Mahler 交響曲第2番「復活」
(オーマンディ/ミネアポリス交響楽団/ツィン・シティ交響合唱団 1935年)


HISTORY 205240-303 Mahler

交響曲第2番「復活」

ユージン・オーマンディ/ミネアポリス交響楽団/ツィン・シティ交響合唱団/フランク(s)マリー・ガログリ(con)

HISTORY 205240-303 1935年録音 10枚組2,190円にて購入したうちの一枚

 この大曲は初演(1893年)後から人気高かったんでしょうね。おそらくはオスカー・フリート盤に続く「復活」の太古録音がCDで確認できます。史上初の電気録音とのこと。しかもライヴ。(時にトランペットのひっくり返りもリアル)まぁ、録音に不如意だった時代に意欲的なこと!当たり前だけれど、フリート盤よりはるかにまともな音質で、ちゃんと音楽の全容が楽しめました。ま、壮大な”鳴りっぷりのよい”作品だから、新しい音質で聴くに越したことはない作品だけれど。

 オーマンディは、後年のフィラデルフィア時代以前の録音だけれど、明るく、平易明快、整ったアンサンブルであり、ものものしい雰囲気にならないところなど、既に往年の個性を感じ取ることは可能でしょう。但し、弦のポルタメントは時代の反映だから仕方がない。(これはこれで味わい有)あくまで中庸のテンポ、さっくりと、優しい味わいで進めていく第1楽章〜強面になりがちのところだけれど、テンポの揺れも”大見得”的にならないのがオーマンディの個性か。大時代的浪漫的表現とは縁が薄い。

 第2楽章のワルツもやや淡々粛々、妙な色合いを付けません。もたれない、ていねいで優雅であります。オーケストラはよく鳴って、色彩豊か。後年の名人集団フィラデルフィア管弦楽団と比べても、そう見劣りはしないと思います。これがオーマンディのワザか。(ワタシお気に入りの)第3楽章「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」・・・いかにもユーモラスで、説話的な旋律がリズミカルに、歯切れ良く、生き生きと表現されます。冒頭のティンパニは、鮮度良い録音で聴くと効果的なんだけど、時代を考えるとかなりエエ線いってます。木管の上質な響きは賞賛されるべき水準。(途中アンサンブル少々の乱れも微笑ましい)

 さて、声楽を含む後半第4楽章「原光」に入りました。コントラルトの深い声質に文句ない感銘有。やがて木管とヴァイオリン・ソロが優しく絡んで、大爆発最終楽章へ雪崩れ込みました。(音質的に情けなく感じるのは、フリート盤を思い出して”贅沢言わない”と自戒すべき)遠雷のようなホルン、木管が木霊して「復活」はクライマックスへ。

 タメとか、これ見よがしの詠嘆的表現はついぞ表出せず、あくまで”作品を以て語らせる”という姿勢が貫かれます。ワタシは「復活」好きで、クサるほど聴いてきたからかな?こんな(素っ気ない?)表現でも、いえ、むしろそうだからこその魅力があると思いますよ。鋭利にならない。淡々とした姿勢を崩さない。スケールは(それでも)ちゃんと存在するじゃないですか。必要充分なる、チカラとワザ有。

 フリート盤との表現の相違は一目瞭然で、センスはずっとモダーン・・・というか、最近でもこんな(さっぱり目な)表現はないかも知れませんね。ラスト静かに合唱が参入して、弦とホルンが、そして木管が歌い交わして、ここはいつでも、どこでも、誰の演奏でも感銘深いが・・・オーマンディはあわてず、冷静に、着実であって煽らない。絶叫しない。それでも存分なる迫力と、怒濤の感動に不足はないと思います。ラスト、鳴り響く鐘に感銘はいや増すばかり。

(2006年7月21日)


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