Brahms ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
第1番ト長調/第2番イ長調/第3番ニ短調
(レオニード・コーガン (v)/アンドレイ・ムイトニク(p))


Olympia MKM307 Brahms

ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
第1番ト長調 作品78「雨の歌」(1955年)
第2番イ長調 作品100(1956年)
第3番ニ短調 作品108(1955年ライヴ)

レオニード・コーガン (v)/アンドレイ・ムイトニク(p)

Olympia MKM307

 旧ソヴィエットの名手Leonid Kogan(1924ー1982烏克蘭)とAndrei Mytnik(詳細情報不明)による名曲録音。Brahmsのピアノ曲、室内楽作品は意外と気に入っているのに、この3曲にはどーも馴染まずにここ迄来てしまいました。作品との出会いはヘンリク・シェリング(v)/ルービンシュタイン(p)(1960/61年 後に正規盤入手)懐かしい駅売海賊盤への言及が13年前に残って、作品への情愛があまり感じられぬもの。反省して、偶然入手できた音源を大切に拝聴いたしましょう。凛として硬派硬質端正なヴァイオリン、音質はこの時期にしてまずまず良心的、ピアノの音色がちょっぴり遠いかも。

 第1番ト長調 作品78「雨の歌」は1878-79年交響曲第2番ニ長調と同時期の作品。第1楽章「Vivace ma non troppo」は落ち着いた憧憬を感じさせて、その雰囲気によう似ております。ヴァイオリンはテクニックに優れ、背筋が伸びて堂々たる盛り上がり。(10:08)第2楽章「Adagio」は叙情的に落ち着いた出足から、やがて寂しげな葬送行進曲風の歩みとなります(Wikiによる)ヴァイオリンの重音技法が圧倒的!美しい説得力。(7:17)第3楽章「Allegro molto moderato」は歌曲「雨の歌」によるト短調の哀しいロンド、緊張感のある音色が切々と歌って、深い余韻と寂寥を感じさせて雄弁でした。(8:19)

 第2番イ長調 作品100は1886年の作品。既に前年には交響曲第4番ホ短調が完成しておりました。第1楽章「Allegro amabile」の主役はピアノ?イ長調の枯れた和音、旋律から遠い風景を眺めるような懐かしさ、寂しさが広がりました。スケール大きな風情は交響曲でも室内楽でも変わらない。(7:22)第2楽章「Andante tranquillo - Vivace」も落ち着いて平明な旋律、途中Vivaceはやや哀しげに駆け足で通り抜けて対比を作りました。(6:05)第3楽章「Allegretto grazioso (quasi Andante)」は悠々と重厚なヴァイオリンから開始。イ長調だけど、どこか寂寥の風情が漂ういつものBrahms。ピアノも負けずたっぷりと雄弁、陰影と情感の起伏を感じさせる名曲です。(4:53)

 第3番ニ短調 作品108は1886-88年第2番イ長調とほぼ同時期の作品。第1楽章「Allegro」は楚々とした哀愁の開始、ヴィヴラートたっぷりなヴァイオリンが美しく激高しております。ピアノの激しさ、疾走も特筆すべきでしょう。テンポはかなり揺れ動いて、雄弁な哀しみは朗々とスケール大きく広がっております。(7:36)第2楽章「Adagio」は優しい安寧の緩徐楽章。情感たっぷりに歌うBrahms版「G線上のアリア」ですね。(4:40)第3楽章「Un poco presto e con sentimento」はほんの短い、不安げなスケルツォ。この構成は交響曲を感じさせます。(2:54)第4楽章「Presto agitato」は情感高まる激しいフィナーレ、曖昧さのないテクニックに最後まで集中力が続きました。(5:39拍手込み)

(2022年5月21日)

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written by wabisuke hayashi