Milhaud/Sauguetヴァイオリン協奏曲集(ルイス・カウフマン)Milhaud(ミヨー)
春のコンチェルティーノ ダリウス・ミヨー/フランス国立放送管弦楽団/アルトゥール・バルサム(p)(1949年) Poulenc ヴァイオリン・ソナタ エレーヌ・ピナリ((p)1954年) Sauguet(ソーゲ) オルフェオ協奏曲 ジャン・ミシェル・ル・コント/フランス国立放送管弦楽団(1955年) ルイス・カウフマン(v) MUSIC & ARTS CD-620 オークションにて諸経費込300円程 音楽への意欲は変わらないが、CD購入出費は大幅に減りました。著名定評ある音源が激安ボックスで次々と出現(カラヤンが代表例)し、世界同時不況、相対的な円高ということもあって、久々十数年ぶりに海外個人輸入も復活(但し英国アマゾンにて一回のみ)。これはネット時代の深化により、世界的規模で”相場比較”が可能となり、注文決済もずいぶんと簡便になった結末でもあります。文化的不如意な地方在住の方のみならず、買い物に行く時間が取れないご多忙サラリーマン(ワタシに非ず)には便利な時代となったものです。 でも、これから未来を担う若者、こども達にとって、”出会い”をどう保証するか〜それは難問でしょう。時代は既にデータ・ダウンロード主流だから関係ないのかな。それもちょっと寂しいけれど。このCDは、ネットオークション「クラシック音楽」〜「その他」にて、まとめてなんぼ!と激安無競争で入手したもの。一枚当たり諸経費込300円ほど(2008年2月)、というメモが入っているから、送料振込料入れても充分安く、未知の作品や演奏を開拓する、音楽に対する新鮮な緊張感を維持する、といった大切な行為(CD購入の言い訳)なんです。ま、博打ですな。歴史的音源は、音質一発外すと悲惨ですし。 ルイス・カウフマン(1905−1994)はロサンゼルス・フィル往年のコンマスだったアメリカのヴァイオリニスト、とのこと。CDもいくつか復刻されております。ワタシはあくまで”未知の作品”狙いであって、そんな経緯経歴は後で知りました。 DARIUS Milhaudは、多作であり、どの作品も短めで、晦渋な作風ではないので聴き易いと思います。でも、これといった(誰でも知っている)”ヒット旋律”がないのだな。(「屋根の上の牛」辺りがが代表作か)「春のコンチェルティーノ」はわずか8分ほど、屈託のない、飄々とした明るい表情の作品です。難解でも暴力的な激しさもない、こういった情感の陰影深くない作品は好みなんです。カウフマンは朗々と、楽しげに弾いております。 「Dannces de Jacqre'mirim」(読めないし、意味がわからん/「小さな鰐の踊り」なんだそう)は、短いブルースのような旋律が3本続いて5分弱、アルトゥール・バルサムはハイフェッツ(p)の伴奏で有名だけれど、なかなかの合わせ上手。カウフマンはとろりと弾き崩すんじゃなくて、端正に、一生懸命演奏しております。再度、指揮者自演のオーケストラが戻ってきて第2協奏曲へ。これは少々厳つい行進曲で始まるが、おちょくっているというか、ワザとネタでお堅く作ってみた、みたいな味わいでしょう。これは20分を越え、Milhaudにしてはちょっと柄の大きな作品となります。 カウフマンは器用に、小ぎれいにまとめた、みたいなヴァイオリンじゃなくて、端正な姿勢を崩さない。ちょいと昔風の生真面目さがありますね。美音系じゃない。音質は1940年代を考慮に入れると、充分鑑賞に耐えられる水準と評価したいところ。
Poulencはいかにも超絶技巧をウリにしたような、激しくも妖しい旋律に溢れます。技術的な不備はないが、流麗スムースな演奏ではない。Sauguet(アンリ・ソーゲ)は1989年まで存命だった現代の作曲家、Milhaudの弟子筋であって調性を失っておりません。やや保守的な作風はけっして難解ではないが、求めて聴くほどの名曲なのかな?とも思います。(実はチェロ協奏曲でも同様の印象であった) カウフマンは情感を込め、切々と、激しく歌っております。やはりヴィヴラート+大柄な表情が少々時代を感じさせるスタイルか。ミシェル・ル・コントの名前は懐かしいですね。いずれも放送用録音か?人工的な広がりも付加されているが、音質的にはあまり成果を上げておりません。 ま、こんなCD、オークションでは誰も入札しないでしょうね。競合なし、激安で入手できました。新しい出会いに感謝。 (2009年6月19日)
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