Dvora'k 交響曲第9番ホ短調「新世界より」
(ヴァーツラフ・ノイマン/チェコ・フィル1981年)


Dvora'k 交響曲第9番ホ短調「新世界より」(ヴァーツラフ・ノイマン/チェコ・フィル1981年)

Dvora'k

交響曲第9番ホ短調「新世界より」

ヴァーツラフ・ノイマン/チェコ・フィル 

SUPRAPHON 33C37-7702 1981年 中古オークション380円ほど(諸経費込)で入手

 昨年2007年はCD購入テンションはやや下がって、定期的な処分に力点を置いておりました。在庫の整理、聴くべき音源の精査を行っているところ。湯水の如くCDを購(あがな)っても全部は聴けないからね。それでも思いつきでオークション落札入手することがあって、それは誰の入札もない、けっこう安い、まぁまぁ興味もある・・・締め切り直前に落札しちゃうんです。これは1987年発売/定価3,300円!フィル・アップなし(贅沢)で発売されたものが、20年を経てワタシのところに届いたもの。これも出会いであります。

 「新世界」はおそらくは、もっとも録音も多い人気作品なんじゃないでしょうか。ワタシの刷り込みはバーンスタイン/ニューヨーク・フィル(1962年)による、文句なく前向きで元気良い、粗削りな演奏となります(小学生時代のこと)。それ以来、たっくさんいろいろ聴いてきたなぁ・・・食傷気味なくらい。(罰当たりだ)この(著名なる)演奏に出会って、シミジミと反省いたしました。まず、録音が極上〜自然な奥行きと鮮度、適度な残響のしっとりとした瑞々しさ。もうほとんどそれだけで、スピーカーの前から41分間離れられない。釘付け状態。おそらくはミニ・コンポで聴けば”スカ”みたいに聞こえるんじゃないか。

 これはずいぶんとジミな、気取りとか派手なパフォーマンスとは無縁なる演奏だと思うんです。剛直なる驀進(カラヤン!?)とか、異形なる大爆発(ロジェストヴェンスキー)でもなく、憧憬に充ちた若々しいケルテスでもない。やや大人しく、粛々しっとりと味わい深い「新世界」。弦の涼やかな音色はもちろんだけれど、金管の音色が(個性的で他では聴けない)”草の香り”に充ちてシミジミ親しげに、懐かしく鳴り響きました〜あくまで含羞を込めて。

 刺激的喧しさ皆無。あくまで中庸とバランスを旨として、威圧感なく始まる第1楽章。ホルンのヴィヴラート床しく、木管は素朴であり、弦の涼やかで清潔な響きが好ましい穏健派表現連続です。(提示部繰り返しなしは残念)打楽器も突出させない(低音を強調しない)。第2楽章「ラルゴ」だって、さっぱりとしてクサくならない。イングリッシュ・ホルンのソロも節回しを強調せず、そっと、静かに歌います。弦のさわさわとした囁きが広がって最高。草原を渡るそよ風か。フルートの”嘆き”もあくまで爽やか。金管も良く歌って、金属的に響かない。

 第3楽章「スケルツォ」。一歩間違えば喧しいだけの音楽になりがちだけれど、しっかりとした落ち着いた味わいに、力感も不足しない。リキみもなし。噛み締めるように、しっかりとしたリズムを刻んで快い表現であります。中間部の民族歌謡のような旋律もノンビリとしてエエ味わいでした。終楽章も威圧感ばかり目立つ恐れもあるけれど、”あくまで中庸とバランスを旨”とする立場は変わらない。ブルー系の弦はもちろんだけれど、木管の粗野な音色が素敵だなぁ。一流のオケは各々固有の色を以て、その存在を主張して下さるから、それだけで楽しいものです。

 爆演、剛力とは無縁の、かなり”大人しい”演奏です。油断すると演奏だって”スカ”に聞こえるかも。でも、リズム感の良さには間違いない。ワタシは、あちこちこの作品を聴いてきて、行き着く先はコレ(まるで高級精進料理)という手応えを感じたものです。激しく揺さぶられることもないかわり、聴き疲れしない。第6〜9番迄まとめて4枚オークション(激安)落札できてラッキー。ケースの汚れ(煙草だな、きっと)は気になったけれど、拾いものでした。

(2007年2月8日)


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written by wabisuke hayashi