Elgar 交響的習作「フォールスタッフ」ハ短調 作品68/序曲「コケイン」作品40/
演奏会用序曲「フロワッサール」作品19(ジョン・バルビローリ)


EMI 5036032 30枚組 6,167円 Elgar

交響的習作「フォールスタッフ」ハ短調 作品68

ハレ管弦楽団(1964年)

序曲「コケイン」ハ長調作品40

フィルハーモニア管弦楽団(1962年)

演奏会用序曲「フロワッサール」作品19

ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1966年)

ジョン・バルビローリ

EMI 5036032 30枚組/CD3  6,167円

 「フォールスタッフ」とは、シェイクスピアの史劇「ヘンリー四世」に登場する巨漢の騎士(=ファルスタッフ)のことであって、Verdiの最後の歌劇として有名でしょう。Elgarの作品としては”良く知られている”とは言い難いが、これも傑作です。偶然ですが、ワタシは最近聴き知った作品となりました。

 第1楽章:フォールスタッフとヘンリー王子(アレグロ)/第2楽章:イーストチープ〜ギャッズヒル〜ザ・ボアーズ・ヘッド(猪首亭)でのどんちゃん騒ぎ、そして眠り/第2楽章:夢の間奏曲:「今はサー・ジョンたるフォールスタッフは、ノーフォーク公の小姓をしていた少年のころの夢にまどろむ」(ポコ・アレグロ)/第3楽章:フォールスタッフの行進〜グロスターシャー州へ〜間奏曲:グロスターシャー州の判事シャローの果樹園で(アレグレット)〜新しい国王〜ロンドンへ急ぎ戻る/第4楽章:ヘンリー5世の行列〜王の絶縁とフォールスタッフの死、以上で構成される35分ほどの(けっこう)大作。

 勇壮であり、変化に富んだ一大絵巻を目指したらしいが、R.Straussのような大衆性が足りない(「英雄の生涯」を彷彿とさせるが)、しかもつかみ所のない(取り留めのない?)旋律連続だから、少々慣れが必要か。バルビローリはグラマラスで、(例の如く彼のマジックで)ハレ管弦楽団を充分に豪快華麗に鳴らせて、文句ないスケールと優しく慈しむような歌を誇りました。音質も極めて鮮明、現役の鮮度を誇ります。

 序曲「コケイン」は、ほんま楽しいですねぇ。ワタシはいつも「パリのアメリカ人」を連想するんです。こちら、ロンドンの下町を微笑みを浮かべつつ散策する生粋の英国人。このサイトで、オウェイン・アーウェル・ヒューズがヴェリ・ベストだ、と書き続けたが、我らがバルビローリは揺れ動き、立ち止まり、走り出し、抑制し、呟き、決然と叫び・・・自在なる熟達の表現で聴き手を酔わせます。ほとんど掟破りのような甘美な歌もあって、音質印象も含め同じオケとは思えない。こちらに馴染むとヒューズの表現は、いかにもストレートに過ぎる・・・これも音質は自然です。

 序曲「フロワッサール」とは、14世紀のフランスの年代記作家・詩人ジャン・フロワッサールを描いた、とのことだけれど、ワタシは誰だか知らんな。昂揚し、栄光に充ちた旋律が連続して、ちょうど「威風堂々」を想像すると、その方向であります。バルビローリはここでも纏綿とグラマラス、じつに嫋々と甘く歌って、しかも朗々とスケールが大きい。オケは上手いですね。清潔で明るく、指揮者の要求に応えて、細部まで曖昧さがない。

 これも音質上々。Elgarは英国系音楽中ではやや濃厚なる旋律を誇るが、バルビローリの個性に似合っていると確信いたしました。

(2009年3月6日)

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written by wabisuke hayashi