Haydn チェンバロ協奏曲ニ長調 Hob:]XV,11
(ワンダ・ランドフスカ(cem)/ビゴー/パリ音楽院管弦楽団1937年)


MEISTERKONZERTE100枚組より33枚目 Haydn

チェンバロ協奏曲ニ長調 Hob:]XV,11

ワンダ・ランドフスカ(cem)/ウジェーヌ・ビゴー/パリ音楽院管弦楽団(1937年)

ロンドン・ソナタ集

変ホ長調Hob:]XT,52/ニ長調Hob:]XT,51/ハ長調Hob:]XT,50

マルコム・フレージャー(p)(1972年)

MEISTERKONZERTE100枚組より33枚目

 激安/貧者のオーディオ環境でありながら、ここ最近音質が気になります。別にぴかぴかの新録音とか、”スーパー・オーディオ云々!”みたいなものを求めることはないが、それなりに条件の整ったもの、自然な会場臨場感のあるものを聴きたい〜一方、歴史的録音を敬遠しているか?というとそうでもなく、劣悪ものは別としてけっこう”別耳”で愉しんでおります。パブリック・ドメインをフリーでダウンロード、自主CD化している件は千度「音楽日誌」に言及済み。MEISTERKONZERTE100枚組は、圧倒的コスト・パフォーマンス+良心的な音質、演奏、作品収集に於いて価値あるものに間違いありません。”100枚!”というと少々精神的に重いんだけれど、けっこうちゃんと聴いてまっせ。

 HaydnはMozart ほどにオリジナルの研究が進んでいないよう(おそらくワタシが知らぬだけ?)で、この著名なるニ長調協奏曲も、本来どんなスタイル(使用楽器)で演奏されるのが正しいのかわかりません。アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(1975年)が有名かな?彼の大ファンだけれど、あの演奏は少々ピアニストの濃厚な個性が前面に出過ぎて愉しめませんでした。ランドフスカ(1879〜1959年)のこの録音は初耳、ようやく作品の真価、魅力に目覚めた思い。端正で優しい風情の旋律横溢。

 音質は想像以上に良好(まし)だし、所謂、当時復刻なったばかりの現代チェンバロ(朗々と華々しくメカメカしい!ヘルムート・ヴァュヒャとかカール・リヒター辺りが懐かしい)は、意外に清楚、軽妙に響いて、なによりランドフスカの表現が颯爽とカッコ良い。ベネデッティ・ミケランジェリには申し訳ないが、少々暑苦しい印象(先入観)があったんですよ。

 テンポ速め、前世紀の巨匠世代に活躍した人だから、もっと浪漫的濃厚な表現なのかと思ったら、すっきりさっぱりとして思わせぶりな表現皆無、適度な揺れを伴って颯爽と音楽は進みます。もとより旋律は細部馴染みだけれど、こんな演奏で聴いちゃうと我らがMozart の魅力に負けないんじゃないの?そんな感慨に至りました。

 ウジェーヌ・ビゴー(1888-1965年)は、ランドフスカと同世代、なんかもの凄い歴史的世代か?と思っていたら、意外と長命だったんですね。ここではソロ同様、すっきりと整った小編成アンサンブルとサウンドで気持ちよく聴かせてくださいました。

 マルコム・フレージャー(1935-1991年)は、(改めて調べてみると)もう亡くなっていたんですね。一時ずいぶんと録音が出ていたんだけれど・・・たしか、亜米利加のピアニスト。

 変ホ長調ソナタって、夢見るようにウキウキ美しい旋律の作品。(バックハウスでお馴染みとなりました)フレージャーはもっとモダーンで小ぶりなスタイル、3曲とも淡々と素直な表現、そしてヴィヴィッドで素晴らしい技巧を誇って、作品の味わいを生かしておりました。Haydnのシンプルで愉悦に充ちた作風に親しむべき、枯れた年齢に至ったのかもね。

(2010年10月22日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi