Bach ゴールドベルク変奏曲(ジャコテ)Bach
ゴールドベルク変奏曲 BWV988 ジャコテ(cem) PILZ CD160 127 1980年代の録音? 800円ほどで購入。 かなりの名曲でも”繰り返し聴き”に耐えられる作品はそうそうあるものではない。希に”聴けば聴くほど・・・”的作品もあって、ま、ワタシにとって大Bach が代表選手でしょう。数年前のワタシは(↓)大勘違い的コメントをしているが、現在聴けばココロ洗われる思いもあります。 オン・マイクで、ナマで聴くチェンバロとは大違いの大音量の違和感、というのはありました。鮮明なる録音だけれど、オーディオの条件によっては、やや金属的な響きの印象を受けてしまう。この作品、ピアノで聴く機会も多いから「流麗でない」といった勘違いも生まれやすいのでしょうか。(オマエだけだよ、ってか) 「冒頭のアリアから、ほのかにテンポが揺れていて、なんとなく頼りない」「メリハリが不足するように思うのです。変化に乏しい、全体として『静けさ』が少々足りない。しみじみとした情感にやや欠ける」〜もうバカ野郎ですね。もっとオープンな部屋で、しかも真空管オーディオで聴けばちょっとイメージ変わりましたね。 表現的にはむしろ素朴で、流麗でないことこその個性。主題のアリアはトツトツと歌われ、ひとつひとつの音の動きをたしかめるように、安易な流しを許しません。様々な舞曲が展開される変奏曲は、その味わいを念入りに確認するように、滑らかな指の動きでは表現されない。「メリハリが不足」「変化に乏しい」というのはこの楽器に対する理解不足でした。微妙なる味付けニュアンスを感じ取らなくっちゃ。 技術的な不足ではもちろんなくて、念入りなる、表面を洗練させない表現。一見タドタドしいようにも思えるが、このゆったりとした”つっかかり”が魅力です。ゆったりとした、大きなリズムと呼吸もやがてはっきり感じ取れるようになって、アリアへの回帰は感動的でした。繰り返しは実行しておりません。Bach は素晴らしい。(2004年1月8日)
以下、昔の勘違いコメントそのまま。 PILZのオリジナル(?)音源の中では、ほとんど唯一といってよい名の知れた演奏家であるジャコテ。おそらくバッハのクラヴィア作品を全曲録音していたはず。全部集めようと思っていたのですが、6枚ほど手に入れた段階で店頭から消滅。90年代中盤以降は、ほとんど見かけませんでした。 わりと新しい録音ですから、セットもので(もちろん激安で)復活しないかと期待しているのですが、無理でしょうか。LP時代は、マルティン・ガリングの「Bach 鍵盤音楽全集」を持っていました(おそらくVOX音源)が、これも復活しそうもありません。 この曲はグールド以来でしょうか、ピアノによる演奏が主流でチェンバロのCDは意外と少ない。ジャコテは繰り返しをしていませんので、43分少々で終わります。 もちろん大時代的な、メカニックな響きの楽器ではありません。オン・マイクな録音の加減で、かなり大音量で眼前で弾いている雰囲気。やや聴き疲れする刺激的で硬い音色。鮮明な録音ではあります。チェンバロの音色が美しく捉えられていないのは、やや致命的。 冒頭のアリアから、ほのかにテンポが揺れていて、なんとなく頼りない。演奏そのものは、緊張感もあってちゃんとしたものでしょう。でも、この曲はもっぱらピアノで馴染んできたせいでしょうか、抑えたところと、ハジけるところのメリハリが不足するように思うのです。変化に乏しい、全体として「静けさ」が少々足りない。しみじみとした情感にやや欠けるような気もします。 自由な変奏曲の知的な構成に没入→最後のアリアの安らぎに回帰迄、辿り着けません。やはり繰り返しは実行してもらって、じっくりとひとつひとつの変奏を楽しみたいところ。美しい局面はあちこちに見られますが、いまひとつ集中できません。流れが途切れる感じ。 「4つのデュエット」は、音の感じも違って素朴なチェンバロの味わいが生きています。鍵盤の段の違いによる、音色の変化も楽しめます。録音の感じも「ゴールドベルク」とは異なります。
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