展覧会の絵、再び


MUSORGSKY

組曲「展覧会の絵」(フンテク版)

セーゲルスタム/フィンランド放送交響楽団(1980年代頃の録音?)FM放送よりエア・チェック

 白石美雪さん(美冬さんだったら「剣客商売」だ)というひとが、FM放送でなかなか淡々として味わいのあるコメントをしていました。これ1990年くらいかな、様々なバージョンの「展覧会の絵」を特集していて、それをタイマーで録音していたもの。フンテク版はフィンランド放響がツァーに持っていって広げたそうです。一時話題になりました。

 でも、やっぱりラヴェル版が圧倒的人気のようで、これはその後が続かなかった。弦が主体で(プロムナードも弦で演奏される)、全体的に地味で渋いんですよ。それでもラストの「キーウの大門」の厚い響きはなかなか。原曲の味わいが残っていて、やや粗野な感じも悪くない。

 でも、ラヴェルの一種人工的な、作り物の遊園地のような華やかさにはかなわない。手元には何種もラヴェル版の録音があって、少々食傷気味だったので、新鮮に感じました。

 え〜、今回はこれだけのコメントです。おわり。・・・・→それではあんまりなので、蛇足。

 山下和仁さんのギター版も一部放送されていて、その技巧は超絶的。聴いていて、ドキドキするくらいスリリング。CD発売時話題になっていたけど(ギター版「シュエラザード」というのも、たしかありましたね)廃盤にしとくのはもったいない。

 でも、ストコ版(BBC響とのライヴ)は、もっと仰け反ってしまう。ある意味、ラヴェル版よりもっと派手派手しくて、ツボにはまっていて、あざといヴィヴラートばりばりで、凄い。こういうのをやらしたら、ストコの右に出るものなし。(白石美雪さんは「映画音楽みたい」というコメントをしているが、言い得て妙。ありがちなB級冒険映画にピッタリ)これ、ライヴなので聴衆の拍手が大喝采の盛り上がりです。NPOとの録音も欲しくなりました。若手はもっとこの版で演奏・録音して欲しいもの。

 アシュケナージ版も一部放送されていましたが、これは後CDを買いました。(DECCA 4140386-2 フィルハーモニア管。中古で@480)でも、期待したほどの出来じゃない。

 で、じつは放送ではラヴェル版としてジュリーニ/CSOを取り上げていました。(後半のみ)ま、いつもの聴き慣れた版だし、定評のある名演奏。これが、グイグイと引き込まれる魅力横溢。この人、1960年くらいから1980年迄位の演奏が好きですね。細部まで明快、ていねい、全体への見通しも見失わない。どんな旋律もゆるがせにしない、大切に大切によ〜く歌ってくれます。CSOも極上のアンサンブル。深い呼吸と知性を感じさせる演奏。「食傷気味」なんて言っていたのがウソのよう。

 セーゲルスタムのフンテク版を中心に、MD一枚仕上げました。あと、トシュマロフ版というのがマルク・アンドレーエ/NHK交響楽団でエア・チェックしていたので、リヒテルのソフィア・ライヴと併せてMDもう一枚仕上げました。(2000年9月10日) 

 


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written by wabisuke hayashi