R.Strauss 交響詩「英雄の生涯」
(ジョン・バルビローリ/ロンドン交響楽団 1969年)


EMI 3652852 R.Strauss

交響詩「英雄の生涯」

ジョン・バルビローリ/ロンドン交響楽団/ジョン・ジョージアディス(v)

EMI 3652852 1969年録音

 ここ数年、急激に音楽の聴き方に変化が出ております。わずか5-6年前迄、R.Straussなんて、どれを聴いても同じ、かつて自演音源(まとめて)処分したのも、できるだけ音質条件の良いものを、そんな安易な趣旨からでした。現在ならパブリック・ドメインに至って(その気にさえなれば)ネットより自由拝聴可能になって、肝心なのは聴き手の根性のみ。ヘルベルト・カラヤン(1974年)のゴージャス演奏辺りから、なんとなく目覚めたような・・・その前に強面弾丸ライナー(1954年)を経験していたっけ。いずれ、時代問わず驚異的オーディオ効果を誇る録音ばかり。

 ようワカらん、と嘆きつつ、けっこう作品は聴いていて、凡人は幾度繰り返して学ぶしかない。やがて見えてくるものもある・・・かも。

 Mahler 交響曲第6番のフィル・アップとして、バルビローリの「英雄の生涯」は幾度聴いていたはず。

ゆったりとしたテンポ、しっかりと刻まれた「間」、曖昧さのいっさいない明快なフレージング、激昂せず、走らない。個性的であり、クールな演奏です。やや低音不足だけれど、明快な音質
これはは6年前2008年のコメントとなります。全50分を超え、かなりゆっくりとした(おそらくは)最遅演奏也。記憶ではたしか少々ユルく、音質もいまいち?久々の拝聴は、まったくの記憶違い、細部一切忽せにしない丁重丁寧な仕上げ、テンポは弛緩を意味せず、悠々とした余裕、テンションが維持され、プレヴィン時代のオケは驚異的に上手い。名手ジョン・ジョージアディス(v)のソロもたっぷり優雅に美しい(「英雄の伴侶」)。音質は、恣意的に作られたところのない自然、各パートの存在を照らして不足を感じさせません。

 長い、なかなか終わらない!それは事実だけど、長さを感じさせぬ、余裕の歌、かなりの間合い(「英雄の戦い」)、フレージングの緊張感持続して、ゴージャスやら強面推進力とは異なる、”美しい”演奏也。激昂せぬ余裕を、かつては”クール”と受け取ったのでしょう。冒頭「英雄」に力み少なく、「英雄の敵」に於ける世間の心ない噂話もヒステリックに響きません。「英雄の伴侶」〜「愛の情景」纏綿とした歌はバルビローリ個性の独壇場でしょう。オケの響きも清潔を基調として、充分な洗練であります。

 「英雄の戦い」も(テンポの遅さ故)事態の深刻さを強調し、克明な戦局の推移をわかりやすく表現しております。トランペットの噛みしめるような音色は印象的。打楽器はやかましく響き過ぎず、アンサンブルに際立ちます。「英雄の業績」〜「ドン・ファン」のテーマは眩しいほど、R.Straussの著名な作品の欠片が次々、静かに登場して懐かしい。バルビローリには残念、交響詩「ドン・ファン」の録音はなかったはず。

 ラスト「英雄の引退と完成」に於ける万感胸に迫る黄昏風情。数ある名盤中、ちょっぴり特異な位置を占める(濃厚な)存在でしょう。昨日から拝聴幾度繰り返して、感銘の質は劣化いたしません。

(2014年5月25日)

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written by wabisuke hayashi