Brahms ピアノ協奏曲第1番ニ短調/
Mendelssohn 劇音楽「真夏の夜の夢」序曲
(ダニエル・バレンボイム(p)/セルジウ・チェリビダッケ/
ミュンヘン・フィル1991年ライヴ)


Artists FED048 Brahms

ピアノ協奏曲第1番ニ短調

Mendelssohn

劇音楽「真夏の夜の夢」序曲

ダニエル・バレンボイム(p)/セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィル

Artists FED048(1991年ライヴ)

 コロナ大流行の2020年8月も例年以上に猛暑続き。この季節にこの作品はちょっと重く、暑苦しいでしょうか。Daniel Barenboim(1942ー亜爾然丁)は当時49歳、ピアニストとしては脂が乗り切った頃でしょう。Sergiu Celibidache (1912ー1996羅馬尼亜)とは相性はよろしくなさ気に思えるけれど、彼はピアニストとしてのバレンボイムを高く評価していたそう、いくつかライヴ録音が残されております。チェリビダッケ若い頃の旧い録音さておき、晩年のライヴはどれを聴いても完成度の高いもの。これは怪しいCD音源だけど、映像は正規入手できるようです。音質はかなり良好。

 Brahmsのピアノ協奏曲はお気に入り、このニ短調協奏曲第1楽章「maestoso」冒頭圧巻の圧力に打ちのめされたのは、クリフォード・カーゾン/ジョージ・セルによる作品との出会いでした。こちらチェリビダッケは充実したバランス・サウンドに例の如く”微速前進”に停滞感も重苦しさもありません。オケの個性なのか、素直に柔らかい響き、細部入念に描き込まれ、たっぷり息長く歌って急ぎ足に走らない。ピアノも管弦楽の海を悠々と泳いで瑞々しくデリケート、優雅そのもの、ライヴでも技巧に粗さはありません。茫洋としたスケール、力強さ緊張感に不足はないけれど、いつ終わるとも知れぬ、落ち着いた静謐が全体を支配しております。(23:46)

 第2楽章「Adagio」冒頭弦とファゴットによる静謐な旋律はやがて木管を伴って、息を潜めるように幻想的な開始。ここは亡き師匠の妻クララへ「あなたの穏やかな肖像画を描きたいと思って書いた」と云う愛の告白でっせ。ここも”微速前進”、慈しむようにていねいなソロ表現、劇的かつ濃厚浪漫溢れる中間部もたっぷりと瑞々しく美しい。ほとんど止まってしまう!ほど管弦楽の着実な歩みに、違和感なく溶け込んでピアノも息がピタリと合う。(15:27)

 第3楽章「Rondo: Allegro non troppo」冒頭ロンド主題が印象的なピアノ。同じ旋律に管弦楽が呼応して、まるで疾走する蒸気機関車のような出足は、優雅流麗に表現されました。ここも他一般的な演奏よりテンポは遅いのかも知れないけど、既に前2楽章にそんなことは感じさせません。走ったり煽ったりとは無縁、勢いはあっても前のめりに慌てず、間をしっかり取って優雅にスケール大きく音楽。力強い音楽に力みなど微塵も感じさせぬピアノ、やがてクライマックスに向けて熱を帯びて走りだします。落ち着いて細部に拘泥する管弦楽、とてつもなく大きな音楽を聴いた、そんな印象。(12:09)

 50分を超える協奏曲のフィル・アップは劇音楽「真夏の夜の夢」序曲。メルヘンにウキウキするようなステキな作品に、チェリビダッケってどうなの?そんな疑念を振り払うように、噛み締めるようにリズムはしっかり、意外なほど軽快に躍動する楽しい世界を作っておりました。(13:27)

(2020年8月15日)

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written by wabisuke hayashi