Bach /Scarlatti/Galuppi/Bernhard クリスマス・カンタータ
(ヘレン・クォン(s)/エミール・クライン/ハンブルク・ソロイスツ)
Bach /Gounod
アヴェ・マリア(チェロ版)
A.Scarlatti
カンタータ・パストラーレ
Galuppi(1706-1785)
クリスマス・アリア
4声の協奏曲第2番ト長調
Bernhard (1628-1692)
クリスマス・カンタータ「恐れるな」
Bach /Reger
アリア「おお人よ、何時の大いなる罪を嘆け」
Bach /Gounod
アヴェ・マリア(声楽+オルガン版)
ヘレン・クォン(s)/エミール・クライン/ハンブルク・ソロイスツ
ARTENOVA 74321 31681 2 3枚組583円(2枚目)
2008年12月に購入した、とメモが残っている正真正銘の”廉価盤”というか、クリスマスの企画もの。ネット検索してもほとんどその存在は消えております。録音情報はもちろん、作品詳細さえ記載されぬ不親切な作り(「カンタータ・パストラーレ」は息子のドメニコ表記になっているが、おそらく親父アレッサンドロの作品/Galuppiの協奏曲には調性表示がない)・・・ヘレン・クォン(s)は中国系亜米利加の人?最近来日もしておりますね。清涼清潔、劇的激情に非ず、しっとりとした歌声。エミール・クラインはARTENOVAに多く登場したチェリスト/指揮者であって、知名度ともかくけっこうな実力者ですよ。現代楽器だけれど、ここでも瑞々しいアンサンブルをたっぷり堪能させて下さいました。残響豊か、音質も上々です。いかにもクリスマスに相応しい、神々しい、静謐な作品連続しております。
「アヴェ・マリア」は誰でも知っている平均律クラヴィア曲集第1巻第1番ハ長調の前奏曲に乗せて、敬虔な旋律+歌詞を加えたもの。低弦のピツィカートに夢見るように静謐な世界が広がります。「カンタータ・パストラーレ」とBernhardの「恐れるな」はクリスマスの定番らしくて、スミ・ジョーのアルバムにも登場します。序奏〜「おお貧しき者はいかに幸いか」〜「星の真ん中から」〜「人間のかたちを借りて」〜「すべての幸福の贈り主が」〜「おお、なんと幸運な羊飼いたち」〜「パストラーレ」から成り立っていて、清純無垢なソプラノにヴァイオリンがオブリガートして、通奏低音のチェロがしっかり支えております。
心が洗われる、とはこのことか。言葉の意味は通じなくても、敬虔な精神のみしっかり理解可能です。
Galuppiの「クリスマス・アリア」は詳細調べ付かず。喜ばしげに弾む3分弱の歌声。4声の協奏曲第2番ト長調がクリスマスに関係するのかどうか知らぬが、Handel の合奏協奏曲風作風です。やや浪漫的優雅な表現ながら、ま、こんなコンピレーションCDじゃないと出会えぬ美しい旋律連続。第2楽章「アンダンテ」の暗鬱な嘆き、終楽章「アレグロ」の晴れやかでノンビリとした風情も清々しい。
Bernhard (1628-1692)は初耳でして、世代がちょっと遡りますね。(大Bach が1685-1750)「恐れるな、見よ」〜「ダヴィデの街に救い主が生まれ」〜「天には神に栄光あれ」〜「アレルヤ」からなる8:21の作品であり、声楽の間に弦楽による「アダージョ」〜が挟まります。作風は前作品にくらべ、ややシンプルであり、硬派。ド・シロウト的感想ではPurcellの「ディドとエネアス」連想いたしました。ウォンのゆらゆら揺れるソフトなヴィヴラートが魅力。「アレルヤ」には1世紀以上後に生まれるMozart 「エクスルターテ・ユビラーテ」K.165 (158a)に於ける快活な歓喜とは対照的な、控えめな哀愁がありました。
Reger編曲のアリア「おお人よ〜」は、ほとんどMahler のテイストに接近!(交響曲第3番ニ短調の終楽章「愛が私に語ること・父様はぼくの傷口を見てくださる」)Bach の旋律を使いながらちゃんと浪漫サウンドになるんですね。ラスト、冒頭作品に戻ってオルガンとソプラノの「アヴェ・マリア」再来。これはアンコールであって、かなり残響の足が長くて雰囲気変わって、いかにも遠くから鳴っている印象でした。 (2011年12月11日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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