Haydn 交響曲「朝」「昼」「晩」
(リッツォ/ムジチ・デ・サンマルコ)


Haydn

交響曲第6番ニ長調「朝」
交響曲第7番ハ長調「昼」
交響曲第8番ト長調「「晩」

リッツォ/ムジチ・デ・サンマルコ

PILZ CD 160 301 録音年不明  1,000円

 (p)1988 Pilz Medis Group〜おそらく購入は1989年。ワタシのCD購入最初期のものでした。リッツォはPILZ音源名物幽霊指揮者(ほんまは誰の指揮かはわからない)だけれど、ムジチ・デ・サンマルコという団体も怪しい。Vivaldiの協奏曲集が出ているけど、そちらでは古楽器なんです。こちらは小編成ながら現代楽器でした。ま、Vivaldi縁(ゆかり)のサンマルコ寺院だから、ヴェニスに関係有かな?

 知名度的にはほとんどないが、コレなかなか名曲です。1761年頃の作曲だから、29歳の作品か。いろいろなソロ楽器の掛け合いが極上に楽しい。CDは少ないですね。A.フィッシャー全曲ボックスを購入する手もあるが、少々重荷でしょ?廉価盤じゃコレしかない・・・って、リッツィオ盤もなかなか手に入りませんが。演奏も立派。録音も上々。

 では、交響曲第6番ニ長調「朝」〜fl、2ob、fag、2hr+弦楽。ま、いかにも「夜明け」風序奏から始まって、主旋律で活躍するのは爽やかフルートです。快活なオーボエが絡んで音楽が疾走します。小鳥のさえずりを表現しているのかな?「新しい朝が来た、希望の朝だ・・・」風、快活な音楽。第二楽章ヴァイオリンのカデンツァ(?)もラプソディックで美しい。ここはヴァイオリン協奏曲だな〜と思っていると、チェロも絡みます。なんと優雅な音楽。

 メヌエットはいかにも、風・王道を歩むメヌエットらしいメヌエット。(説明にならず)主役はフルート+オーボエでしょう。終楽章はフルート〜ヴァイオリン〜チェロと次々と主役がソロを交代します。協奏交響曲風ですよね。途中旋律の陰りなどMozart にも一脈通じる魅力。ああ、ホルンの奥行きを忘れちゃいけませんよね。


 交響曲第7番ハ長調「昼」〜同じくfl、2ob、fag、2hr+弦楽。堂々たる序奏の開始。ああ、ハ長調のスケールだね。やがてチェロの細かい音型の躍動、ヴァイオリン・ソロの大活躍は健在で、やはり協奏交響曲風です。第二楽章は「Recitativo」となっていて、嘆きの表情〜引き続きヴァイオリンとチェロの掛け合いです。ずいぶんと浪漫的な旋律かな。切ない。フルートも宴に参加。

 メヌエットは例の如しの晴れやかさで、フィナーレはフルート(名人芸)+ヴァイオリン・ソロが縦横に活躍します。希望に満ち満ちた表情〜旋律の陰りがアクセントでホルンがサウンドの厚みを・・・というパターンも変わらない。


 交響曲第8番ト長調「「晩」〜楽器編成同じ。第1楽章は、どことなく落ち着きがあって一日の終わりを予感させます。第1楽章では特別なソロの活躍は見られません。白眉は、第二楽章アンダンテにおけるヴァイオリンとチェロの掛け合いで、まるでご夫婦の夜の睦み合いのようです。甘く、切ない。これはほんまに”夜”の味わい。

 第三楽章メヌエットではコントバス・ソロ登場。これが夜の静寂とか暗さを表現していて良い感じ。終楽章の快活な表情はなにを表現しているのかな?・・・全部で70分ほど。これは至福の一枚です。

 演奏にはとくにコメントしなかったけど、親密なるアンサンブル、各パートの技量も充分でした。サウンドに特別な厚みやスケールを求められる作品ではないし、手持ちのA.フィッシャー盤に負けない魅力有。(2003年12月19日)


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written by wabisuke hayashi