Mozart カノン集
(ニコル・マット/ヨーロッパ室内合唱団/ヴュルテンベルク・フィルハーモニー)
Mozart
1. Adagio for 2 basset horns & bassoon in F major, K. 410 (K. 484d)
2. Canon in 3 parts in B flat major ("俺の尻をなめろ、きれいにきれいにね"), K. 233 (K. 382d)
3. Canon in 4 parts in G major ("おいフライシュテートラー"), K. 232 (K. 509a)
4. Canon in 3 parts in F major, (K. 508a/1)
5. Canon in 4 parts in F major ("おお、お前ばかなマルティンよ"), K. 560
6. Canon in 4 parts in A major ("おやすみ! ほんとののろまさん"), K. 561
7. Canon in 3 parts in F major, (K. 508a/2)
8. Canon in 6 parts in B flat major ("俺の尻をなめろ"), K. 231 (K. 382c)
9. Canon in 2 parts in F major, (K. 508a/3)
10. Kyrie for 5 sopranos in G major, K. 89 (K. 73k)
11. Canon in 4 parts in C major ("アレルヤ"), K. 553
12. Canon in 4 parts in F major ("アヴェ・マリア"), K. 554
13. 我らに平安を与え賜え
元后、童貞聖マリアのためのリタニア for soloists, chorus (& orchestra?) K. 109 (K. 74e)
14. Canon in 2 parts in F major, (K. 508a/4)
15. Canon in 3 parts in F major ("快活さと軽やかな気質"), K. 507
16. Hei wenn die Glaser
4つの謎のカノン K(2) 89a, (K. 73r)
17. Canon in 2 parts in F major, (K. 508a/5)
18. Canon in 3 parts in G major ("夏の暑さに俺は食う"), K. 234 (K. 382e)
19. Canon in 3 parts in F major ("すべての友の健康を"), K. 508
20. Canon in 2 parts in F major, (K. 508a/6)
21. No. 1, ヘ長調 3声
4つの謎のカノン K(2) 89a, (K. 73r)
22. No. 2, ト長調9声
4つの謎のカノン K(2) 89a, (K. 73r)
23. No. 3, ハ長調 3声
4つの謎のカノン K(2) 89a, (K. 73r)
24. No. 4, 変ロ長調 二重のカノン
4つの謎のカノン K(2) 89a, (K. 73r)
25. Canon in 2 parts in F major, (K. 508a/7)
26. Canon in 4 parts in G major ("支度をせよ"), K. 556
27. Canon in 4 parts in B flat major ("プラータ公園に行こう、あの森へ"), K. 558
28. Canon in 2 parts in F major, (K. 508a/8)
29. Canon in 12 parts in G major ("こころやさしく君を愛す"), K. 348 (K. 382g)
30. Canon in 4 parts in A minor ("われは嘆き悲しむ"), K. 555
31. Canon in 3 parts in A major ("愛らしいきわが美しの偶像"), K. 562
32. Canon in 4 parts in F minor ("わが太陽は隠れたり"), K. 557 (by Caldara)
33. Canon in 3 parts in F major ("マルスとイオニア人になるのは難しい"), K. 559
34. Canon in 3 parts in C major, (K. 508A)
35. Canon in 3 parts in C minor ("彼女は死んだ"), K. 229 (K. 382a)
36. Canon in 2 parts in C major ("幸いなるかな、幸いなるかな"), K. 230 (K. 382b)
37. Canon in 6 parts in D major ("泡立つ酒がグラスに光るところ") , K. 347 (K. 382f)
38. Canon in 4 parts in C major for 2 violins, viola & bass, K. Anh. 191 (K. 562c)
39. Canon in 4 parts in B flat major, (K. 562a)
40. Canons (2) in 4 parts in F major, 二重カノン「ああ、われらが人生は余りに短し」K. 228 (K. 515b)
41. Sinkt die Nacht, canon, K. 109d
ヨーロッパ室内合唱団
ヴュルテンベルク・フィルハーモニー弦楽ソロイスツ
ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管楽ソロイスツ
クラリネット・トリオ(Musikschule Achern-Oberkirch)
ニコル・マット
BRILLIANT 99738/6 2002年録音 購入価格失念300円ほど?で購入したか
こんなCDが手軽に、安価に入手できるようになったのが、21世紀のありがたいところ。ほんまに楽しくて、純粋に自分のために作品リストを作ったもの。ほとんどの出典は、いつもの素敵なサイトからの情報です。ま、もとより宗教的意味合いやら当時の風習も("俺の尻をなめろ、きれいにきれいにね"みたいなシモネタは日常会話だったらしい/女性も含め)わからないし、もちろんドイツ語など縁がない。「16. Hei wenn die Glaser〜4つの謎のカノン K(2) 89a, (K. 73r)」と「41. Sinkt die Nacht, canon, K. 109d」は(ネットでいろいろ見たが)どんなものやら調べがつきません。
ま、研究者じゃなくて、たんなる愛好家なのでこの程度で許してください。以前、「フリーメイスンの音楽」でも同様の趣向の更新がありました。「アダージョ」K. 410 (K. 484d)はそちらにも含まれてますね。たしかに「2つのホルンが対位法による転回カノンで絡み合い、ファゴットが伴奏する」となっている正真正銘のカノンであります。(ホルンって、バセット・ホルンだからクラリネットの親玉みたいなものでしょう)ノンビリして、静かで、何とも言えぬ味わい有。でも、繰り返しがないのか、ペーター・マーク盤の半分以下1分少々しかない。
13. 我らに平安を与え賜え K.109は、(+管弦楽のための)となっているが、ここでは合唱のみの演奏。もとの楽譜はどうなっているんでしょうね。8. Canon in 6 parts in B flat major ("俺の尻をなめろ"), K. 231 (K. 382c) は、題名歌詞ともかく、旋律はジュピター交響曲終楽章のフーガによく似た素晴らしき広がり有。39. Canon in 4 parts in B flat major, (K. 562a)/40. Canons (2) in 4 parts in F major, 二重カノン「ああ、われらが人生は余りに短し」K. 228 (K. 515b)にもそのテイストがいっそう濃くて、スケールが大きい。
「ヴュルテンベルク・フィル」との表記だけれど、シュトゥットガルト・フィル(コンサート専門のオーケストラ)のことなのか、それともシュトゥットガルト州立歌劇場が演奏会をするときの名称である「ヴュルテンベルク州立管弦楽団」絡みのことなのか?ようわかりません。もしかしたら、更に別団体あるかも。ほんの短い作品であり、数人による小さなアンサンブルだけれど、ていねいなる技量に問題はありません。(Reutlingen ロイトリンゲン、となってますが?)
ニコル・マットはフリーダー・ベルニウスやエリク・エリクソンのマスター・コースに参加した、と情報にあるように、13人のヨーロッパ室内合唱団(写真で数えた/女声6人、男声7人)を率いて、透明クールですっきり洗練された、ヴィヴラート少ない表現に徹しております。どれも短く、わかりやすい旋律を繰り返しつつ、あっという間に終わってしまいます。
全68分、心の垢が洗い流されるような清涼な世界(ま、歌詞は時にかなり怪しい内容らしいが)続きます。途中、飽きがこないように管楽器によるアンサンブルが挟まれ、弦楽4重奏によるK. Anh. 191 (K. 562c)に至っては(ま、どれもだけれど)まさに、”珠玉”。2006年という記念の年に出会えた感動の一枚。
(2006年12月22日)
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BBSにて詳細御教授をいただきました。
「このK.109dは、ケッヘル第6版では 73x とされているものです」
とのことで、
これは「Mozart con grazia」さんのサイトからすると、
・K.73x 人声のための習作カノン
[ 70年から72年 イタリアかザルツブルク ]
1770年にマルティーニ神父の指導による習作と見られる。しかしプラートは自筆譜の筆跡から1772年の作と推定。
とされているもののことなんでしょう。
(あと、これはもうご存知かも知れませんが、同じアルバムの K.508b というのも、K.508A [大文字のA] の間違いだそうですね。これについては、Philips盤などと比較して確かめてみることが出来ました。)
ザスローの『モーツァルト全作品辞典』に、K.109d=K.73x であることが明記されていました!
これによると、正しい番号はK(3)Anh.109d となるようで、第6版で K(6).73x になったようです。
残念ながら、曲の内容についての詳しい解説は、これといって載っていません。「習作」であることと、1772年頃ザルツブルク成立ということだけが書かれています。
ところでこのトラック16の「Hei wenn 〜 K(2) 89a」は、
正確には K(2) 89a=K(6) 73r のことではなく、K(2) 89aI=K(6) 73i が正しいようです。
(ブリリアントCDのケッヘル番号、結構間違ってるのが多いですよね。)
こちらの作品は、レコ芸編の『モーツァルト名盤大全』にも、
内容についての詳しい解説が載っていました。
一部転載しておきます。
4声のカノン イ長調 K(2).89a-I(73i)
作曲:1772年または1770年4月 ローマ?
編成:4声(楽器指定なし)
39小説から生る4声部のためのカノン。自筆譜が2種類残っており、歌詞も楽器指定も書かれていない。新全集では1770年4月ローマで作曲されたと記しているが、プラートの筆跡研究では1772年とされており、『5声のためのキリエ』K.89(73k)や『4つの謎のカノン』K(2).89a-II(73r)などと同様に、ボローニャ訪問時に聖フランチェスコ教会の楽長であったジョヴァンニ・バッティスタ・マルティーニから学んだ対位法の練習のために書かれたものと推測されている。『4つの謎のカノン』で見られるように、マルティーニが1770年に著した『音楽史 Storia delia musica』の巻頭に書かれた謎のカノンを模範としているようだ。(以下、推薦盤の演奏評なので略)
また、ザスローの辞典では、
最も早い時期に書かれたと思われるカノンは、歌詞を持たない輪唱 K.89a-1 である。モーツァルトはこのカノンを、15小節からなる単旋律のかたちで記譜し、第4、7、10小節に新たな声部の入りを指示している。ただし、第13小節で5番目の西部が入るものと想定するのが合理的である。というのも、そうでないならば、カノン全体が反復される際に、いくつかの三和音が不完全なままとなるからである。近年、このカノンの陽気な節には『やあ、グラスが鳴るとき Hei, wenn die Glaser Klingen...』や『やあ、音楽が響くとき Hei, wenn Musik erklinget...』など、さまざまな歌詞が当てられている。
と書かれています。 (2008年8月28日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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