Mozart フリーメイスンの音楽(ペーター・マーク)


VOXBOX  CDX 5055 Mozart

フリーメイスンの音楽(曲目明細は以下に)

ペーター・マーク/ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団/合唱団/エクイルツ(t)/レーシュ(t)/ヘップ(br)

VOXBOX CDX 5055 1966年録音  2枚組1,200円(中古)

 おそよ「フリーメイスン」に関連するMozart の音楽を収録したものでは、もっとも曲数が多いCDです。LP時代は、海老沢先生の詳細なる解説が付いていたのですが、このCDではなんの解説もない(というかガイコクゴ不如意な)ので、「Mozart con grazia」という素晴らしきサイトから、収録曲解説を抜き出して掲載します。(許諾済み)

 したがって、この一文はワタシの労作ではありません。録音水準は、乾き気味で、残響も奥行きも足りません。アンサンブルもややラフ〜しかし、座右に置くべき貴重なる録音であることに間違いはありません。「最後のMozart指揮者」と評されるべきペーター・マークの貴重なる遺産でもあります。以下、収録順に。


K.93 (Anh.A22) 詩篇129「われ深き淵より主に叫べり」ハ短調
Karl Georg Reuter(1708 - 72 ウィーン宮廷楽長)作曲によるもの


K.125h (148) 歌曲「おお聖なる絆」
Song for one voice "O heiliges Band" with piano
ニ長調
[ 1772年 ザルツブルク ] フリードリヒ・レンツ詞。フリーメーソンのヨハネ分団における儀式のための賛歌。通奏低音の伴奏がモーツァルトの初期の作風だということで成立時期が推定されている。

おお聖なる絆よ、真の兄弟たる者の友愛の絆よ、それはいと高き至福とも、
エデンの歓喜ともいえよう、信仰に親しみ、しかも世に逆らわず、
名は知られるも、多くは謎に包まれてある、
そう、名は知られるも、多くはなお謎に包まれてあるのだ。


K.273 聖母マリア祭の昇階誦「天主の御母なる聖マリア」
Graduale ad festum B.M.V. "Sancta Maria, mater Dei" for 4 voices, 2 violins, viola, bass, organ
ヘ長調 ソナタ形式 73小節
[1777年9月9日 ザルツブルク ] わずか3分半ほどの小品だけれど、簡潔にして深い美しさを秘める。トロンボーンもファゴットも除き、ソロも省いて、終始、合唱の魅力で母なる優しさを歌いあげる。この曲も大旅行を前にした個人的な祈願と言う。K.272a (277)と形式上密接な関係がある。

(アインシュタイン評) アヴェ・ヴェルムK.618と同格で、精緻であると同時にリート的でもあり、単純でしかも深味がある。

聖母マリアよ、
みもとにひれふす私の生ある限りは後楯となり、
死にのぞんでは護り庇ってください。


K.484d (410) アダージョ ヘ長調
Adagio for 2 basset horns and bassoon in F
断片 27小節
[ 1785年末 ウィーン ] K.484a (411)とともにメーソンの儀式用らしい。2つのホルンが対位法による転回カノンで絡み合い、ファゴットが伴奏する。ただしタイソンは1782年と推定。そうすると、成立の事情は不明となる。

K.484a (411) アダージョ 変ロ長調
Adagio for 2 clarinets and 3 basset horns in B flat
[ 1785年末 ウィーン ] メーソンの儀式用として。クラリネットが主題を奏で、厳粛な響きがある。タイソンによる自筆譜の研究から1782年か83年とも推定されている。


K.468a (429) カンタータ「宇宙の霊なる君」(未完)
Cantata "Dir, Seele des Weltalls" for 2 tenors and bass voice, 2 violins, violas, bass, flute, 2 oboes, clarinet, 2 horns and continued bass (organ). (fragment)
合唱部 Allegro moderato 変ホ長調
アリア Andante con moto 変ロ長調
[ 1785年〜91年? ウィーン ] 数字付き通奏低音。 L.ハシュカ詩。テノール2部とバスから成る合唱と、テノール独唱のアリア。原曲には誰かが手を入れた跡があり、テノールのアリアのあと未完。理由は不明。ケッヘル第5版まで1783年作K.420aとされていたが、第6版からここに訂正された。聖ヨハネの祝日(夏至の祭)を祝って、太陽と自然に対する感謝と祈りを歌う。 シュタドラーが補作し、2種類の版が残る。

(詩)
宇宙の霊なる君、おお太陽よ、今日この日、われらが祝歌の第一番を君に捧げよう!
おお、強き者、君なくしては、僕らは生きることができない。
僕らは君に感謝を捧げよう、地上が春の衣に包まれるのを、
僕らが再び見ることのできる喜びを!
甘い花の群れから、そよ風に乗って、香りの運ばれてくる嬉しさを!


K.468 歌曲「結社員の道」
Song (Gesellenreise) for one voice "Die ihr einnem neuen Grade" with piano 変ロ長調 / 草稿では Laghetto, 伴奏 og / 自作目録には Andantino, 伴奏 p
[ 85年3月26日 ウィーン ] F.J.フォン・ラチュキー詞。父レオポルトがフリーメーソンの第2位階に近く昇格するのを祝って作曲したらしい。

新たな認識の段階に、近づいている君らは、君らの道を確固と歩んでいるが
それは英知への道だ。ただ励む者だけが、光の源泉に近づくことができる。


K.471 歌曲「結社員の喜び」
Die Maurerfreude "Sehen, wie dem starren Forscherauge". Cantata for tenor and a male chorus Allegro 変ホ長調
編成 : 2 violins, viola, bass, 2 oboes, clarinet, 2 horns
[ 1785年4月20日 ウィーン ] F.ペトラン詞。フリーメーソンの「テーブルの祭式」という儀式のためのカンタータ。4月24日フォン・ボルンの名誉をたたえるためにロッジ「新桂冠希望」での儀式で演奏された。そのときテノールを歌ったのはアダムベルガー、合唱はウィーン最古のロッジ「冠された希望に」の会員たちであったという。歌詞の中の「取れよ冠を…」はそのロッジの名にかけたものであり、ヨーゼフとは皇帝ヨーゼフ2世。

(詩)
見よ、自然は探求心を以て見つめれば、いかにその姿を少しずつ現すことか、
いかに頭をより高き知恵で満たし、心を徳で満たすことか、
それこそメーソンの見る楽しみ、真の、熱きメーソンの喜び。


K.479a (477) 結社員のための葬送曲
Masonic Funeral Music (Maurerische Trauermusik) in C minor for 2 violins, viola, bass, 2 oboes, clarinet, basset horn, contrafagot, 2 wald-horns, 2 basset horns
Adagio ハ短調 69小節
[ 1785年11月10日頃 ウィーン ] 11月6日と7日に相次いで死去した結社員フォン・メクレンブルク公爵とエステルハージ伯爵のために。11月17日にロッジ「新桂冠希望」で行われた追悼式で演奏された。メクレンブルクはオーストリア帝国陸軍少将で、モーツァルトとはメーソンでの兄弟だった。詩の内容は、ソロモンの神殿を建てたツロの王ヒラムの死と復活を巡る伝説。
ただし葬送曲でなく、メーソン仲間のフォン・ケーニヒが8月12日に「親方」昇進した際の祝儀式のためという説(オートクジェ)もあり、そのためマイスタームジーク Meistermusik とも呼ばれる。
曲は3部から成り、それはメーソンの理念を象徴しているという。中間部はカトリックの典礼のカントゥス・フィルムスを借用。バセット・ホルンの名手だった結社員のために、そのパートを追加したという。


K.483 結社員のための合唱つき歌曲「今日こそ、狂気し歓喜の歌を歌おう」
Song with 3 voices chorus (2 tenors, bass) and with organ "Zerfliesset heut', geliebte Bruder." Andante 変ロ長調
[ 1785年12月 ウィーン ] A.シッタースベルク詞。自作目録に載っていない。ヨーゼフ2世が当時ウィーンにあった8つのロッジを3つに再編成し、その中に新しく「冠された希望に」というロッジを作った際に作曲された。このとき、多くの会員が退会し、ハイドンもその一人らしい。

今日こそ浸ろう、親愛なる兄弟よ、至福と歓喜の歌に、ヨーゼフの慈愛は、
三重の焔を僕らのために、その胸の中に燃やし、僕らの希望に新しい冠を授けた。
みな共に声も心も合せて、この賛歌をヨーゼフに捧げよう。


K.484 結社員のための合唱曲「汝はわれらが新しき指導者」
Song with 3 voices chorus (2 tenors, bass) and organ "Ihr unsre neuen Leiter"
Andante ト長調
[ 1785年12月 ウィーン ] A.シッタースベルク詞。自作目録に載っていない。ロッジの再編成のとき新しいロッジの指導者をたたえるために。前曲と一緒に1786年1月14日ウィーンで演奏された。

新しい指導者である君たちよ、今ぼくらはその誠の心に感謝しよう、
それは僕らを徳の道に導き、それによって人々は
より徳の高い人に結ぶ鎖に恵まれ、命の盃に味わいを与えられる。


K.546 弦楽四重奏曲のためのアダージョとフーガ ハ短調
Adagio and Fugue in C minor for 2 violins, viola and bass
Adagio ハ短調 3/4
Fugue : Allegretto ハ短調 4/4
[ 1788年6月26日 ウィーン ] 1783年に書いたハ短調フーガ K.426 を弦楽合奏用に編曲して、その前奏曲としてアダージョをつけ加えたものであることが自作目録に記されている。弦楽四重奏としても演奏されるが、一部でチェロとコントラバスが分けて書かれているところがあり、弦楽合奏のための編曲だろうともいわれる。大バッハの影響を受けたフーガと新たに加えられた短いアダージョは、同時に書かれたものではないにもかかわらず、見事に均衡を保ち融和している。


K.617 グラスハーモニカ五重奏曲 アダージョとロンド
Adagio in C minor and Rondo in C for glass harp, flute, oboe, viola, violoncello
Adagio ハ短調 - ロンド Allegretto ハ長調
[ 1791年5月23日 ウィーン ] 盲目のマリアンネ・キルヒゲスナー嬢に。彼女はグラス・ハーモニカの名演奏家で、4歳のときに失明したと言われている。

* このCDではペーター・マークがチェレスタで演奏


K.618 モテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」
Motette in D "Ave verum corpus"
for 4 voices, 2 violins, viola, bass, organ
Adagio ニ長調 46小節
[ 1791年6月17日 バーデン ] バーデンの合唱指揮者アントン・シュトル(Anton Stoll, 1748 - 1805)の求めに応じて、御聖体の祝日のミサのために。妻のコンスタンツェが湯治に行った際の世話になったお礼として。極めて平凡な動機により作られた曲だけれど、この小曲には晩年の美しく静かで深い想いが感じられる。


K.619 小カンタータ「無限の宇宙の創造者を崇敬する君らよ」 ハ長調
A short German cantata "Die ihr des unermesslichen Weltalls Schupfer ehrt" for one voice with piano
[ 1791年7月 ウィーン ] レーゲンスブルクの結社員F.H.ツィーゲンハーゲンの著作の付録にと作曲を依頼された。もともとはピアノ伴奏用に書かれた。依頼者はルソーの思想にも触発され、アルザス地方に若者の共同生活施設を建てた。その「自然の反集団」と呼ばれていた結社の集会でこれが歌われた。

(詩)
無限の宇宙の創造者を崇敬する君らよ、
その創造者をエホヴァと、神と、フーと、 またブラフマと君が呼ぶのであれ、
万物の支配者のラッパの語る言葉を聴きたまえ
その永遠の音は、地球に、月に、太陽に響きわたる、
聴きたまえ、諸君、その言葉を


K.623 フリーメーソンのためのカンタータ「我らの喜びを高らかに告げよ」
Masonic cantata "Laut verkunde unsre Freude" for 2 tenors, bass voice, 2 violins, violas, bass, flute, 2 oboes, 2 horns
三部合唱 (T*2, Bs) ハ長調
アリア (T) ト長調
二重唱 (T, Bs) ヘ長調
[ 1791年11月15日 ウィーン ] シカネーダー詩。自作目録に記載された最後の作品。生前に完成された最後の作品。メーソンのための曲の中で最大。 11月18日、ロッジ "Zur neugekrunten Hoffnung"の新しい礼拝堂の落成式で指揮し初演。後にロッジはモーツァルト未亡人と2人の遺児のためにこの作品を出版した。

(詩)
高らかに僕らの喜びを告げよ、音楽の楽しい響きを広めよ、
兄弟一人一人の心よ、この壁のこだまを受け取れよ、
すなわち、兄弟愛の金の鎖を通して、ここにこの家を献堂するのだから、
そして今日ぼくらの礼拝堂に、真の心の結合があるのだから。


K.623a フリーメーソンの歌「固く手を結び合い」
Masonic song "Lasst uns mit geschlungenen Handen" ("Bruder, reicht die Hand zum Bunde!")
[ 91年11月 ウィーン ] シカネーダー詩? 前曲の付録としてつけ加えられていた。ケッヘル第5版までは前曲と並んで扱われていたが、第6版から別の作品として切り離された。真作かどうかは明らかでない。男性合唱とオルガンのための。同じ落成式で閉会の際に歌われ、そのとき、モーツァルトはテノール部を歌ったという。なお、この曲は1954年から「オーストリア国歌」となっている。

固く手を握りしめて、喜びの歌を歌いながら、兄弟よ、この務を終ろう。
この友愛の鎖が、この聖なる場所を包んだように、この地球を包まんことを。

(2003年1月23日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi