Hindemith 交響曲「画家マティス」/組曲「気高い幻想」/ウェーバーの主題による交響的変容
(フランツ・パウル・デッカー/ニュージーランド交響楽団)


NAXOS 8.553078 Hindemith

交響曲「画家マティス」
組曲「気高い幻想」 - 舞踏の伝説
ウェーバーの主題による交響的変容

フランツ・パウル・デッカー/ニュージーランド交響楽団

NAXOS 8.553078 1994年録音

著名な作品であり、とくに「交響的変容」は録音もけっこうあります。華やかさ、強烈ハデなリズム爆発、不協和音連発に非ず、保守的知的端正、古典的風情漂う作品に馴染むのに数十年掛かってしまいました。「マティス」はメジャーな分厚い響きのオケで聴いたことはないんです。不安に充ち、知的幻想的な旋律サウンドを美しいと感じます。オケはややおとなしく、時に迫力ある金管打楽器炸裂、フランツ・パウル・デッカーの表現もオーソドックスなもの、不足を感じることはありません。音質良好。(2014年9月「音楽日誌」)
 自分は60歳の峰を超えてしまって、これからがほんまの人生の正念場、各々の個性を発揮すべき年齢に至っております。幸い健康それなり、経済的に困窮することもなく、お仕事も適度に継続させていただいてシアワセなのでしょう。ほんの10歳小学生の頃から音楽を愛して、一時若い頃は実演作曲なども趣味として、やがてフツウのサラリーマンは熱心なリスナーに育ちました。ネット時代を迎え、毎朝「音楽日誌」更新、週末はこうして別項でコメントを加えるのは自分なり音楽への緊張感の維持、経緯、矜持のつもり。閑話休題(それはさておき)。

 このCDは2003/3/8@390とのメモ有。Hindemith(1895ー1963独逸)には長く苦手意識があって、辛気臭い旋律に味わいを感じるようになったのはここ数年のこと。音源もかなり集めました。このCDはホルヴァートと並んでMy古参の在庫であります。フランツ=パウル・デッカー(Franz-Paul Decker, 1923ー2014)とはNAXOSも目のつけどころが渋すぎる一枚也。亜細亜極東のド・シロウトが”辛気臭い”と感じたのは、彼が浪漫やら破壊的な不協和音を否定して新古典的な作風を求めたから、とういうことらしい。つまり、甘さも辛さも控えめということか?

 交響曲「画家マティス」(オペラの交響曲版?ですか)は彼(か)のフルトヴェングラー初演(1934年)。第1楽章「天使の合奏」(Engelskonzert )第1主題は「3人の天使が歌う」という民謡から採られたものらしくて、シンプルかつ(現在なら)カッコよい旋律と感じて、わかりやすくクールに展開します。淡々としているというか、朗々と歌ったり叫んだり爆発する風情皆無。第2楽章「埋葬」(Grablegung )は静謐につぶやいて、これも淡々としております。この辺り味付けが薄過ぎて、ニュージーランドのオケは誠実に洗練されても、やや様子がワカランというか、響きに厚みが足らんかも。荘厳な雰囲気はたっぷり感じます。

 第3楽章「聖アントニウスの誘惑」(Versuchung des heiligen Antonius )鬱陶しい弦の嘆きから打楽器金管が炸裂するところ。ここもちょいとオケの迫力が弱いと感じるのは、音質印象もあるのか。もう”辛気臭い”とは感じないけど、爽快さやカタルシスが足らん作品ですね。デッカーの押し不足かも、いま一歩の盛り上がりが欲しいところ。全曲で26分ほど。

 組曲「気高い幻想」 - 舞踏の伝説(1938年)のバレエ組曲とのこと。別途全曲があるのかも。題材は「アッシジの聖フランチェスコ」〜カトリックの幼稚園出身だけど宗教的知識に薄くてごめんなさい。エラい人なんでしょ?サンフランシスコの都市名の由来でしょ?きっと。導入部とロンド(Einleitung und Rondo)は幻想的に深く落ち着いた弦楽合奏から始まって、なんとも荘厳な祈りを感じさせるもの。美しく落ち着いたサウンド(オケは立派ですよ)はここでもほとんど甘味料抜き。途中からフルートの寂しげな合いの手が加わってテンポはややアップ、木管との対話が増えても寂しい風情は変わりません。

 行進曲とパストラール(Marsch und Pastorale)は一転、軽快な打楽器とピッコロとの軽快な対話(祭り囃子風)スタート、金管も炸裂して華やかな爆発にようやく期待が高まりつつ、符点のリズムに変貌します。ここも推進力がちょっぴり足りない感じ。ラストは静謐に気分は落ち込んで、冒頭の軽快なリズムは消え去っておりました。コラール風金管からパッサカリア(Passacaglia)開始。この旋律が細かく分割されて各パートに引き継がれ、打楽器も巻き込んで圧巻の盛り上がりがやってまいりました。不思議な感触の旋律はリディア旋法”と呼ぶのでしょうか。(21分ほど)

 交響的変容が一番人気かな?フルトヴェングラーとかジョージ・セル辺りが録音してますよね。各楽章はWeberの旋律引用から成り立って第1楽章「Allegro, tutto ben marcato」「原曲は4手ピアノのための『8つの小品』作品60の第4曲(J.253)」(Wikiより)このリズミカルな躍動はなかなかわかりやすい。まるで民謡みたいに楽しく大衆的です。デッカーはもうちょいとリズム感を強調して欲しかったけれど、打楽器の鮮烈な迫力はなかなかのもの。 第2楽章「トゥーランドット」 Scherzo,Moderato。Weberは劇音楽として作曲したそうで、このオリエンタルな旋律が楽しくて、シンプルにかなりデーハーに盛り上がる変奏曲は全曲中の白眉!でも、ティンパニがあまり上手くない?(外野のド・シロウトが、んなこと云っちゃいけないかも)各種打楽器の多彩な響き、絡み合いもオモロいもの。楽器さえ揃えばコンサートのアンコールに似合うかも。

 第3楽章「Andantino con moto」原曲は「4手ピアノのための『6つの小品』作品10aの第2曲(J.82)」(Wikiより)ここは静謐な弦に、木管が上空に啼く小鳥をイメージさせるところ。第4楽章「Marcia maestoso」「原曲は4手ピアノのための『8つの小品』作品60の第7曲(J.265)」(Wikiより)最終盤だし行進曲なんだから、もっと明るく元気よく!途中ティンパニや小太鼓の乱入はなかなか衝撃的であり、勇壮で力強い楽章でした。(20分ほど)

(2017年4月2日)

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written by wabisuke hayashi