Vivaldi ヴァイオリン協奏曲集 作品8の1〜4「四季」
(フェリックス・アーヨ(v)/イ・ムジチ)
Vivaldi
ヴァイオリン協奏曲集 作品8の1〜4「四季」
イ・ムジチ合奏団/フェリックス・アーヨ(v)
海賊盤(PHILIPS) cta クラシック・コレクション 59 1959年録音 フツウの電気屋にて330円で購入(デジタル・マスタリングって書いてあるけれど、本当でしょうか)
ちょっとだけ書き足しておきましょう。同じくイ・ムジチ合奏団(ソロ・カルミレッリ 1982年録音 PHILIPS GCP-1005)で同作品を聴きました。ワタシはこどもこの頃からこの作品を聴き込みすぎて、最近は少々気が重い感じ。久々の「四季」は、イマイチ味(ソロもアンサンブルも)が薄いようであり、「やはりアーヨ盤じゃないと!」と取り出した次第。
が、かなり印象一変!まず音質の粒が粗めなのは、海賊コピー盤故かもしれないので断定できないが、リズム感が平和過ぎるのは驚くべきこと。それに少々重いかな。アーヨのかりっと甘い音色は記憶通りだけど、なんかいかにも旧い・・・カルミレッリ盤のほうが、まだモダーンな味わい有。で、引き続きスタンデイジ/ピノック/イングリッシュ・コンサート(1978年 BRILLIANT 99416 旧録音)だって、薄味だったはずだと確認してみると・・・
たしかに穏健派ではあるけれど、端正でスタイリッシュ、古楽器の薄っぺらな響きが気にならなければこれは楽しめます。更に!ビオンディ/エウロパ・ガランテ(Virgin TOCE-55295)に至ると、ソロもバックも変幻自在なる歌い口がまったくノーコーで、激しいリズムの魅力はあながち「イロもの」と排斥できない勢いがあります。ここまで来ちゃうと、ほんまアーヨは遠い。
で、正直「四季」は少々厭きました。それはピノック盤、ビオンディ盤とも「冬」の次、作品8の5に入ると、俄然新鮮で晴れやかな印象を受けることで証明されました。(2004年7月4日)
「新しモン嫌い」のワタシでも、古楽器によるバロック自体が定着して普通になってきているので、軽快で、リズムのはっきりした演奏も聴くようになりました。へんな話し、逆に現代楽器によるオーソドックスな演奏が新鮮に思えてくるから不思議なもの。え〜と、「イ・ムジチの四季」はいくつでたんでしたっけ。
アーヨ(モノ)、アーヨ(ステレオ)、ミケルッチ、カルミレッリ、アゴスティーニ、シルブ、の計6種?ちがいました?でも、このアーヨ盤が圧倒的人気で、おそらく日本ではもっとも売れたクラシックのレコード〜CDと想像されます。2000年にもまた出ます。(いったい何回目のおつとめか)海賊盤(このCDも)にも、あちこちからお座敷が掛かって、もう大忙し。
もちろんLP時代からお気に入りでした。ットは芸術品。しかも楽譜付き)で、この演奏ほど印象が変わらないのも珍しい。聴けば必ず納得。感心。感動。それはなぜか。
まず録音がいい。明快で、奥行きも残響も豊かで、しかもしっかりとした芯を感じさせる音。1959年とはちょっと信じられない水準。LP時代「いい音だなぁ」なんて思っていても、何十年も経って聴くとガックリくることも間々あるでしょ?この録音はホント変わらない美しさ。
アーヨのヴァイオリンが凄い。カリッと歯切れが良くて、真夏の太陽のように輝かしくて、まっすぐ。神経質だったり、細かったりするところはどこもなくて、まさに黄金のヴァイオリン。とうぜん黄金には「影」なぞありえず、どこまでも健康で元気いっぱい。まさにカンツォーネ。これはイタリアの青空と、時代の反映でしょう。まだ、未来に希望が多かった時代。
最近話題の古楽器グループによる新録音は、もっとヘルシーでスレンダー。テンポも速いし、リズムはノリノリ、派手な装飾音もいっぱい入ります。こちらの演奏は、往年の美人女優の感じでしょうか。(山本富士子?とか)ちょっと豊満でなつかしい。派手なアクションもないし、いまとなっては少々健全すぎて、ノンビリと感じるかも。
アーヨは有名だけど、通奏低音が効いているんですよ。とくにチェロ。なんにも特別なことはしていないのに、ソロ・ヴァイオリンが朗々と歌う陰で、いい味を出しています。そっと耳を澄ますと、音楽に奥行きを与えている。バロックにはつきものだけど、通奏低音がしっかり支えている演奏って意外とないもんなんですよ。
「マイナー好き」のワタシが、こんな評価の定まった演奏に屈服しちゃいけないんです。くやしいけど必ず気持ちよくなるCD。これから音楽を楽しもう、という方は「四季」ばかりじゃなくて、作品8の5〜12もぜひ聴いて下さい。もともとひとつの曲集だし、どれをとっても新鮮で楽しい曲ばかり。(このHPにもあります)
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