ENGLISH STRING MUSIC(リチャード・シュトゥット/ボーンマス・シンフォニエッタ)


NAXOS 8.550823  1993年録音 833円 Britten

フランク・ブリッジの主題による変奏曲 作品10

Holst

セント・ポール組曲 作品29-2

Delius

ふたつの水彩画(フェンビー編)

Vaughan Williams

「富める人とラザロ」の5つの異版

WARLOCK

キャプリオル組曲

リチャード・シュトゥット/ボーンマス・シンフォニエッタ

NAXOS 8.550823  1993年録音 833円?

 これは十数年前、いつどこで購入したかも記憶はありません。リチャード・シュトゥットはもともと英国のヴァイオリニストとしてマリナー率いた”ジ・アカデミー”に在籍していたらしいが、録音は多くありません。ボーンマス・シンフォニエッタはボーンマス交響楽団とは無関係の団体とのこと。録音はけっこうあって、CHANDOSによく似た趣向のCDが出ております。艶々ではないが、けっこう手堅い、しっかりとしたアンサンブルであります・・・って、そんな通り一遍のコメントはツマらん!それでなくても英国音楽は全然人気ないのに。

 英国音楽No.1人気は(おそらく)「惑星」でしょ。正確には平原綾香ちゃんの「ジュピター」か。彼女は大好きだけど、これだけは音域が似合っていない、ムリがあると感じます。ところがHolstって、これ以外全然知られていないのが残念無念。セント・ポール組曲は「ジグ」「オスティナート」「インテルメッツォ」「フィナーレ」からなる13分ほどの短い弦楽作品であって、快活躍動するリズムが平明、かつ剽軽で素敵な作品(そして演奏!)〜このラストで思わぬ「グリーンスリーヴス」旋律の絡みが印象深く出現して、この部分にいつも痺れます。トラック15のみ、わずか3:16を聴いては感涙にむせぶ日々・・・ぜひ多くの人々に聴いていただきたい。

 英国旋律は一般に穏健安寧の旋律が多いんだけれど、Brittenは世代が現代に接近している(1913-1976年)せいか、ややシニカルで暗く、比較的複雑で不安、かつハードな旋律が聴かれます。師であるBridgeの旋律(「弦楽四重奏のための3つの牧歌」第2曲)を用いて9つの変奏+フーガとフィナーレに仕上げました。これも弦楽合奏のための作品であって、初演は著名なるボイド・ニール合奏団(1938年)。けっして難解晦渋な風情じゃないですよ。調性から自由になりつつあり、ちょっぴり不協和音も出現して、つぎつぎと味わいを替える変奏曲。明るく歌ったり(イタリアのアリア)悲劇であったり(葬送行進曲)、ラスト「フーガとフィナーレ」は全体の1/4を越え(7:05)、期待するような大団円ではない・・・静かに消えていく感じ。

 Deliusの「ふたつの水彩画」の原曲は無伴奏合唱曲 "To Be Sung of a Summer Night on the Water" (「夏の夜 水の上にて歌える」〜名訳!)であって、エリック・フェンビーが弦楽合奏に編曲したもの。編曲ものとは俄に気付かぬ、いつもの懐かしくも感傷的な歩みであって、ゆったりノンビリと郊外を散歩する風情もあります。この作品、バレンボイムで聴いていたな。こちらはずいぶんさっぱりと、涼やかな演奏だ。

 Vaughan Williamsは、この人らしい荘厳なる気品+英国の田園風景を連想させ、ハープの付加がその印象をいっそう強めることでしょう。これも「ブリッグの定期市」同様、民謡の採譜(あちこち”異版”があるとのこと)から発しているんですね。異版がちょっとした変奏曲の味わいになっていて、ゆったりと懐かしい雰囲気は英国の歴史と伝統に根ざしているのだな。胸を締め付けるように寂しげであり、感傷的な12分の世界は、名作「グリーンスリーヴスによる幻想曲」に負けぬ魅力有。

 PETER WARLOCK(1894-1930年)は少々知名度的に落ちるでしょうか。「キャプリオル組曲」はまるでバロックのような厳格な舞曲の味わいがあって、ちょうどRespighiの「リュートのための古代舞曲とアリア」に雰囲気よく似ております。第5曲「ピエンザンレール」にはモダーンな安らぎがありますけどね。終曲「.マッテシン(戦いの踊り)」で、ぐっと現代風にずっこけて、これも英国風ユーモア。

(2009年11月20日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi