンフォニエッタ・ラ・ホヤ」と同時期なんやな。細かい音型ソロ同士オブリガートしあっているような対話が繰り返され、アツくフィナーレへ。カラリ乾いた旋律リズム平易でわかりやすく、けっこう名曲也。
オーケストラはあまり上手くなくて、名手バルシャイはアンサンブルを整えて立派、乾いた響きの薄さは如何ともし難い、といったところでしょうか。
SZYMANOWSKIはけっこうウェットな旋律、神秘的劇的な作風、全曲3部切れ目なく20分続く作品也。アンドレ ・シヴィも絶好調の技巧キレ味を披瀝して(第2楽章カデンツァ(っていうの?)壮絶)、こうしてみるとMartinuってけっこう(それなり効果的に聴かせるといった意味で)難曲なのかも。ピアノも入っていますか?こちらオーケストラは雄弁、ラプソディック自在なソロと絡み合ってスケールも大きな、華やかなもの。ここが本CDの白眉でんな。
シヴィはクールな風情、凄みを利かせた!風に非ず、端正な姿勢を崩さないといったところ。
Prokofievの作品は、その後オイストラフなどで聴く機会もあって、すっかり馴染みました。乾き気味のオーケストラがないぶん、ヴァイオリンの個性がしっかり際立つ4楽章計15分ほど。制限された編成ものともせず、多彩な旋律リズム、響きの変化が続いて、例の乾いて辛口モダニズムは美しい、ほんまの名曲也。シヴィ・デュオは緻密正確な掛け合いを誇って、彼らの真価を理解するにはこれが一番でしょう。なかなかハードな一枚でした。 (2014年11月15日)
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DISCOVERは、かつてNAXOSで活躍したイランの指揮者・ラハバリが作った廉価盤レーベルとのこと。一時はどこのレコード屋さんでも@1,000で売っておりました。数枚買いましたが、選曲も演奏・録音もなかなか凝っていて安定した水準。但し、いまひとつ印象が地味なのは、これといったヒット作がないからでしょうか。ワタシ個人的にも、思い入れはあまりありません。
ロゴマークに「KOCH」が付け加わったものも見かけいました。もしかして、ありがちな業界再編で合併されたのかも。ちゃんと探していないせいか、以前ほど見かけないレーベルとなりました。
日本でもお馴染みのロシアのヴェテラン指揮者、バルシャイがバックを務めています。シヴィは夫婦なのか、兄弟姉妹なのか知りませんが、ポーランドのヴァイオリニストで、アンドレ・シヴィはRTBF響のコンマスとのこと。ちなみにRTBFは(無理して訳せば)「ベルギー・フランス語放送」となるでしょうか。BRTフィルとは別団体のはず。
選曲が凝っていて、聴き応えのある一枚ですね。DISCOVERには、けっこうこういうのがあって興味をそそられます。バルシャイのオーケストラのアンサンブルは、いつも通り神経質なくらい優秀。録音の加減か、もともとのオーケストラの技量か、イマイチ響きが薄く、潤いが足りない。
ヴァイオリンは、切れ味鋭いテクニックを堪能させますが、線が細くて余裕がなさ過ぎる感じ。Martinuは、ラプソディックで旋律が楽しい、弾むようなリズムが生き生きとした曲。Martinuはこういう擬バロック的な編成の曲をたくさん作っていて、大衆的でわかりやすい。
SZYMANOWSKIは、お国もの。しみじみとした、孤高の厳しくも美しい旋律。途切れなく進められれるこの曲は、以前FMか何かで聴いた記憶があります。曲の印象から云うと、もっと濃密で荒々しい演奏のほうが良いと思いますが、オーケストラの響きはいまひとつ散漫でおとなしい。ヴァイオリンは熱演。やはり、ちょっと線は細いかも。弾き手にとって相当な難曲でしょうが、名曲です。
プロコフィエフも、あまり聴く機会の少ない曲ですね。PILZの「瞑想のための音楽3/4」と「ロマンティック・フェスティヴァル」に一部含まれていました。シニカルで、リリカルな味わいの旋律が味わい有る14分ほどの作品。この曲も、いかにもテクニックが要求されそうな曲でした。
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