Chausson ヴァイオリンとピアノ、弦楽4重奏のためのコンセールニ長調 作品21/
チェロとピアノのための小品 ハ長調 作品39 (レ・ミュジシャン)


HARMONIA MUNDI FRANCE HMP3901135 Chausson

ヴァイオリンとピアノ、弦楽4重奏のためのコンセールニ長調 作品21
チェロとピアノのための小品 ハ長調 作品39

レ・ミュジシャン(レジス・パスキエ(v)/ジャン・クロード・ペヌティエ(p)/ロラン・ドガレイユ、ジェネヴィーヴ・シモノー(v)/ブルーノ・パスキエ(va)/ロラン・ピドゥー(vc))

HARMONIA MUNDI FRANCE HMP3901135  1983年録音 1,350円で購入

 ここ7年ほどオークションでのCD処分加速させ、当初は買い替え、やがて在庫整理一方に至っております。ハイフェッツのエア・チェック・テープに言及もあるけれど、既にその媒体も処分済、CDにて再入手果たしております。以下の言及は20世紀中、@1,350CD購入に大騒ぎと覚悟を決めたようすが見て取れます。爾来20年経過、現役にて部屋に鳴り響く名曲と感動に感謝。かつてエエ加減な、エラそー(クソ生意気)な一文認(したた)めていて、最近ますます音質を気にするようになっても、この辺り太古音源でもたっぷり愉しめます。あいかわらず、意外と録音は少ないのは状況変わっていないかも。こんな名曲なのに、メジャーな存在に至っていないかも。このCDも現役ではないでしょう。

 そのハイフェッツによる快速、素っ気ない演奏も悪くないけれど、こちらまさに揺れ動く纏綿は本場モン。しっとりウェットな詠嘆と叙情あふれ、たっぷり歌う甘美な演奏でした。なんせ官能溢れるエッチ作品ですから。第1楽章「Decide - Calme - Anime」は決然とした(Decide)堂々たる(重苦しい)ピアノ主題(3音)にて開始。それはやがて流麗に変じ、長調に転じて明るい風情へ、この辺りの転調はFranck に似ておりますね。遣る瀬ない旋律の変化、魅力はこちらが上でしょうか。ピアノ大活躍、ここでのヴァイオリン・ソロはアンサンブルの則を超えぬ(ハイフェッツだと、ひたすら彼ばかり目立つ〜のも悪くない)アンサンブルの融和有。途中消え入りそうに繊細な弱音も、そっと息を潜めるよう。いかにもお仏蘭西な優雅であります。

 第2楽章「Sicilienne」(シシリエンヌ)。この儚さ、切なさ、微妙にタメのあるリズムは絶妙の揺れであります。絶品!わずか5分弱の愉悦。第3楽章「Grave」は暗い出足、粛々とアルペジオを刻むピアノが主役でしょう。そこにヴァイオリン・ソロ、弦楽が呆然と、不安げに、ときに激高して絡みます。遣る瀬ない表情は変幻自在に色付けさせ、長い吐息のような叫びに至りました。第4楽章「Tres anime」(非常に生き生きと)エキゾチックな主題がピアノによって決然と開始され、やがて弦がそれを引き受けて、劇的なフィナーレであります。主役はジャン・クロード・ペヌティエ(p)でしょう。

 チェロとピアノのための小品 ハ長調 作品39はわずか8分ほど。寂しげに内省的であり、ピドゥーのチェロは親密に、静かに、延々と歌って雄弁に非ず。旋律の魅力は先のコンセールに負けぬもの。しっかり全体を支えている陰の主役は、やはりペヌティエ(p)なのでしょう。

(2014年2月22日)

 わずか5分弱の「シシリエンヌ」に出会ったのは、ずいぶんと昔の子供時代。(たしかAM放送)全身に電流が走りました。曲名はわからなかったけれど、やがてFM放送で再会。これほどの名曲なのに録音は意外と少なく、廉価盤となる可能性も低い。このCDは覚悟して買いました。レギュラー・プライスで買っても、お釣りが来るくらいの価値有。もし、この曲を未聴でしたら、貴方の人生には、まだまだ沢山の楽しみが残っていることになります。

 どんな演奏でもかまわないので、CDを探して下さい。但し、録音はあまり旧くないのを選ぶこと。手元にハイフェッツ/サンロマ/ミュージカル・アート弦楽四重奏団のエア・チェック・テープがあるけれど、鮮度の良い音で聴いたほうがずっと楽しめる。(このCDでは42分であるの対して、ハイフェッツは32分の快速)もちろん、演奏の質の問題が前提。(ハイフェッツも聴きどころは多いが)

 このCD、たしか国内盤でも出たことがあって、「レ・ミュジシャン」の表記となっていたはず。フランスの名人たちの集い。むせ返るような、ロマンティックで遣る瀬ない旋律の宝庫。夢見るようであり、充分セクシーであり、濃密な夜の闇に咲く華やかな花びらでもある。囁くようでもあり、歌うようでもある。ため息のようにも聞こえる。

 第1楽章は大胆なロシア民謡風であり、それが堂々と発展し、やさしく変化を遂げ、官能が高まります。冒頭、ほんの短い動機が次々と姿を変えていく神秘。パスキエのヴァイオリンは、なんと表現したらよいのでしょうか。いわゆる「美音」ではないけれど、このコク、ひとつひとつの旋律の表現の深さ、主張の強さ。

 「シシリエンヌ」は、聴き手の身体を自然と揺らせます。ゆったりと、深い呼吸で。はかなげで、悲しみがそっと流れ出すような切なさ。ペヌティエの、そっと大切なものを守るような、暖かくやさしいタッチ。幼い子供たちが無心で遊ぶようであり、一方で清純な「死」を連想させる楽章。

 日が暮れてしまった帰り道を、トボトボ歩くようなGrave。疲れ果て、泣き疲れて、抜け殻のようになった気持ちの表現。そして激しい気持ちの高まりを伴う回想。

 フィナーレも哀愁を含んだ旋律が美しい。ユニゾンが多用され、エキゾチックであり、劇的でもあります。息のあったアンサンブルの充実していること。少々甘すぎる旋律が続いたあとには、この楽章が全体を引き締めています。

 演奏は、おそらくこれ以上のものは考えられないくらい完成度が高く、香気に溢れたもの。繊細で、粋で、(ワタシのような世界の田舎者が想像するような)「フランス風」の演奏でしょう。フランクの世界にとても近く、濃厚な甘さはピアノ五重奏曲ヘ短調(こちらは録音が多い)と双璧。ワタシはとくに女性好みの作品と思うのですが、いかがでしょうか。

 チェロとピアノのための小品 ハ長調も、淡々としてシンプルな旋律が心を打ちます。ピドゥーのチェロが控えめで、味わい深い。雄弁になりすぎない。「協奏曲」の官能に酔ったあとの、けだるい余韻のようでもあります。

(2000年9月8日更新)


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written by wabisuke hayashi