Brahms ヴィオラ・ソナタ第1番ヘ短調/第2番 変ホ長調 (エマニュエル・ヴァルディ(va)/カスロン・ストゥーロック(p))
Brahms
ヴィオラ・ソナタ第1番ヘ短調 作品120の1
ヴィオラ・ソナタ第2番 変ホ長調 作品120の2
チェロ・ソナタ ホ短調 作品38(ヴィオラ版)
エマニュエル・ヴァルディ(va)/カスロン・ストゥーロック(p)
IMP MASTERS MCD50 1991年録音 $2.99にて購入
1990年代は、少しずつ手探りしながらCDを買っていったものです。まだ、充分に高価でしたしね。ワタシのようなへそ曲がり、しかも小学生から生意気にもクラシック音楽なんて聴いていると、有名なるBrahms の交響曲など時に威圧感が大きすぎてちょっと暑苦しい精神状況に至ることもあります。かといって「威圧感のない交響曲を!」なんて、そんな典型を聴いちゃうといっそう不満が大きい。閑話休題・・・
これが室内楽やら、ピアノ曲、声楽作品だと、ゆったり勇壮な旋律のふくらみも、しっくりキモチ良く楽しめます。不思議です。以下、数年前の拙文にも書いてあるが、クラリネット・ソナタと同一曲なんです。両者とも捨てがたい魅力があるが、正直ヴィオラ版のほうがいっそう地味な印象でしょうか。聴けば聴くほど、精神が沈静し、過ぎ去りし昔日の想い出が懐かしく蘇る・・・「老人力」音楽ねぇ、そうだな、きっと。
ヴァルディは雄弁じゃないんです。静かで地味で、細かいヴィヴラート・・・まるで作品の味わいそのもの。線の太い音色とか、華やかな表現とも言えないでしょう。まるでピアノ(肌理細かい味わい)とヴィオラが淡々と対話しているようでもあります。第2番 変ホ長調ソナタ最終楽章のように、時に激高することはあっても、基本変化の少ない、静謐な音楽なんです。老人の繰り言みたい?そんなことを感じるのは若い証拠。
チェロ・ソナタ(ヴィオラ版)を、数年前のワタシは気に入らなかったようです。チェロの勇壮で雄弁なる節回しを期待したのかな?いまなら切ない旋律は(それなりの)情熱をもって表現され、内に秘めた激性も楽しむことができます。ヴィオラならでは地味渋系の抑制も楽しめるように。このCD、夜更けてから聴くべきですね。正直、全67分〜聴き終わると少々憂鬱の気が勝ってやりきれない。クラリネットならそんなことはないでしょ。
いつの間にやら数種のCDが貯まっているので、ちゃんと聴いてあげましょう。(2004年6月22日)
IMPって、けっこう安く出ているんですよ。(PICKWICKグループとのこと)この価格だと、思い切っていろいろ買ってみたくなるもの。
ブラームスのヴィオラ・ソナタは、クラリネット・ソナタと同じ曲。違う味わいがあって、どちらも好きですね。エマニェル・ヴァルディは、どんな人かはわかりませんが、ストラヴィンスキー「兵士の物語」(MCA D2-9820A)で、指揮している人だと思います。
MCAのダブルデッカーで、クラリネット・ソナタとヴィオラ・ソナタの洒落た2枚組(ケル/ドクトール〜往年の名盤)を既に所有していたけれど、新しい録音が欲しくて買ったCD。音質極上でした。
ヘ短調ソナタは、切ない黄昏を思わせる旋律の悲しくも美しい曲。変ホ長調ソナタは、やすらぎに満ちた暖かい名曲でしょう。ブラームスのピアノ曲や他の室内楽と同じように、「老人力」が付くほど理解が深まるんです。ヴィオラは音色が地味だし、チェロほど太く豊かな響きが出ないので、なんとなく頼りない感じ。でも、そのゆらゆらとした節回し、ほのかで控えめな色気がたまらない魅力。
バシェメトのような、雄弁な艶やかさはありませんが、誠実で抑制された演奏も味わいがあります。力強さはありません。地味でいかにも、そのまんまヴィオラの音色。ピアノは素晴らしく安定していて、ヴィオラをしっかりと支えていて、ピアノのほうが目立つかんじ。クラリネット版のほうが、やや明るくてユーモラスな印象となりますが、寂しげな雰囲気はこちらの方がタップリ味わえる。
チェロ・ソナタ ホ短調のヴィオラ版は、曲がかなり情熱的。原曲の味わい比べると、旋律の呼吸が浅くて印象が一変します。ヴァルディのヴィオラは、淡々としてあまり大きな変化を付けないものなので、力演ではありますが劇性は薄い。
ヤニグロ(MCA D2-9843・・・驚くべき名演奏)と聴き比べてみましたが、原曲の深さ・重さに打たれました。別な曲を聴く思い。ヴァルディの演奏は「別の作品」として聴くべきでしょう。(1999年)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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