Mahler 交響曲第2番ハ短調「復活」
オスカー・フリート/シュターツカペレ・ベルリン(1924年)


QUADROMANIA222145-444 Mahler

交響曲第2番ハ短調「復活」

オスカー・フリート/シュターツカペレ・ベルリン/ビンダーナゲル(s)/ライスナー(con)/ベルリン・ドーム合唱団 (ヒューゴ・ルーデル)

QUADROMANIA222145-444 1924年録音 4枚組924円にて購入

 QUADROMANIAは、一組1,480円相場時代からそれなりに収集し、やがて1,000円以下に落ち着いた時期に”落ち穂拾い”をしたものです。結果的に、充分に様子がわかってから購入したものが聴く機会が多い。これは、少々悩んで一番ラストに購入したもの。その理由は・・・

●「大地の歌」〜シューリヒト/コンセルトヘボウ管弦楽団(1939年)は、既に2種類同じ音源を所有していたこと。(ダブり/トリプル買いの悩み)
●この、史上もっとも旧い録音(SP22面分?)である「復活」が、”聴くに耐える”音質であるかどうか不安があったこと。でも、聴いてみたかった! そして、
●ストコフスキーの「第8番」(1950年)はどうしても聴きたかったこと

・・・で、悩んだ挙げ句、とうとう購入に踏み切った一組なんです。結論的に音質はOK〜想像以上にまとも、というか、聴けないことはない水準か。もちろん、一般にお勧めできる状態ではないが、たんなる資料的価値を超えた存在と確信しました。音楽の姿、様子はちゃんと理解可能です。それなりの録音で、もともとの作品に馴染んでいることが前提になるけれど。1895年初演、そのわずか30年後には、こんな完成度の高い演奏が実現していたんですね。

 揺れ動くテンポ、弦の甘いポルタメントとヴィヴラートの表情、ゆったりと歌うべきところは、いっそうテンポを落として悠然と表現する怪しげなる世界。低音の伸びとか、金管やら打楽器の爆発は期待できず、ノイズにかき消され勝ちです。しかし、第1楽章終盤のテンポ・ダウンには、拝聴すべきスケールの大きさが(ちゃんと)ありました。SP復刻のつなぎ合わせ不自然さは、ほとんど感じさせない。

 この時期のSP収録には時間的制約があったろうけど、咳いたムリムリなるテンポ作りは見あたらなくて、意外とゆったりしております。細切れ収録かも知れないが、第2楽章の流れも悪くない・・・途中のテンポ・アップも自然だと思います。弦のポルタメントはとろとろですね。第3楽章冒頭のティンパニの”衝撃”は、聴き手のノーミソで補填するしかない。何の打楽器か?「かちゃかちゃ」(Ruthe(ルーテ)という楽器?)と、マイク近くで不思議な存在感を出しているのも一興。(鐘も妙に近い)この楽章も、ゆったりとした不安げなるワルツ(「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」)になっていて、テンポは入念に揺れ動いて、やがて高らかに爆発する金管(の迫力も想像で補うしかないが)。

 それでも、表現そのものは”大時代”的違和感は感じさせませんね。第4楽章「原光」には繊細荘厳なる雰囲気が漂い、ライスナーのソロには高貴な深み有。絡み合うソロ・ヴァイオリンは絶品の嘆き、というか泣きがあってたまりまへんな。

 壮麗に、繊細に鳴り響く終楽章へ・・・冒頭の大爆発は聴き手の想像力にて補っていただきましょう。感情の起伏が明快に表現される、オケの優雅な響きは感動的なクライマックスを迎えました。意外や、ティンパニのアクセント、金管の絶叫も聴取可能であって、”間”を存分に取って悠々と慌てない。揺れ動くテンポはやがて切迫感を以てひとつのピークを迎えました。

 最終版、木管軍が小鳥のように歌い交わし、遠雷のようなティンパニを経て、合唱団が静かに、表情細やかに(ポルタメント風)突入。人声(+声楽ソロ)は明快に収録されております。やがて金管が、弦が絡み合って感動的なクライマックスへ。弦のポルタメントが雄弁で情感豊かあり、金管の深い奥行き、ハープの絡み合いまでしっかり聴き取れます。この間、焦った歩みは一切存在しない。

 これはあくまで”幻聴”なんだろうが、全82分、ノイズの海に耳が慣れてしまって、限りある音楽情報の収集に精神が集中されました。実際は、怒濤のような音の大爆発は存在しないから、深夜に集中すべき音源だと思います。現代水準の録音に、匹敵するのは”感動”であります。

(2006年7月15日)


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