Elgar 演奏会用序曲「南国にて」(1974年)/交響曲第1番 変イ長調(1983年)
(ジョン・プリッチャード/BBC交響楽団)


日本クラウン CRCB-6031 Elgar

演奏会用序曲「南国にて」 作品50(1974年ライヴ)
交響曲第1番 変イ長調 作品55(1983年ライヴ)

ジョン・プリッチャード/BBC交響楽団

日本クラウン CRCB-6031 (入手価格失念)

 もともと英国音楽は(日本に於いて)地味な存在だろうが、好事家はジョン・プリッチャード(サーの称号有1921年 - 1989年)のアツき演奏を称揚しておりました。骨太で豪快なる「南国にて」、蕩々と雄弁なうねりを感じさせ、スケール豊かな交響曲第1番。BBC交響楽団も絶好調の鳴りっぷりにも満足。けっして”ジミな”演奏じゃないですよ。第3楽章の黄昏具合も絶品也。音質良好。前者のほうに臨場感は勝っているか・・・とは、数年前「音楽日誌」でのコメントであります。日本クラウンが「BBCシリーズ」国内盤を発売したのが1995年からだから、もうずいぶんと以前のこと。きっと、あまり売れんかったと想像します。竹内貴久雄さんも絶賛の一枚也。記憶では1970年、急逝で来日を果たせなかったバルビローリの代理として来日していたはず。日本での知名度としては、ほんまにジミな人でした。

 でもね。これ、ほんまに立派な演奏ですよ。

 「南国にて」は、どんよりとした空をいただく国民が南国イタリアの陽光に憧れるパターンなんでしょ?ほとんどR.Straussのように華やか優雅な作品であって、豪快+含羞抑制が垣間見られる名曲。BBC交響楽団はグラマラスな響きを誇る団体ではないが、押し出し立派にオケは鳴り切って、アンサンブルの集中力は驚くばかりの迫力。各パートの音色に特別な色気はないんだけれど、途中静謐部分での優雅な歌も絶品であります。ライヴならではの熱気、勢いも感じさせ、スケール大きく爽快な20分でした。自然な会場残響が、良質なる音質。拍手も盛大です。

 交響曲第1番イ長調の出足は、まるでHaydn(の序奏)ばりの端正な歩みでしょう。J.P.はあわてず、騒がず、じっくりと噛み締めるように端正に開始し、主部の激しい部分に突入しても力みはないんです。主部第2主題の優しい表情は繊細そのもの。バルビローリの粘着纏綿たる表現(良し悪しではない個性の違い)に比べると、やはりキーワードは”端正”であって、迫力あるオケの咆哮にも響きは濁らないし、詠嘆タメの最低限表現は矜持を感じさせて、例の黄昏感たっぷり。BBC交響楽団って、こんなセクシーなサウンドだっけ?アンドルー・デイヴィス盤とはずいぶんと違うような気がする・・・(しばらく聴いていないが)

 第2楽章「アレグロ」はスケルツォ楽章なのかな?勇壮でカッコ良い行進曲の旋律、リズムが躍動しております。この迫力、ノリ、意味深い間、切迫感はいかにもライヴの熱気でしょう。中間部の優しい歌との対比もお見事。金管爆発の(やや)ミスタッチもリアルであって、一発撮り(編集有?かな)の鮮度がありました。静謐に収束して、そのまま第3楽章「アダージョ」へ。冒頭旋律音型が前楽章と同じだけれど、ゆったりと変形されて夢見るように、ほとんど天国的美しさであります。これぞ”英国黄昏”絶品の緩徐楽章也。木管+弦の絡み合いを聴いているとBBC交響楽団って上手いじゃん!

 終楽章「レント-アレグロ」は、第1楽章冒頭の繰り返しでの開始となるが、やがて緊迫感漂う疾走が始まりました。決然たる激しい金管の掛け合いも見事な、爆発がやってきました。やっぱりBBC響絶好調!優雅雄弁なる回想を夾みつつ、フィナーレへ熱気はいや増すばかり。懐かしい第1楽章冒頭端正な歩みが回帰して、万感胸に迫る大団円を迎えました。大好きな作品だし、いろいろあちこち聴いたが、これはヴェリ・ベストかも。

(2010年12月3日)


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written by wabisuke hayashi