Beethoven ピアノ協奏曲第4番ト長調
(グルダ(p)/クリュイタンス/スイス・イタリア語放送管弦楽団1965年ライヴ)


ERMITAGR  ERM144-2/処分済DOCUMENTS 223603/2
Beethoven

ピアノ協奏曲第4番ト長調 作品58

フリードリヒ・グルダ(p)

Franck

交響曲ニ短調

アンドレ・クリュイタンス/スイス・イタリア語放送管弦楽団(1965年ルガノ・ライヴ)

ERMITAGR ERM144-2  $2.98にて個人輸入/処分済
DOCUMENTS 223603/2(AURA)  10枚組 1,700円程で再購入

 以下再々コメントより6年経過しております。自分の昔の文書を眺めることは顔から火が出るほど恥ずかしくて、再コメントを急ぎたかったが、両作品とも少々苦手系でCD棚に手が伸びませんでした。ここ2年ほどCD在庫削減(途中断念/総量維持へ)の経過で単品処分して、その上がりでボックスセット再購入済み〜(オークション処分した費用で)充分ペイするから価格相場下落は恐ろしい。

 貧弱なるオーディオ装置故、音質云々するのは専門外だけれど、グルダのピアノがとても繊細に、美しく捉えられていると思います。(最新録音とは比較できぬが/ライヴだし)35歳若者の演奏はきらきらと輝いて、細部まで入念なる配慮が行き渡ったもの。この作品は、第1/2楽章がとても静かであり、まるで小声でゆっくり説得するような床しいピアノでした。終楽章だって、出足、強靱なるBeeやん節が少々苦手だけれど、やがてグルダのリリカルなタッチが自然な流れで聴き手を魅了します。ベーゼンドルファーでしょうか。柔らかく、暖かい音色。

 クリュイタンスのバックも立派なもので、協奏曲に限って言えば響きの薄さを感じさせません。時に内声部の旋律がソロを効果的に支えて、味わい深い箇所があちこち・・・苦手系作品との認識は、こんな繰り返しで克服されるのでしょうか。爽やかな涼風のような演奏でした。

 Franck の交響曲ニ短調を集中的に聴いたのが2005年。以前ほどの苦手感はなくなりつつあるが、難物なる作品に間違いない。クリュイタンスはステレオ録音を残しませんでした。(1953年フランス国立放送管弦楽との録音有)久々の再聴は、上記協奏曲の印象と同じようにオケの弱さ、薄さはそう気にならない。音質的にはクリアとは言いかねるが、この類のライヴとしてそれなりの水準に達していると思います。独墺作品にも定評があったクリュイタンスは、軽快繊細な響きで、作品を混迷混沌の世界から遠ざけておりました。

 ホルンや木管が素っ気ない、弦が薄い・・・そんなことを指摘できるだろうし、第1楽章もひまひとつ響きがクリアではない〜馴染みのオケではないが、クリュイタンスの統率力に間違いはない。入念なる味付けをして、それでも濃厚重厚粘着質にならぬのが救いなんです。第2楽章「アレグレット」は颯爽として淡彩であり、終楽章は慌てず、力まず、響きは爽快にして濁らない。”素っ気ない、薄い”オケというのは、ここではプラスに働いていると思います。

 上品で柔和、クリュイタンスのいつもイメージはライヴ、馴染み薄いオケの客演でも同様なんです。難しい旋律を、美しく仕上げた演奏也。

(2008年5月9日)


 ライヴもののCDはまだまだ手元にあるが、ここ最近エア・チェック音源に手を取られてちゃんと聴いておりません。ちょうどこのサイトを開いた辺り(1998〜1999年)がワタシ的にライヴ音源大ブームで、その後、BRILLIANT、HISTORYなんかがバンバン出たのでやや疎遠に。ちゃんと聴きましょうね。

 ワタシはBeethoven を苦手としていて、とくにピアノ協奏曲集はいけません。滅多に聴かん。新しいCDを買う気もおこらない。でも、激安BOXものを購入したら、たいてい入っているから、ま、手元にはどんどん増えるんです。悩ましいが、時々ちゃんと聴かないと罰が当たりそう。第4番ト長調協奏曲は、比較的好きな作品です。

 このCD、クリュイタンスとしては珍しい音源で、最晩年、スイスのオケも、グルダとの競演も貴重。やや雑然とした感じだけれど、音には芯があって聴きやすい。スイス・イタリア語放送管弦楽団はあまり美しくない響きで、さすがのクリュイタンスもやや苦戦気味でしょうか。でも、グルダのピアノは輝くよう。(シュタインとの有名な全集は未聴)

 リリカルで余裕があって、気持ちよく歌って暖かい。どこにもリキみがなくて、Beethoven にだってちゃんとこんな美しい旋律があるんだよ、と言わんばかりの自然体。派手ではないが、華やかさがあります。やはり終楽章でしょうかね、白眉は。曲的にもそうだけれど、押しつけがましさ皆無なんです。弱音の繊細さも特筆しておきましょう。

 クリュイタンスのバックは、ソロにピタリと寄り添っていて、出しゃばりません。オケ特有の魅力あるパートは期待できないが、必要にして充分な引き立て役でしょう。彼のBeethoven の交響曲の味わいもある。

 Franck の交響曲ニ短調はさほどに好きな曲ではありません。でも、これも不思議と貯まってしまう曲で、油断できません。(10種くらいCDがあるはず)一歩間違えば、混沌と暗黒の世界になってしまって、明るくて馬力のあるオケで聴いたほうが楽しめます。

 クリュイタンスは期待通り、明るく、よく歌って気持ちがよろしい。但し、録音状態は不満でした。魔法のように転調し、強弱のメリハリのついた旋律を繊細に表現しています。が、オケの響きが薄いのと、アンサンブルが濁るのは、録音のせいとばかり言えませんが。

 ライヴならではのアツさはありますね。いつもの上品さ、良い意味でのカルさもちゃんとあって、凡百の水準ではない。録音さえ少々ガマンいただけば、この曲のベストと評する方がいらっしゃっても不思議ではないでしょう。(2002年5月4日)以下、数年前の文章もそのままに再掲載。 


 エルミタージュの音源は、スイス・イタリア語放送局の放送録音が多い。手兵のオケを連れてきた人は別にして、著名な音楽家が地元ルガーノのスイス・イタリア語放送管と競演しています。
 シェルヘンの録音はずいぶん有名になりましたが、クリュイタンス、シューリヒト、サヴァリッシュ等の目を離せない貴重な録音が残っているもの。このCDはどうやらステレオ録音といった水準で、音質はあまり期待できません。

 グルダとクリュイタンスが組んだ録音というだけで、ちょっとソソられる珍しさ。選曲も魅力的。

 ベートーヴェンの第4協奏曲は、第5番に比べると静かで上品な旋律がずっと聴きやすい。そっと語り掛けて、誘われていくような第1楽章、不安げな第2楽章から、春の目覚めのような爽やかな最終楽章に至る名曲。グルダは知的で、粒立ちの整った輝くような音色で弾いています。重すぎたり、モノモノしくならないスマートさ。

 第2楽章の、抑えに抑えた静かな語りは幻想的でさえある。クリュイタンスのバックの雰囲気も似ていて、上品かつ明快なサポートぶり。オケの音色そのものはそう魅力的ではなくて、響きも濁りがち。録音のせいだけではないはず。

 グルダはシュタインと有名な全集を完成させていますが、残念ながらどれも未聴。高い評価が納得できる水準の演奏です。ウワサによると、数ある録音の中で、このライヴでのピアノが一番美しい音色とのこと。終楽章の軽快なソロを聴いて納得して下さい。

 フランクは、クリュイタンスが正規の録音を残していたかどうかの記憶が曖昧です。モノラルであったような・・・・・。いずれにせよフランス音楽の名曲を、こうした形で残してくれたのはありがたい。

 この曲は構成力が要求され、きちんと収まりよくまとめるのはむずかしいと思うのです。ひとつ間違えば、重苦しくて地味な響きに陥ってしまいがち。
 そこはさすが名手クリュイタンス、やや粗いオケながら明快に見通しよく演奏しています。このひとはベートーヴェンを得意としていたように、構成力もスケールもありました。常に楷書の表現で、細部に曖昧さがなく、透明で、そして重くならない。

 馴染みのないオケながら、その特質はじゅうぶん生かされた明るい演奏。オケの個々の演奏者の音色に魅力がなかったり、録音の不満はありますが、そっと囁くような繊細な歌い回しを聴いていると、なんとも云えず気持ちが良いものです。


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written by wabisuke hayashi