Haydn 弦楽四重奏曲 「ひばり」「皇帝」「セレナード」「五度」


ANC-138 Haydn

弦楽四重奏曲二長調 作品64-5「ひばり」
スメタナ弦楽四重奏団(1966年)

弦楽四重奏曲ハ長調 作品76-3「皇帝」
ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団(1950年代)

弦楽四重奏曲第17番ヘ長調 作品3-5「セレナード」*
弦楽四重奏曲ニ短調 作品76-2「五度」
イタリア弦楽四重奏団(1965年)

*Hofstatter 作

FIC(駅売海賊盤) ANC-138  666円(税込み3枚で2,000円)で購入。

 トンデモ・コンピレーションCDだけれど、看過できない一枚・・・って、もう購入して10年以上経つけど。すべて表題付きばかりの収集(しかも、最近録音が少ない偽作・しかし名曲「セレナード」含)、往年の名団体寄せ集めお見事なものです。演奏スタイルの違いが、ワタシのような室内楽・永遠の初心者にはわかりやすい。ここ最近、Beeやんも聴く機会が増えたが、やはり威圧感が時にツラくて、ちょっとノンビリ牧歌的な室内楽もありがたいものです。

 スメタナ弦楽四重奏団といえば、ワタシの少年時代(1970年前後)は代表的団体でして、日本での録音も多さも当時の人気を物語ります。個人的に「室内楽」と出会ったのは、この団体のMozart 「不協和音」「クラリネット五重奏」(モノラル時代。安田さん、いつもすみません)だったはず。この「ひばり」はEMI録音でしょう。現役ではCD入手は難しいはず。(TESTAMENTで出ていませんか?とのメール有)シンプルな旋律は、のびのび明快に表現され、戦前往年の歴史的団体とは異なるモダーンなセンスもあります。しかし、しっとりとした歌ゴコロに不足はない。テクニック完璧。

 第2楽章は深い呼吸をたしかめるような優しさ、ソフトだけれどリズムが華やかな第3楽章「メヌエット」、快速なフィナーレは楽しげな緊張感で見事に表現され、途中暗転する旋律も味わい深い。適度な潤いを感じる録音も上々でした。

 ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団はモノラル収録だから、WESTMINSTER録音でしょうか。やや奥行き、広がり不足(当たり前だ)だけれど出色の良好な音質。こちら、世代の違いか”ホンワカ甘い雰囲気”が漂います。テンポも少々揺れて、技術的に不足などあろうはずもないが、先ほどのスメタナ弦楽四重奏団に比べれば、細部の描き込みに傾注していません。

 第2楽章「皇帝賛歌」変奏曲は、これ以上ないというくらいノスタルジックな感情がこもっていて、それは気品に充ちて美しい。独特の「間」「揺れ」が快く、現代では失われたセピアな世界が堪能できました。

 以前聴いたコダーイ弦楽四重奏盤(NAXOS)とは、「五度」がダブりました。正直、イタリア弦楽四重奏団の実力に少々驚愕!前者の生真面目、着実、地味な演奏ぶりになんらの疑念もないが、こちらの流麗溌剌な歌と刻々と変化する表情の多彩なこと!スメタナ/ウィーン・コンツェルト・ハウスとは180度異なる、現代的キリリと引き締まったリズムに満ち溢れて開始されました。PHILIPS録音。

 Roman Hofstetter(1742-1815)の「ハイドンのセレナード」は、一転、蠱惑的なささやきで魅了します。華やかで大柄な「メヌエット」、笑顔を絶やさないフィナーレ。この団体は「甘美より快活」でしょうか。「ひばり」は清潔で雄弁、ネアカでストレート、終楽章は密やかな緊張感に魅了されました。

(2005年3月17日)

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written by wabisuke hayashi