Brahms セレナード第2番イ長調 作品16
(ジューヴ/ヴュルテンベルク州立管弦楽団)


Brahms セレナード第2番イ長調 作品16(ジューヴ/ヴュルテンベルク州立管弦楽団) Brahms

セレナード第2番イ長調 作品16

アンドレック・ジューヴ/ヴュルテンベルク州立管弦楽団

CONCERTOROYALE 206214-360(VOX原盤) 録音年不明  3枚組690円(税込)で購入したウチの一部

 ANDREC JOUVEって調べてもわかりません。(後述;Andre Jouvreとは違うのか?)ヴュルテンベルク州立管弦楽団とはシュトゥットガルトのオペラ・ハウスの管弦楽団のこと。CONCERTOROYALEはVOXの原盤(ライセンスは怪しいらしいが)の(ワタシ好みの)マニアック音源を、激安3枚組で提供して下さいました。但し、少々収録編集が乱暴でして、意味のない抜粋とか、このセレナード第2番は、第1楽章〜3楽章が交響第3番(ホーレンシュタイン)の余白に収録され、残りの第4楽章〜5楽章がピアノ協奏曲第2番(シャンドール(p))の次に泣き別れ状態。時間的には交響曲のあとに全部入るのにね。

 で、ちゃんと続けて聴くためにCDRに焼き直しました。(ワルターの「復活」と同様ですな。あくまで自分が楽しむため)ようやく落ち着いて、音楽の様子が見えてきたような・・・Brahms 25歳、希望に満ちた青春の光を感じさせる作品です。個人的には交響曲より素直でわかりやすくて、ずっと好き。アバドとかケルテス、ボウルトの録音が有名かな?いずれジミな存在の作品でして、楽器編成はヴァイオリンを欠く弦楽、木管各2本+ピッコロ2本+ホルン2本。全36分〜これは少々テンポ遅めか。録音は広がり感があまりなく、ややどんよりほこりっぽいが、自然だし、そう情けない音質とも言えません。ちゃんと奥行きが感じられる。

 この作品、編成にヴァイオリンを欠く故、全編に低い曇天を感じさせます。常に重心が低いサウンド。しかし、セレナードと銘打っているから交響曲の深刻さは少なくて、交響曲第2番ニ長調をいっそう優しく、上機嫌に仕上げたようなテイストでしょうか。第1楽章「アレグロ・モデラート」は優雅でゆったりとした歌に充ちているが、ジューヴのテンポ設定はゆったりまったりしていて、しみじみと甘く懐かしい。オーケストラは厚みがあって、やや後ろ向きに振り返るようなノスタルジックな響き。

 第2楽章は軽快なるスケルツォであって、この辺りの愉快ユーモラスな表情はふだん出会えないBrahms か。それでもちょっと重いけれど。第3楽章は憂愁なるアダージョであって、静かな嘆きと安らぎが交互しました。中間部の管楽器の絡みが、黄昏の空のように切ないですね。ホルンの響きが深い。良く歌う弦。ジューヴの表現は常に、やや粘着質なる浪漫が漂うよう。

 ノンビリゆったり舟に揺られて川下りをするような第4楽章「メヌエット」へと続きます。時に不安げな表情を見せつつ、繰り返しがちょっとしつこいか。(ここを省略すればほんまに交響曲だ)終楽章「ロンド・アレグロ」は、悦びに溢れ快活な躍動が待っておりました。含羞を含んだ(Brahms らしい)無骨な”愛の歌”か。重厚長大+眉間に皺的作品(例えば交響曲、ピアノ協奏曲)とはずいぶんと異なる、でもやっぱりいつもの個性もちゃんと見せていただいて、楽しい作品であり、演奏であります。

(2006年2月18日)

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