Britten ソワレ・ミュージカル/マチネ・ミュージカル/
Chopin レ・シルフィード/J.StraussU 美しく青きドナウ
(リチャード・ボニング/ナショナル・フィル)


DECCA 468578 Britten

ソワレ・ミュージカル(1936年)
行進曲 - カンツォネッタ - チロレーゼ - ボレロ - タランテラ

マチネ・ミュージカル(1941年)
行進曲 - 夜想曲 - ワルツ - パントマイム - 常動曲(1984年)

Chopin/Douglas編

バレエ音楽「レ・シルフィード」(1982年)
前奏曲第7番イ長調 作品28-7 - 夜想曲第10番 変イ長調 作品32-2 - 円舞曲第11番 変ト長調 作品70-1 - マズルカ第23番ニ長調 作品33-2 - マズルカ第44番ハ長調 作品67-3 - 前奏曲第7番イ長調 作品28-7(繰り返し) - 円舞曲第7番 嬰ハ短調 作品64-2 - 円舞曲第1番 変ホ長調 作品18「華麗なる円舞曲」

J.StraussU/Desomiere編 

バレエ音楽「美しく青きドナウ」(1974年)
Allegro - Allegro marcato - Mazurka - Andantino*- Tempo di ValseーMazurka

リチャード・ボニング/ナショナル・フィル

DECCA 468578/1

 Richard Bonynge(1930ー濠太剌利)はオペラ畑の人、録音は英DECCAにバレエ音楽が多かったようです。名ソプラノJoan Sutherland(1926ー2010濠太剌利)の夫君ですね。かっちりとした構成、大編成の交響曲も良いけれど、こんな寛いだ作品も大好き。音楽に貴賎なし。音質もよろしいし、ナショナル・フィル(1970年創立録音専用オーケストラ)も上手いもんですよ。収録内容盛りだくさん。

 マチネとは昼公演、ソワレとは夜公演なんだそう。Rossiniの声楽作品の旋律を借りてBrittenがバレエ音楽・組曲に仕上げたもの。吹奏楽に人気あるようだけど、録音は少なくてLP時代はロバート・アーヴィングを聴いて、EMIのBritten Collecor's Edition 37CDにはアレクサンダー・ギブソン/イギリス室内管弦楽団(1982年「ソワレ・ミュージカル」の原曲組曲版も)収録、これは聴く機会を得ません。

 両作品とも似た感じの十数分の作品、動静繰り返すパターン。ソワレ・ミュージカルは賑々しい行進曲から始まって、原曲に馴染んでいないのでオリジナルの味わいがどう変容してるのかわからぬけれど、優雅なバレエ舞台を想像させるようなリズム、そして華やかな演奏。「チロレーゼ」ってチロルのこと?(シロガネーゼみたいな)優雅にちょっぴり大仰なワルツ、「ボレロ」にはちゃんとカスタネット入って、それらしい風情醸し出しておりますよ。

 マチネ・ミュージカルの行進曲はいっそう砕けた感じにユーモラス。「夜想曲」はChopin風甘美に非ず素朴に静謐を湛えるもの、「ワルツ」もウィンナ・ワルツとは違って賑やかでした。ラスト「常動曲」はいかにも風J.Straussから突き抜けた躍動はカッコ良い!変拍子っぽいのは原曲通りなのか、興味ありますよ。こういった起承転結のはっきりしない音楽は日本人には好まれないかも。

 レ・シルフィードは大好きな作品。誰でも知っているたっぷり甘いChopinの旋律を、さらに色彩も雰囲気も豊かに味付けして下さって、ま、誰のでも良いですよ。カラヤンは上手かったなぁ。ボニングも負けてませんよ、ベルリン・フィルよりオーケストラの音色が素直だから、こちらのほうがスッキリとした流れを感じました。入念な仕上げにも自然な感じはあって、この人は名手だと思います。

 Desomiere編のバレエ音楽「美しく青きドナウ」はAndantino*が高名なるワルツ(5:58短縮版)、やや薄味だけど本場モンに遜色ない優雅にテンポが揺れるもの。他知っている限りでは「仲良しワルツ」(喜歌劇「こうもり」の旋律)が出現したり、陰影に富んでけっこうリズムのある、賑やかな作品(ポルカとか)が選ばれておりました。音質アンサンブルとも上々の仕上げに満足できる演奏でした。

(2021年7月17日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi