Music for Violin and Piano/Brahms, Bach, Ravel,
Chausson & Waxman(セルゲイ・ハチャトゥリアン(v))


EMI  7243 5 75684 2 5 Brahms

バイオリン・ソナタ第3番ニ短調 作品108

Bach

シャコンヌ(無伴奏パルティータ第2番ニ短調BWV1004)

Ravel

ツィガーヌ

ウラディミール・ハチャトゥリアン(p)

Chausson

詩曲 作品25

Bizet/Waxman

歌劇「カルメン」幻想曲

ルシーネ・ハチャトゥリアン(p)/セルゲイ・ハチャトゥリアン(v)

EMI  7243 5 75684 2 5  (p)2002

 セルゲイ・ハチャトゥリアン(Sergey Khachaturian)は1985年生まれアルメニアのヴァイオリニスト、期待の若手は端正かつ美しくも素直な表現+音色でした。この音源はEMIが身売りして、存在そのものを探しにくいデータ拝聴するしかないかも17歳頃?の録音。来日もして人気のようです。Brahmsは2012年に再録音(Naive)しております。ウラディミールはお父さん、ルシーネ(1983-)はお姉ちゃんかな?

 まるで演奏会のように種々、多様な演目が並んでおります。

 おそらくはBrahms は過去さまざま聴いた中では最高の出来、品のある風情、瑞々しく凛々しい音色は、暗鬱なBrahms をしっとり甘く変貌せて下さいました。これは生体験の成果かな?第1楽章「Allegro」は優しく、躊躇いがちにテンポが揺れます。しっとりテンポを落として終了する風情も床しいもの。第2楽章「Adagio」の落ち着いた歌はあくまで清々しい。第3楽章「Un poco presto e con sentimento」ほの暗いスケルツォは、お父さんのピアノにリムズの安定を感じさます。激情も控えめ、静かに終えて、終楽章「Presto agitato」の劇的な開始との対比を際立たせます。スムースな技巧に、爽やかな浪漫を堪能できる演奏也。

 「シャコンヌ」は、誰のを聴いても怒涛の感動は保証まちがいなし。凄みとか陰影深み、息の長さが足りないけれど、若く、真摯な意欲を買いましょう。もちろん凛々しい技巧に不足はない。(後年、無伴奏の全曲録音有)「ツィガーヌ」以降は作品風情そのものにアクたっぷり強いものだから、これはもっと老練な味わいが必要かも。前半のソロは「シャコンヌ」の流れから無伴奏ヴァイオリンが続いて、音楽の多様性(姿の違い時代の違い)を愉しませて下さいます。やがて幻想的にピアノが参入して、リズミカル快速ノリノリな部分(チャールダーシュ)に至るとその技巧たるや壮絶!「ツィゴイネルワイゼン」に負けませんよ、泥臭い旋律リズムの徹底はこちらのほうが上でしょう。「詩曲」は朗々と美しく清潔繊細、幻想的な風情というか、エッチさが足らんのかなぁ、ちょいと。脂粉漂ってむせ返るような色気、んなものは17歳の青年にはムリか。

 Waxmanの「カルメン幻想曲」はレオニード・コーガンの燃えるように壮絶な演奏(ハイフェッツのレコードをを耳コピしたってほんまでっか)が脳裏に焼き付いて、こちらさらさらとスムースな技巧は洗練され、まるで別な作品?と感じたものです。(Sarasateより好き)「ツィガーヌ」も凄かったけれど、こちらの技巧要求は筆舌に尽くしがたく、馴染みの旋律をいかに美しく響かせる(歌う)かも見せ所、バリバリに非ず、あまり慌てずていねいに、正確に弾いていく姿に真摯な姿勢を感じました。

(2016年1月8日)

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written by wabisuke hayashi