Bruckner 交響曲第4番変ホ長調
(バレンボイム/シカゴ響)
Bruckner
交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(1880年ハース版、1972年録音)
詩編150番(ソプラノ、合唱団、管弦楽のための)
バレンボイム/シカゴ交響楽団/合唱団/ウェルティング(s)
DG 439 448-2 中古380円で購入
1942年、アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、いまや現役指揮者としては最高峰の評価と活躍を見せているのは周知の通り。ピアニストとしての評価も高い。これはベルリン・フィルとの録音に先立つこと、DGに残した若い頃の記録です。ヨッフム、カラヤンという両巨頭に加え、よくもまぁ、契約料の高いアメリカのオーケストラとこれだけの全集仕事をさせて下さったDGという会社も偉いですね。時代も良かったのか。
評価としては、それほどでもないから格安での登場を期待していたけれど、そんな期待も空しく、手元には第1番に続きこの2枚目のみ。30歳(!)の録音。いえね、ワタシBruckner好きで、ばんばんCD買うてますが、第4番は少々苦手。(レーグナーはこの曲のみ未購入)なんでかな?こどもの頃、ワルター盤で聴きすぎたか?あれはあれで当時は感動していたんだけど。
巨匠バレンボイムには興味なし。CDが高いでしょ。ワリと最近のをいくつか聴いたけど、なんか、重くて、暗くて、ワンパターンで、色合いの変化に乏しくて・・・って勝手な論評したらファンの方に叱られますね。若い頃からの膨大なる録音は(このCDみたいに)時に安く手にはいるから、意外とね、聴いてます。けっこう楽しめますよ。
ワタシ、シカゴ響はライナー、マルティノン迄しかまともに聴いておりません。(もちろん録音で)けっこう、曲とか指揮者を選ぶと思いますね、このオーケストラは。ショルティのMahler は信じられないくらいノーテンキだったし、大好きなブーレーズだって(Mahler に限っては)違和感がかなり。Brucknerなんか、端から手が出ませんよ、正直。
Brucknerは「響き」を聴く音楽なんです。やっぱりね、独墺系の地味深い、森の奥深くからこだまするホルンやら、木々の囁きのような弦が鳴らなくっちゃ。シカゴ響の金管は強く輝き過ぎるし、弦も明るすぎる。なにより、全体の響きが明快で、テンション強すぎ。元気良すぎ・・・うるさいというのは言い過ぎですが。
で、どうなの、この演奏〜って、素晴らしいですね、若気の至りって。元気いっぱいで、テンション高くて、オーケストラがどこまでも輝かしくて・・・・中途半端じゃないの。Brucknerに対する期待は、上記の通り。そして、シカゴ響の色合い、演奏ぶりも予想通り上手いこと。でも、なんでしょう、この爽やかさ。気持ちの良さ。鼻持ちならない若さの爆発。おじさんは眩しいよ。
アツくて、もうどうにも止まらない風演奏。ワタシのこの曲に対する苦手意識を一気に吹き飛ばしていただきました。まだ、人生にいろいろ逡巡しなくてもよい年頃でしょう。体力も欲望もたっぷりある。Brucknerかくあるべし、なんてそんなことドーでもええけんね、とにかく一生懸命いきまっしょい!みたいな、ひたすら走り続ける演奏。
これでいいんです。シカゴ響の実力がまっすぐ、素直に、気持ちよく表出していて、最後(終楽章をちゃんと聴かせてくださる演奏は少ないもの)迄、楽しませてくれました。粗さはないけれど、神妙さはもちろん存在しない。ましてや「精神性」なんてね。切れ味タップリ。熱血体育会系Bruckner。二度三度聴いちゃいました。正直、第4番変ホ長調交響曲でここまで堪能したのは初めて。
ベルリン・フィルとの新録音はいかがですか?Brucknerってのは、いろいろな切り口があるもんですなぁ。(2003年5月23日)
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