Dvora'k ピアノ協奏曲ト短調 作品33(フランティシェク・マクシアーン(p))/
序曲「謝肉祭」(エーリヒ・クライバー)/歌劇「ルサルカ」よりバレエ音楽(クロンブホルツ)


* Dvora'k

ピアノ協奏曲ト短調 作品33

フランティシェク・マクシアーン(p)/ヴァーツラフ・ターリヒ/チェコ・フィル(1951年)

序曲「謝肉祭」

エーリヒ・クライバー/ロンドン・フィル(1948年)

歌劇「ルサルカ」よりバレエ音楽

ヤロスラフ・クロンブホルツ/プラハ国立歌劇場管弦楽団(1956年)

MEISTERKONZERTE100枚組より25枚目

 2009年?に入手したMEISTERKONZERTE100枚組8,519円也(232098)は既に廃盤のようです。ほぼパブリック・ドメイン音源であり、別途ネットより入手可能な音源が半分ほど占めるけれど、珍しいものも数多く収録されております。フランティシェク・マクシアーン(1907-1971)はパネンカ、ヨセフ・ハーラの師匠筋らしい。初耳ピアニスト。

 Dvora'kの協奏曲はチェロ協奏曲が一番人気(ロストロポーヴィチの成果か)、ヴァイオリン協奏曲はそれなり、このピアノ協奏曲はあまり人気ありません。リヒテル/クライバーという鉄板コンビ録音(1976年)登場しても人気作品とは言い難い現状であります。ルドルフ・フィルクシュニーがモノラル時代より何度も録音しているけれど、ワタシの聴いたVOX録音には必ずしも佳き印象を持てませんでした。

 1951年時代を考慮するとかなり良好な音質、但し「MEISTERKONZERTE100枚組」全般傾向として、ノイズを取り除いてやや平板な雰囲気有。マクシアーンのピアノはリリカル叙情的なテイストに溢れて、しっとり味わい深い演奏であります。作品そのものがピアノの華やかなテクニック全開で聴かせるもの非ず。第1楽章「Allegro agitato」第1主題はまるで「アルペジョーネ・ソナタ」を連想させる感傷的なもの。ターリヒのオーケストラは哀愁のサウンド満載して、テンポの揺れ、歌も絶妙。ピアノはほとんど管弦楽と馴染んで息を合わせ、しっとりとした旋律の掛け合いであります。

 力んだり、叩いたり、そんな表現とは無縁。流麗であり、抑えた風情が美しいピアノ。技術ばかりを表層に感じさせぬ、みごとなテクニックであります。第2楽章「Andante sostenuto」冒頭のホルンの牧歌的テイスト(わずかにヴィヴラートが掛かるチェコ派)に痺れます。フルート、弦に引き継がれる瞑想の旋律は名曲!ピアノの静謐旋律も甘美ですね。Rachmaninov に負けぬ魅力と思うんだけれど・・・この楽章でもソロが浮き立って妙技性発揮!といった風情じゃないんです。訥々オーケストラと絡み合って安寧、旋律のタメ、揺れは絶妙なデリカシー。

 第3楽章 「Finale. Allegro con fuoco」。終楽章も地味な旋律は激昂しません。リズミカルな、まるでスラヴ舞曲を連想させるような付点リズム旋律もクール〜この演奏特徴なのでしょうか。「交響的変奏」と同じ旋律が数度登場、しかしこちらはずっと優雅な印象であります。マクシアーンって、瑞々しい音色と安定したテクニック、リズムのノリもみごとでした。この作品の魅力神髄にようやく接近できた感じ。

 エーリヒ・クライバーは英DECCA馴染みの音源であります。オリジナルは聴いたことはないが、音の芯はちゃんとして、ややどんより曇った音質。颯爽と躍動する推進力は息子を連想させます。ヤロスラフ・クロンブホルツは往年のオペラ指揮者らしいけれど、「新世界」の録音も目撃したこと有。この「バレエ音楽」も「ルサルカ」全曲中の抜粋かも知れません。わずか4分弱、なぜここに収録されたのか不思議な、断片的な音楽也。

(2012年6月10日)


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written by wabisuke hayashi