Lierbermann/Elgar/Hindemith
(ロルフ・クライナート/ベルリン放送交響楽団)



Lierbermann

ジャズ・バンドと交響楽団のための協奏曲
*ベルリン・ダンス管弦楽団

Elgar

エニグマ変奏曲 作品36

Hindemith

フィルハーモニー協奏曲

ロルフ・クライナート/ベルリン放送交響楽団(旧東)

CCC 0001772CCC 1960年代から70年くらいの録音   750円

 ロルフ・クライナート(日本ではクライネルト表記も存在)は往年の旧東独逸の名指揮者だけれど、録音が少ないのが残念です。ベルリン放送にかなりの音源が存在するらしいが、遺族が公表を許さない由。その辺りの情報はベルリン在住の「こんの・レポート」に詳しい。Beethoven 交響曲第7番、Mahler の交響曲第4番、Shostakovichのピアノ協奏曲第1番(コーツ)は、探せば手に入る可能性があります。

 あくまでこのCDしか聴いたことがないので、類推の域を出ないが、メリハリがあって引き締まった、緊張感充分なるアンサンブルを作る人でしょうか。珍しい収録だけれど、三作品とも同じ印象を持ちました。Lierbermann(1910年〜1999)「ジャズ・バンドと交響楽団のための協奏曲」は、ライナー/シカゴ響という硬派が録音しているがCD化されていないはず。16分ほどの作品で、モウレツに楽しい。

 前衛的で怪しげな「前奏曲」(ここは少々先行きを危惧させるが)から始まり「ジャンプ」〜「スケルツォT」〜「ブルース」〜「ブギ・ウギ」〜「間奏曲」〜「マンボ」で終曲となります。「ジャンプ」以降は、いわるゆるビッグ・バンドによるシンフォニック・ジャズでっせ。「ウエストサイド・ストーリー」なんかも連想させるし、基本2ビートのバリバリのジャズであり、ピアノ(即興風だけれど、ちゃんと楽譜あるんだろうな)、ベース、ドラムがノリノリで、サックス/トラペットも自由自在。「スケルツォT」「間奏曲」(後半はジャズに。ドラム合戦っぽい)は、短いが前衛風12音階であって、ジャズ部分との対比を際だたせます。

 どことなく「カバレットの音楽」(=キャバレーのこと。Weill なんかの)を連想させて、暗くて、猥雑で脂粉の濃厚な香り漂うような妖しくて素敵な音楽。ま、こんな作品を生き生きとリズム感たっぷりに、滅茶苦茶上手く表現してくださるクライナートの手腕に感服。


 Elgarはドイツ系では珍しい録音だろうと思います。ワタシはバルビローリの詠嘆に充ちた歌が大好きだけれど、ここでの「エニグマ」はもっとカッチリと正確に、神経質に美しく演奏されました。アンサンブルの集中、旋律の末端まできっちりと表現され、やや辛口で色気はないが、清潔感溢れ、作品の本質を見事に表現します。第8曲「Troyte」の打楽器前面の激しい爆発、第12曲「B.G.N.」も同様の疾走、もっとも有名なる第9曲「Nimrod」の清明なる、そして黄昏の味わいにココロ癒されました。

 几帳面なる「エニグマ」もよろしいもんでっせ。涼やかなオケの響きは出色の水準だし、自然体の録音が素晴らしい。演奏水準の高さは、次のHindemithを聴けば一目瞭然。

 「フィルハーモニー協奏曲」は、主題と六つのヴァリエーションからできた作品です。主題からしていつもの辛気くさい味わいいっぱいで、美しいんだか、ツマんないんだか、といった世界。変奏曲に入ると暴力〜不安〜剽軽〜安寧〜幻想(ヴァイオリンとヴィオラのソロが素晴らしい)〜ラスト勇壮なる爆発で全21分。各変奏曲の描き分けがていねいであって、ここでもアンサンブルの集中力に感心します。とにかくオケが上手い、というか、ベルリン放響(旧東)ってこんなにカッチリとした響きでしたっけ?

 金管の完璧なコントロールとティンパニが印象的。いちおう「20世紀の音楽」といったくくりなんでしょうが、不思議なCDですよね。でも、これは拾いもののの希少価値CDでした。(2004年4月21日)


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written by wabisuke hayashi