Stravinsky バレエ組曲「火の鳥」(1911年版)/
バレエ音楽「春の祭典」(ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー/ロンドン交響楽団)
Stravinsky
バレエ組曲「火の鳥」(1911年版)
バレエ音楽「春の祭典」
ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー/ロンドン交響楽団
NIMBUS NI1749 (5) 1987年録音 7枚組2,940円で買ったウチの一枚
NIMBUSは既に倒産したらしい(後、再建されたとか)ので、こういった音源はなんとか再発売され、広く普及しないものでしょうか。組曲「火の鳥」は、オリジナル4管編成の抜粋で、ときに「1910年版」(とかオリジナル版とか)と称されることもありますが、1910年全曲版と誤解されそうですね。(自分もこのCD全曲収録かと思っていた)「カスチェイの凶暴な踊り」で終わってしまいました。ピエール・ブーレーズ/BBC交響楽団(1967年)以来の録音か。
ワタシが「火の鳥」に求めるのは「正確なリズム」です。序曲のバスの動きが正鵠を射ていないと!意外とないものでして、先のブーレーズ盤かジョージ・セル、ということになります。ロジェストヴェンスキーはなかなか立派。以前の録音からの印象だと、もっと粗っぽくて異形なるデフォルメ風演奏か、といった先入観がありました。実際には緻密で集中力があって、そして繊細です。
優秀録音だけれど、ダイナミックレンジの関係でなかなか再生は難物でしょう。つまり、つまり序奏ではほとんど音が聞こえず、ラスト「カスチェイの凶暴な踊り」では大爆発音響となる。4管という大編成を生かした厚みと奥行きは快感です。打楽器群の定位も鮮明に理解できる。オーケストラの響きは洗練され、響きは濁らず、正確に、クールに演奏されるが、それはけっして素っ気なさ、愛想のなさを意味しません。(メルヘンでもない)たいへんに充実した、細部にまでていねいな仕上げが施された演奏でした。
さて「春の祭典」も同じ時期の録音でしょうか。これも鮮明な音質でしたね。冷静にリズムを刻んで「原始のバーバリズム」風演奏ではありません。聞こえるべきパートはすべてしっかり鳴らす、といった明快さ、常に醒めているような表情で冷酷にリズムを打ち込んでいくようであって、これはこれで洗練された美しさが表現されました。はっきりいって「こんな音やら、旋律は初めて聴いた」ところはたくさんありました。
ロンドン響はよく鳴ります。技術も正確。細部に曖昧さなし。テンポ設定にエキセントリックさはないが、この指揮者特有の華やかな節回し、みたいなものも盛りだくさん。基本クールであることに間違いはないが、第1部ラスト「大地の踊り」の壮絶なラッシュにはやはりアツくなります。打楽器の大音響が全体を濁らせない。美しい、チカラ強い、でもどこか一歩引いているような・・・
第2部は静かに淡々と進められ、「犠牲の賛美」に至って大爆発(表現的にもやや粘っちゃうか)〜ラスト「聖なる舞踏〜犠牲者」に至るまで、仕上げに曖昧さのない、全体が混沌と混乱の渦に巻き込まれることのない絶叫が楽しめました。ブーレーズとの違いは知性か(?なんじゃ、これ)。(2004年4月2日)
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