Debussy・Ravel 名曲集(マルケヴィッチ/ホルヴァート)


MEDIAPHON(輸入元TEICHIKU)	MED22.340 Debussy

牧神の午後への前奏曲

マルケヴィッチ/ベルグラード・フィルハーモニー

交響詩「海」(3つの交響的エスキス)

ホルヴァート/オーストリア放送交響楽団

夜想曲

フロマン/ルクセンブルク放送管弦楽団/ロレーヌ聖歌合唱団

Ravel

ボレロ

フバド/リュブリャナ放送交響楽団

MEDIAPHON(輸入元TEICHIKU) MED22.340 録音情報不明  890円で購入

 2003年再聴・・・って、じつはRavel 「ボレロ」〜ナヌート/リュブリャナ放響のCD(The Rose Collection 3201)をいただきました。ああ、これフバド(ヒューバッド?)名義の正しい表記だよね、(ピタリ13:47と)たしか持っていたはず〜って、これでした。数年前のワタシは「オーケストラの弱さ、表現の凡庸さはおおうべくもありません」とニベもない。

 で、言い訳するワケじゃないが、ナヌート名義盤はけっこう誠実で、素朴な味わいはけっして悪くない。11分過ぎからのティンパニの切迫感!大盛り上がり!別な演奏を聴くかのような感慨!こりゃ自分の耳は腐っとったかなぁ、と。

 フバド名義盤に戻るとたしかに「オーケストラの弱さ、表現の凡庸さ」に思えなくもない!なんといい加減!こちら、音の鮮度がかなり落ちるのだね。音の芯が甘くなって、曖昧なる残響が少々。低音も弱め。ティンパニやスネア・ドラム、金管がクリアに浮かび出ない。

 ・・・・これ同じ音源?じつはナヌート名義盤の「13:47」(とスリーブに書いてある)はウソで、実際は「15:11」。そうだよなぁ、テンポ感が全然違うもの。もしかして、フバド(Hubad)盤って、別な録音じゃないの?誰かオセーて下さい。名義はともかく、ワタシは別録音と結論。おそらく間違いはない。

 他、演奏の印象としてはあまり変わらず。「牧神」に於けるベルグラード・フィルのフルートはそうとう酷い。いえ、オーボエも。ピッチがいい加減で気持ち悪いのは原テープの問題か?それでもマルケヴィッチの統率力は賞賛もの。ホルヴァートの「海」は、細部に拘った表現がたいしたものです。これは美しい演奏。アンサンブルも真面目一筋。色気はないけど、集中力・爆発力は充分でけっこうドキドキ(低弦のえぐりとか)もの。

 フロマン/ルクセンブルグ放送管の「夜想曲」をそうとう酷評したが、いまとなってはこのカルさ、明るさが魅力に思えました。「垢抜けない響き」〜これはウソ。「弦も薄い」これは事実〜でもそう悪くない。小太鼓がちょっとばかりズレたくらいでガタガタ言わんの。テンポはかなり揺れ、カッコ良い。アンサンブルの緻密さ云々するようなタイプの曲じゃないと思います。

 結論。ホルヴァートの「海」の入念なる仕上げも気に入ったが、フロマンのややふわふわとした「薄い響き」が”粋”と感じました。とても気持ちヨロシ。「牧神」「ボレロ」は選外か。(2003年8月22日)


 1999年(この頁執筆当時)に入ってユーゴ情勢が泥沼化しているようで、なにもできないワタシではあるけれど、その辺りのオーケストラの活動は気になります。ベルグラード・フィルというのはベオグラードのことらしく、録音は珍しいですよね。マルケヴィッチが、こういう無名なオーケストラとの協演で録音を残してくれたことに感謝。

 冒頭のフルートが生温く、いい加減な音色がたまりません。この曲はオーケストラの力量がかなり問われて、このオーケストラでは牧神の気怠い夢は表現できそうもありません。
 洗練されないオーケストラから、それなりのアンサンブルを作り出すところはさすがマルケヴィッチ。この曲のキモである木管のピッチなんかは相当に怪しいのですが、なんとかまとめてしまう彼の力量は凄い。音の状態はまぁまぁ。

 「海」は隠れ名人ホルヴァートの待望の録音。(というか、あちこちでこの録音は目撃していた。たいていホームセンターの棚の端のほう)

 ベルグラード・フィルの後に聴いたせいか、アンサンブルもよく整って立派な演奏に感じました。オーケストラの響きに「香り」みたいなものはありませんが、繊細で細部まで神経の行き届いた指揮ぶり。(とくに「波の遊戯」)

 オーボエやホルンなんかも、地味ながら意外と良い音で鳴っていますね。弦も透明。オーソドックスで、芝居じみた表現とは無縁、ゆったりめで余裕のテンポ。バランスのとれた美しい演奏と思います。(少々、真面目すぎて、遊びがないが)後半に行くほど、けっこうスケールも感じさせます。最終版の盛り上がりはさらに見事。録音はそれなりの水準。

 「夜想曲」は、原盤の関係が理解できませんが、おそらくVOX録音(?)。録音も演奏もふつうのでき。頼みの木管は心許なく、やや無遠慮と云ってもよいくらい。アンサンブルは洗練されず、垢抜けない響きです。弦も薄い。

 「祭り」の勢いはまぁまぁの方かな。小太鼓が遅れて入るところなんか、何とも形容しがたいですね。この演奏家はVOXでたくさんお世話になっているので、親しみを感じます。名曲ですし。

 「ボレロ」は、この人なんて読むのでしょうか?フバド?ヒューバッド?期待の無名指揮者の演奏への期待は、いとも簡単に裏切られ、オーケストラの弱さ、表現の凡庸さはおおうべくもありません。ま、いいじゃないの。たまにこんな演奏も。

 これだけDDDとなっていますが、ま、「デジタルという方法で録音した」に過ぎません。たいした音じゃありません。(のち、情報をいただきまして、ナヌート/リュブリャナ放響の演奏とのこと)

 各々の録音は、いろんなところで廉価盤として目撃していますが、このCDはなんといっても72分収録のお徳用盤。なかなかの名選曲ですが、演奏にはばらつきがあります。たしか、このCDはどこかの薬屋さんで買ったような記憶があります。


Debussy 「イベリア」(ホルヴァート)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi