Dvora'k 交響曲第8番ト長調 作品88
(ユーディ・メニューイン/ロイヤル・フィルハーモニー)


BRILLIANT 99571 Dvora'k

交響曲第8番ト長調 作品88
弦楽セレナード ホ長調 作品22 *

ユーディ・メニューイン/ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団

* 情報によれば、ブルノ国立フィルとの1992年SUPRAPHON録音しか存在しないはず?
BRILLIANT 99571 1994年録音 7枚組2,690円で購入

 コシュラーを主体とする交響曲全集の一枚。第9番のパーヴォ・ヤルヴィは、演奏録音ともなかなか新鮮でした。RPOレーベルで出ていた有名な録音だけれど、ネット検索してもほとんど出現しないので、ちょっとだけコメントしておきましょう。

 これも素晴らしき鮮度の録音でして、ロイヤル・フィルの強烈な金管の爆発と併せ、たっぷり爽快に楽しめるものとなっております。ストレス解消系演奏。ワタシお気に入りの作品なので、たいていの演奏OK!第1楽章から、纏綿と歌う、というより勢いでぐいぐい押していくような”爽やか系”演奏でしょうか。これだけ金管が鳴っても、威圧とか重さを感じさせない(むしろカルい)のがロイヤル・フィルだと思います。意外とさっぱりとした旋律表現。

 アダージョもさっぱり系。しっとりシミジミ歌いたくなる素敵な楽章だけれど、雄弁ではない。呼吸が浅い、時にやや素っ気ないくらいだけれど、アンサンブルはしっかり安定しております。ロイヤル・フィルのティンパニは誰でしょうね。あちこち随分と頑張って、存在を主張しますね。第3楽章〜切なくも美しい「アレグレット・グラツィオーソ」。いくらでも官能方面に持っていけるところだけれど、これもすっきり清潔な表現でして、ここまで聴いた結論は「旋律に思い入れをほとんど感じさせない」。

 オーケストラの強弱がスポーティであって、情感が足りない。色彩の変化に不足する。緊張と緩和を望みたい・・・但し、これはワタシの好みの問題でして、支持者はいらっしゃると思うのです。旋律に微細なニュアンスはむしろジャマである、と考える人がいてもおかしくない。

 終楽章は冒頭のトランペットからテンポが揺れて、一発最後は盛り上げたろうといった決意有。壮麗なる金管群大活躍だけれど、どこか腰のカルい印象ありませんか。リズム感が甘いのかな?有名なチェロの旋律にもこだわりがないというか、タメはほとんど存在せず、さらさら・・・それでもラストの大爆発にはストレス解消!的文句なし燃焼がやってきました。

 少々乱暴にコメントさせていただくと、こんなによくできた演奏なのに、どうしてさほどにオモロくないの?といったところですか。ファンの方、ごめんなさい。

 弦楽セレナードのほうは、少々ジミというか、ずいぶんと(交響曲とは)音の感じが異なりますね。(やっぱり違うオーケストラとの録音か?)演奏はとくにどう、といったものでもなくてフツウに良質なアンサンブル。こちら金管とかティンパニの鋭い楔はないから、やはり朗々と歌うような演奏であって欲しいと思います。

(2005年4月8日)


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written by wabisuke hayashi