Bruckner 弦楽五重奏曲ヘ長調
(メロス弦楽四重奏団/エンリケ・サンチャゴ(va))


INTERCORD   INT820.528 Bruckner

弦楽五重奏曲へ長調

Haydn

弦楽四重奏曲ニ長調 作品20-4

メロス弦楽四重奏団/エンリケ・サンチャゴ(va)

INTERCORD INT820.528  500円で購入

 2002年再聴です。と、いうか、この文書、忘れていましたが、いかにも見切り発車的掲載で1998〜99年辺りのコンテンツ不足をアリバイ的に埋めたもの。もともとVOXのLPで出ていたらしい。「いつか削除してやろう」と思いつつ数年、CDを棚奥から発掘〜うぁっ、忘れてた!と・・・でも、(自分の中で)新しい発見は?

 Brucknerの魅力の神髄はなんでしょ?金管の開放的な咆哮?厚みのある弦の囁き?大編成オケのすべてのパートが融合した、壮大な伽藍に響き渡る宗教的畏敬に充ちた響きか。この室内楽を聴くと、前述の要素がすべて消え去っても「Bruckner」が残る、ということが理解できました。

 官能的で不安げな主旋律が美しい第1楽章。しかし、これ紛れもなくBrucknerの世界でしょう。たった5台の弦楽器だけれど、ヴィオラの増設が効果的なのか響きに充分な厚みを感じます。スコアのことはようワカランが、多彩な楽器による音の重ね合わせを拒否して、一声部一楽器でしょう?どこも無駄がなくて、Brucknerの「歌」がとてもわかりやすい。

 当然威圧感はありません。第2楽章はBrucknerのキモ〜スケルツォです。ここ当然、フル・オーケストラならリズムをバリバリ叫んで欲しいところですが、なんとなく哀愁が漂って雰囲気が違います。いつも通りシンプルな旋律の繰り返しが興奮を呼ぶところだけれど、しっとりしちゃってこれも悪くない。

 第3楽章は単独でも演奏される機会のある「アダージョ」。文句なしの名旋律でしょう。内声部の旋律が活躍していて、主旋律を盛り立てます。これ、小さな編成ならではの成果かも知れません。Bruckner交響曲で優秀な演奏に当たると「深い呼吸のリズム」を感じることがあるでしょ?室内楽だったら、もっと濃厚な「演奏家同士の呼吸」を感じあっているのが理解可能。それにしても、聞こえるはずのないホルンなどが静かに幻聴されます。淡彩なのに、多彩。

 終楽章も良く歌っているのは、これは演奏の成果でしょうか。交響曲なら、オケを思いっきり開放させるところでしょうが、このやすらかな歓びはかつてない経験。これ、第5交響曲の後くらいの成立でしょ?全体の構成、旋律の味わい、まったく交響曲と変わらない。でも、味わいは違いますよね。

 大オーケストラだと、思わず旋律に大げさな節回しを付けたくなったり、残響のなかに内声部が埋もれたり、逆に残響が止むまで次の旋律のタメを作ったり、とかしたくなるんでしょうか。全43分ほど。大規模な室内楽だけれど、これほどわかりやすく、美しい作品は滅多にないと思います。(2002年5月6日)以下、1998・9年辺りの文書は以下、そのまま。


 デザインが地味で、なんの解説もないClassical Creationsというシリーズが、1990年代の中盤まで店頭にありました。おそらくインターコードが、EMIに吸収される直前の廉価盤シリーズだったと想像されます。手元にはこれと併せて3枚しかなくて、いまとなってはもっとたくさん買っときゃよかった、と後悔しきり。だいたい1,000円で売っていました。Bruckner の3楽章がPILZにも収録されていて、音源のやりとりが不思議。

 Bruckner といえば交響曲であって、あと声楽曲もそれなりに有名です。室内楽は珍しいでしょ?この曲は60年代にウィーン・フィルSQの録音があるくらいで、ほんとうに録音が少ない。貴重です。〜「貴重」だけではなんですが、もの凄い名曲。全曲で4楽章43分くらいの大曲で、まるっきり交響曲と同じ雰囲気です。そうだな、第8番に似ている。

 素朴で息の長い旋律の連続、スケルツォにおける、弾むようなリズムの生き生きとしていること、アダージョの安らかな陶酔。金管の爆発がないぶん、旋律の絡み合いがいっそう明快に表現されて聴き応えがあります。Bruckner のエキスを取り出したような名曲。

 室内楽演奏の良し悪しはあまりよくわかりませんが、メロスSQの演奏は立派だと思います。長時間聴いていて、飽きることはありません。音も自然で聴きやすい。

 ハイドンのフィル・アップは一見ミス・マッチですが、室内楽の親密さが持続されて楽しめます。ハイドンの作品は室内楽にとどまらず、聴く度に「いい曲だなぁ、これからはもっと意識的に聴いていこう」と思うのです。で、けっきょく滅多に聴かない。(反省)

 アダージョの哀愁に満ちた旋律が心を打ちます。変奏がまた、切々と泣かせる。メヌエットにおける一点の曇りもない快活な表情、フィナーレの明暗の細かい交代の妙。
 ハイドンの演奏はごまかしが利きませんからね、メロスSQの喜びに満ちあふれた演奏ぶりは本物と思います。(音の肌理はBruckner より少々粗い)


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written by wabisuke hayashi