イタリア・バロック作品集(リカルド・オドノポゾフ(v)1950年)


Italiaanse meesters uit 18e eeuw (MMS-2080, ca.1950) Giuseppe Torelli

合奏協奏曲ト短調 作品8-6 (grave - vivace - largo - adagio - vivace)

Francesco Durante

合奏協奏曲第5番イ長調 (presto - largo - allegro molto)

Benedetto Marcello

合奏協奏曲ヘ長調 作品1-4(largo - presto vivace - adagio - prestissimo - largo)

モーリッツ・ヴァン・デン・ベルク/オランダ室内管弦楽団

Tomaso Antonio Vitali(?)

シャコンヌ ト短調

ハインツ・ヴェールレ(or)

Antonio Vivaldi

ヴァイオリン・ソナタ イ長調 RV 31/作品2-2(preludio a capriccio - allegro agitato - corrante (allegro) - adagio - giga (allegro))

レオ・ロスタル(vc)/ベンジャミン・オレン(cem)

Francesco Geminiani

無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 (adagio - vivace - affetuoso - giga)

リカルド・オドノポゾフ(v)(1950年)

ネットにてダウンロード MMS-2080
いくつかはCD復刻成っております。

 リカルド・オドノポゾフ(1914〜2004)は南米出身、ユダヤ系ロシア人、戦前のベルリンにて教育を受け、1934年ウィーン・フィルのコンサート・マスターになっております。(なぜか【♪ KechiKechi Classics ♪】にも言及有)ちなみに伴奏を受け持っているモーリッツ・ヴァン・デン・ベルクは戦前ベルリン・フィルのコンマスだったらしい。こんな音源がネットで拾えるから、音楽ヲタク(=ワシ)には嬉しい時代と言うべきでしょう。最近では聴けなくなったやや浪漫寄り、まったりとしたバロック、甘く端正な音色を誇るヴァイオリンであります。時代遅れ(錯誤?古臭さ)を感じさせない演奏スタイル。技巧的にも文句なし。LP板起こしの音質は、それなりの瑞々しさを維持しております。

 しかもワタシ好みのツボ作品ばかり収録、白眉は伝Vitaliの「シャコンヌ」か。コンサート・ホール・レーベルってけっこうシブい音源揃っておりましたね。

 Torelli始まりました。哀愁のト短調旋律を甘美に、しっとりと歌っております。合奏協奏曲なのでオドノポゾフ先頭に数人のヴァイオリンが絡み合って、 largo - adagio辺りは”纏綿”といった言葉が似合う、タメも詠嘆もたっぷり。泣かせる名曲。オランダ室内管弦楽団は(現在の耳で聴けば)やや大柄、まずはバロックの則を崩さぬていねいなるアンサンブルにて支えます。DURANTE(1684-1755年8月1/イタリア後期バロック)は初耳かな?清明な風情の田園風作品也。現代のバロック・アンサンブルならもっとリズムは軽快に弾むことでしょう。そっとデリケートに柔らかく、ここもlargo辺り、ほの暗い静謐が浪漫風情溢れて聴きもの。初耳でも懐かしい馴染みの印象、ここではオドノポゾフのソロは登場しません。

 Marcelloは期待通りの憧れ胸一杯!旋律が美しい。ヘ長調という表記だけれど、実際は情感豊かな転調があって、朗々と歌います。冒頭largoラストにルバートして終わるのも最近聴かんなぁ、懐かしい。イタリア・バロックとしてはやや生真面目すぎ、躍動に欠ける感じではあるけれど、ちょっと昔の名画を拝見しているような感慨有。

 白眉・伝Vitaliの「シャコンヌ」。当たり前のことながら、ここではオドノポゾフのソロ前面、オルガン伴奏というのが効果的でして、スケールの大きさ印象倍増させております。(たしかフランチェスカッティの管弦楽伴奏が凄く立派だった記憶有)端正なスタイル崩さず、音色あくまで清潔で美しい。”浪漫寄りバロック”となんどかコメントしたが、演奏スタイルとしては太古大時代に非ず、モダーンで抑制が利いておりました。劇的旋律名曲の表現として、このくらいのほうがバランスはよろしい感じ。

 Vivaldiは(いつもながら)自在でわかりやすい作品だなぁ。ヴァイオリン+チェロ+チェンバロ(ちょっと昔風メカニカルだけれど)って黄金の組み合わせと思います。作品2はアッカルド(イ・ムジチ)のかりっとイタリアの陽光を感じさせる演奏にてすっかりお気に入りになったけれど、このヴァイオリンにも遜色はないなぁ。明るく歌って、リズム感も悪くない。Geminiani凄い名曲でして、目隠しで聴けば”まさしくBach !”クリソツ。ちょっと明るい風情あるけれど。凄い名曲を凄い端正なテクニックにて仕上げました。お見事。

(2012年5月13日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi