Hummel ピアノ五重奏曲 変ホ短調/ヴィオラ・ソナタ 変ホ長調/マンドリン協奏曲ト短調

Hummel ピアノ五重奏曲 変ホ短調/ヴィオラ・ソナタ 変ホ長調/マンドリン協奏曲ト短調



デアゴスティーニ(Point Classics) 98 Hummel

ピアノ五重奏曲 変ホ短調 作品87
ヴィオラ・ソナタ 変ホ長調
マンドリン協奏曲ト短調

ガジャン(p)/シムチスコ(v)/テレツキ(va)/アレクサンダー(vc)/サスィーナ(cb)/ガフォロヴァ(p)/ハリス(マンドリン)/スロヴァキア州立ジリナ室内管弦楽団

デアゴスティーニ(POINT CLASSICS) 98  録音情報不明 中古@250

 懲りないオトコというべきか、こんなCDを見掛けると買ってしまいます。デアゴスティーニ(CD付き雑誌)はクラシック音楽の普及のために大きな影響を与えたと思うが、ある日、出張先のBOOK・OFFでまとめて処分されておりました。(@250均一〜ま、良心的相場)今更、BBBでもあるまいし、たくさん同曲異演CDも買ったし、そもそもPILZ音源として既に入手済みもあります。演奏者名が異なっていても、同一音源であり得るのも怖いといえば怖い現象か。

 でもね、聴いたことのないHummelとか、Gluckの室内楽、一度だけあるCDを購入したがどえらい(聴くに耐えない)音質で売り払ったCherbini レクイエム ハ短調等々・・・こういった珍しい、なかなか聴く機会を得ない作品はほんまにありがたい〜数枚購入いたしました。@250なら未知の世界をちょっと覗いてみたいな、と。これはワタシの基本的姿勢なんです。

 演奏者はカタカナ表記しか存在しないし、いったいどこの誰なのか・・・但し、ヴィオラのイワン・テレツキはスロヴァキア放響(ブラティスラヴァ)の主席ではないか?との調査手応えもあって、マンドリン協奏曲がジリナ(スロヴァキア共和国の都市)でしょ?だから、これはスロヴァキア辺りの演奏家なのか、と目星をつけました。時に絶望するほどの音質やら、演奏に失望することもないではないPOINT CLASSICS=PILZ音源だけれど、これはしっかりとした拝聴に値する一枚。

 Hummelの作品は、陰影入り交じった多彩な旋律が魅力でして、とても楽しい。ピアノ五重奏曲は4楽章24分ほど、ほの暗く劇的な冒頭旋律から、垣間見える平穏で明るい表情の対比はまったく素晴らしい。清楚でありながら、悩ましい妖艶さを時に魅せて、スケールも大きな作品。ピアノのほか、ヴァイオリン/ヴィオラ/チェロ/コントラバスという珍しい編成でして、低弦強化がスケールの要因だと思います。Mozart をもう少し、端正に、生真面目に、大きくした、といったテイストもありました。演奏そのものは流麗でもなんでもないが、作品を味わうには相応しい誠実さ有。

 ヴィオラ・ソナタというと、ずいぶん地味な響きを想像しがちだけれど、そんなことはありませんね。これは軽快で、上機嫌なるMozart にとても近い。コロコロと良く歌うピアノに、愉悦感漂うヴィオラが絡みます。地味なのではなく、しっとりとして朗々と良く歌う豊かなる中音域は、とても安らかでした。たとえばバシュメトのような艶はないにせよ、誠実で着実な技巧はたしかな魅力なんです。3楽章21分ほどのシミジミ安らぎの世界有。

 マンドリン協奏曲は、ずいぶんとノンビリ牧歌的な世界でして、ソロもトツトツと弾いている味わい。オーケストラの技量もさほどではないが、これまた誠実な雰囲気溢れて、小味で耳に優しい。マンドリン協奏曲ってVivaldiくらいしか聴いたことがなかったが、これはHummelの「時に哀愁の旋律変転」が生かされた名曲です。終楽章はゆったり船に揺られるような、全3楽章20分ほどの小さな幸せ。ラストのソロはちょっとお見事(きっと難しい技巧)でっせ。

 録音はかなりの水準です。Hummelの作品は、どうやら当たり外れが少ないみたい。しばらく聴いていないピアノ協奏曲も再聴しましょう。古楽器による演奏が似合いそうだけれど、そんな録音存在しますか?

(2005年5月13日)

 


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written by wabisuke hayashi