Schiassi/Locatelli/Torelli/Vivaldi/Manfredini/Corelli
クリスマス協奏曲集
(ユルゲン・ガイゼ/ツィス・コレギウム・モーツァルテウム・ザルツブルク)


ARTE NOVA74321 31681 2/ 3枚組583円 Schiassi(1968-1754)

イエス生誕の田園交響曲ニ長調

Locatelli(1965-1764)

合奏協奏曲ヘ短調 作品1-8(クリスマス協奏曲)

Torelli(1658-1709)

クリスマス協奏曲 ト短調 作品8-6

Vivaldi(1678-1741)

フルート協奏曲 ヘ長調 RV.434 作品10-5

Manfredini(1688-1748)

クリスマス協奏曲ハ長調 作品3-12

Corelli(1953-1713)

合奏協奏曲 ト短調 作品6-8「降臨の夜のために」

ユルゲン・ガイゼ/ツィス・ツィス・コレギウム・モーツァルテウム・ザルツブルク/ヘルゲ・ローゼンクランツ(リーダー)/マリアンネ・ボルシェ(fl)/ヨハネス・ボーグナー(cem)

ARTENOVA 74321 31681 2 3枚組583円(1枚目)

 2008年12月。他の一枚へのコメントが残っておりました。この時期にこんな”企画もの”を拝聴するのも良いものでしょう。ツィス・コレギウム・モーツァルテウム・ザルツブルクは1978年に設立された14の弦楽器によるグループ、芸術監督のガイゼはモーツァルテウムの教授を務めている・・・とのネット情報でした。録音時期不明、おそらくディジタル時代(1980年)以降と類推いたします。瑞々しい残響豊か、音質極上。小編成によるヴィヴラートたっぷりな現代楽器使用。17世紀後半生まれの作曲家による、イタリア・バロック作品を集めた趣向も明快、名曲揃い。作品明細表記が少々不親切で、上記は調査して加筆しております。

 イタリア古楽器の先鋭・イル・ジャルディーノ・アルモニコに似たような趣向の一枚があって、Torelli/Manfredini/Corelliがダブります。こちら歯切れの良い明るい音色、ゆったり悠々として優雅、ちょっと昔風保守的穏健派、いかにも敬虔、暖かい雰囲気漂いました。アンサンブル、技量も上々です。学究的トライヤルな姿勢は皆無、これはこれで良いものですね。最初から最後までワン・パターンなスタイルにて通します。

  Gaetano Maria Schiassi(スキアッシ 1698-1754)が珍しいでしょうか。他では聴いたことはありません。ボローニャの出身らしい。4楽章わずか7分ほどの弦楽器のみの交響曲(シンフォニア?)であって、緩急緩急の流れとなります。敬虔かつ神々しいアダージョに始まり、ヨロコビに充ちた躍動アレグロにはちょっぴり陰影有。第3楽章「ラルゴ・スピカート」はチェンバロ・ソロが主役であって、とつとつと抑制された音色がもの哀しげ、終楽章「アンダンテ」は晴れ晴れとした表情が眩しい。

 Pietro Antonio Locatelli(1965-1764)の合奏協奏曲は複数の(ヴィヴラートも美しい)ソロが複雑に絡み合う、短い緩急感急緩急(ここはそうでもない)緩といった流れ、7楽章計16分弱ほどの作品。著名なるCorelliのクリスマス協奏曲によく似た風情、もっとウェットで嘆きの旋律が連続しております。第5楽章「ラルゴ・アンダンテ」〜ゆったり三拍子の歩みは溜息が出るほどちょっぴり切ない・・・ま、どこをとっても絶妙な旋律ですよ。ラスト、安寧のパストラーレにて優雅に締め括るのはパターンなのでしょう。

 Giuseppe Torelli(1658-1709)はかなり著名でしょう。第1楽章短いグラーヴェの序奏を経、即ヴィヴァーチェの主部へ、急緩急の3楽章わずか7分弱の合奏協奏曲は名曲中の名曲。切ない旋律が複数のソロによって絡み合います。第2楽章「ラルゴ」は思わぬチェンバロのソロ(というか短い詠嘆、モノローグ風)大活躍、シンプル哀愁なヴァイオリン・ソロが交互して聴きもの。終楽章は劇的な躍動がありました。

 Vivaldiはこれのみフルート協奏曲、CD一枚中にアクセントと色合いを付けたかったのでしょう。この作品がどうクリスマスと関連しているのか知る由もないけれどオペラからの引用だそう)、ほっと暖かい素直な音色+ノンビリとした旋律。第2楽章「ラルゴ」はいかにも原曲は歌、といった陰影深い旋律となります。クレジットではフルート・ソロはひとり、第1楽章にはもう一本聞こえるんだけどなぁ・・・耳の錯覚か。

 Francesco Onofrio Manfredini (1688-1748)の協奏曲は第1楽章「パストラーレ」。CorelliやらLocatelli作品の終楽章がいきなり始まった?安寧優雅な印象の開始であります。ソロ・ヴァイオリン二人のゆったりとした掛け合い、それを支える通奏低音(チェロ、チェンバロ)がジミジミ美しい。第2楽章は寂しげ静謐なる「ラルゴ」、終楽章「アレグロ」は晴れやか屈託のない、懐かしい旋律帰って参りました。緩緩急といった流れの3楽章8分強の作品。

 ラスト、お馴染みArcangelo Corelli(1953-1713)のクリスマス協奏曲。これが決然たる開始「ヴィヴァーチェ・グラーヴェ」からヴァイオリン・ソロに、驚きの装飾音が付加されております。 緩急緩(中間に急有)急急緩の6楽章構成、切迫した第2楽章「アレグロ」に受け渡されるスピード感のみごとなこと、第3楽章「アダージョ」は、ノンビリほっとさせる対比の上手さ、しかも途中にざわついた「アレグロ」を夾んで緊張感を高めました。第4楽章「ヴィヴァーチェ」には嘆きの情感が高ぶります(三拍子)。第5楽章「アレグロ」はリズムを変化させ緊張感ある嘆きは継続、そのままアタッカにて終楽章「パストラーレ」へと突入。

 前2楽章に渡って継続した緊張感は、ここで一気に開放され癒しの旋律が待っておりました。これぞキリスト生誕の歓び也(知識としてではなく、カトリックの幼稚園にて刷り込まれたクリスマスのイメージ。お遊戯もしました。記憶曖昧ながら自分は東方の三賢人役だったような?)、シミジミ名曲。

(2012年12月23日)

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written by wabisuke hayashi