To おたよりありがとう

Bruckner 交響曲第7番のおはなし

(ヨッフム/ベルリン・フィル)
お手紙ありがとう


   Brucknerに詳しい学生さんから、Bruckner 交響曲第7番に関するメールをいただきました。ワタシのHP掲載内容の曖昧さが心配になったのか、MD付きで「版の違い」などもご教授いただきました。いただいたMDには、まずヨッフム/ベルリン・フィルの演奏が全曲収録。(1965年DG録音のもの〜DGさん許して下さい、機会があれば全集買いますので)まず、ワタシの感想文から。


 ヨッフム/ベルリン・フィルの演奏は、まず録音が良いですねぇ。この時期のDG特有の自然で、中庸、ケバケバしさがまったくないもの。オケの音色にはもの凄く色気がある。ドレスデン盤より10年ほど前でしょうか、ヨッフムの表現が若く力強い。ワタシは「貫禄がない」とHPに書きましたが、ここでは「貫禄」どころか、セクシーで前のめりのノリ。諦観にはほど遠い演奏。

 オーボエ(コッホ?)、トランペットの(良い意味での)軽さ、透明さ、色白、というか、その説得力。弦の痺れるような繊細な表現。オケ全体の厚い響きがたまらない。一つひとつのフレーズにもリキが入っていて、気力充実。弾むような生きたリズム。

 第2楽章アダージョは、磨き上げられたオケの洗練されていること。ドレスデンも擁護したいが、有無を言わせぬ ベルリン・フィルの実力。ベルリン・フィルはカラヤンでなければ本当に素晴らしい。但し、ワタシには「あまりに安易に音が出過ぎる」という印象は拭えません。上手すぎる。美しすぎる。例の壮大なシンバルとトライアングルも、決まりすぎていてカタルシスには(逆に)不足します。

 スケルツォも基本は自然体の解釈ながら、軽快で、洗練されている。ホルンの豪快な響き(ザイフェルト?)には心奪われます。いままで気付かなかった細部のワザにも気付きました。このオケの基本的演奏能力の高さには舌を巻く思い。密度の高い音が充満するばかり。金管が軽く、柔らかい。それでいて圧倒的な力感には欠けない。うねるような呼吸の変遷。(これも若さ)

 終楽章は、早めのテンポで適度に「流した」(抜いた、とか言う意味ではない)余裕ある演奏。この楽章の繊細な味わいはピカイチでしょう。弦の磨き上げられた輝かしい響きは、ここでも印象的。全曲通して、テンションと勢いと、厚みに不足することはない。でも?決まりすぎ。確信と自信満ち溢れすぎの演奏でしょうか。

 と、まぁ、勝手なことを言いましたが、ヨッフムの旧全集は欲しい。(9番以外聴いたことはない。バイエルン放響の音も聴きたい)なんとか3,000円くらいで出現しないでしょうか。この水準で揃うのだったら、聴かないと損だと思います。巷では朝比奈教全盛ですが、こちらのほうが絶対によろしい。ドレスデンの全集にはややバラつきがあるようで、第7番は痛み分けです。


 以下は、版の違いを説明していただいたたMDの解説です。じっさいに音を聴かないと、ナンのことやらわからんでしょうが。いやもう、じつに配慮ある御解説。

●「ブル7」のお話

 Brucknerの「第7」は実は作曲家自身で改訂されているのですが、おそらく書 き上げた時点で決定稿とみなさず書きなおしたため、初期の形を知ることが出来ませ ん。

 よって、現在聴いている「第7」は大きく分けて1つであるということがいえま す。

 しかしながら、この曲には3つの楽譜があります。「初版(改訂版)」「ハース 版(国際Bruckner協会第1次原典版)」「ノヴァーク版(国ブ協第2次原典 版)」の3つ。なぜ3つも楽譜が出来てしまったかはCDの解説にもよく書かれてい ます。今回はその違いの1部を聴いていただきましょう。

  1.原典版と改訂版の違いの例

 MDのトラック5は原典版の演奏。チェロとヴィオラの第1主題が終了後、ヴァイ オリンが同じ旋律を引き始めます。ここをトラック6、改訂版の演奏でお聴き下さ い。ヴァイオリンが弾き始める一拍前からホルンが吹いているのに気付くでしょうか ?

2.ハース版とノヴァーク版の違いの例

 木管の旋律の次にヴァイオリンが弾き始めます。耳をすまして聴きましょう。ノ ヴァーク版(トラック8)の演奏ではホルンの音も聞こえてくるはず。ハース版(ト ラック7)にはありません。こういう微妙な違いがかなりあります。

 ハース版とノヴァーク版の違いは第2楽章の頂点の打楽器が誰でも分かるところで すが、今回は変わった演奏を3つお聴き下さい。

 まずはシューリヒト指揮デンマーク国立響盤(トラック9)。打楽器はティンパニ のみ叩かせています。

 次のフルトヴェングラー指揮ベルリンフィル盤(トラック10)は本来出るべき所 の一小節前からティンパニの壮大なクレッシェンドが追加されています。

 最後のチェリビダッケ指揮シュトゥットガルト放送響盤(トラック11)は、単に ティンパニがミスしている演奏。ぐちゃぐちゃになってます。台無し。この演奏会の 後にクビになってなきゃいいが…。

   なお、ヨッフム/ベルリンpo盤<1965年>[グラモフォン]の場合、何版を 使っているとは特定できないようです。改訂版と原典版を折衷して取り入れているようです。一拍速くでるホルンも聞 こえてきます。


 これに対するワタシの感想文は以下の通り。

 参考資料のトラックは楽しいですね。勉強になりました。勝手な改訂版はよろしくないが、フルトヴェングラーのティンパニはもの凄く効果的。シューリヒトの版はブロムシュテット盤と同じです。チェリビダッケの録音は、ご指摘がなければ「こんな演奏か?」とワタシは納得していたことでしょう。

 ところで、ワタシは最近「Bruckner・ファン女性皆無説」の検証を行っているのですが、いかがでしょうか。(2000年12月1日更新)


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written by wabisuke hayashi