Grieg 叙情小曲集(選集)〜エミール・ギレリスGrieg 叙情小曲集(選集) エミール・ギレリス(p) 1) アリエッタOp12-1(1867年) 2) 子守歌Op38-1(1883年) 3) 蝶々Op43-1(1886年) 4) 孤独なさすらい人Op43-2(1886年) 5) 音楽帳Op47-2(1887年) 6) メロディOp47-3(1887年) 7) ノルウェーの踊りOp47-4(1887年) 8) 夜想曲Op54-4(1891年) 9) スケルツォOp54-5(1891年) 10) 郷愁Op57-6(1893年) 11) 小川Op62-4(1894−95年) 12) 家路Op62-6(1894-95年) 13) バラード風にOp65-5(1896年) 14) おばあさんのメヌエットOp68-2(1989−99年) 15) あなたのおそばにOp68-3(1898−99年) 16)ゆりかごの歌Op68-5(1898-99年) 17) 昔むかしOp71-1(1900-01年) 18) パックOp71-3(1900-01年) 19) 過去Op71-6(1900-01年) 20) 余韻Op71-7(1900-01年)エコーインダストリー(DGの海賊盤) CC1097 1974年録音 中古 210円で購入 これは(知名度ともかく)ギレリスの代表作に数えて良いと考えられる名盤です。じつは「エコーインダストリー」が華々しく登場した1990年頃、1,000円で購入していてお気に入りだったが、友人のご所望に応えて譲ってしまったもの。NAXOSでショコライ盤3枚組全曲を入手した(この演奏は華やかで、優しい。8.550450/8.550577/8.550650 1989〜1991年)ので、ま、いいかな、と。やがて、後悔しきり〜2005年11月想いは叶って再入手できました。(正規盤買え!って?すんまへんなぁ)当たり前というか、先入観というか、この寒い季節が似合う旋律であります。 甘さ控えめ、寂寥の念溢れ、素朴な夜想曲風/舞曲風音楽でしょうか。Brahms ほど内省的でも孤独でもなく、人なつこい、そして儚げなる旋律。それはおそらく、ノルウェイの民族音楽からのインスパイアなのでしょう。LP時代、そしてワタシがこどもだった頃、ギレリスは「鋼鉄の打鍵」などと呼称され、たしかにTchaikovskyやらBrahms の協奏曲では、そんなキャッチ・コピーに頷ける演奏だった記憶もありました。 しかし、ギレリス(1916-1985年)61歳の録音は、辛口ではあるけれど、鋼鉄の重量感、硬質感、怜悧な輝きはありませんね。力業(チカラわざ)はどこにもないですよ。しっかり、重心の低い”芯”を感じさせ、とつとつと静かに語り続けるモノグローム。少々生真面目すぎ、時に息詰まるような集中力もあって、もっと気楽に、肩のチカラを抜いて愉しむべき音楽であり、全曲続けて聴くべきものではないかもしれません。(・・・ワタシは全曲聴きたくなる魅力を感じましたが)ギレリスが揃えた20曲〜冒頭の「アリエッタ」とラスト「余韻」は、同じ旋律でリズム違いなんですね。 これは、ちょうどBach のゴールドベルク変奏曲を連想させます。様々景色の移ろいを味わいながら、聴き手のココロは揺れ動き、やがて疲れ果て、冒頭の懐かしくも馴染みの旋律が名残惜しく回帰する・・・ギレリスの細部入念なる、ほとんど弱音を中心とした(でも弱い音楽ではない)入魂表現に文句なく圧倒され、嗚呼、これほどの繊細かつ骨太な世界には滅多に出会えないな、と感じておりました。いや、この作品はもっと”お気楽”でもいいじゃないか、ゆるゆるでもさ・・・などと勝手な言い種ありつつ、ギレリスの魅力には抗し得ません。 ちょっと寒々しい、寂しい季節に相応しい、人恋しい旋律が楽しめました。 (2005年12月16日)
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