Brahms ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品54
(フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー/フィッシャー(p))
Brahms
ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品54
フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー/フィッシャー(p)
HISTORY 20.3135-302 1942年録音 10枚組3,000円で購入
HISTORY 20.3171-306 でもダブってしまいました。大昔、FMでご丁寧にエア・チェックしたこともあるから馴染みの音源です。もう一枚くらい、ヒョッコリ棚から出てくるかも知れんな。嗚呼、いかんいかん。もの凄く有名な録音で、豪華巨匠の組み合わせ、もうこんなん聴かんでも新しいのんあるでしょうに。
これ、例のソヴィエット軍が持ち帰った録音でしたっけ。ま、目の覚めるような優秀録音、んなはずないが、これは聴きやすいほうの音です。少々足りないワタシの脳味噌で想像しても「ん、あんな音でしょ、きっと」〜その通りの音楽が流れてくるから意外性がない。まったく立派、圧倒的重量感と、燃えるような情熱と、うねるような浪漫に充ちた演奏でしたな。こりゃ。
このベルリン・フィルがね、ドイツ・ローカルの音なんですよ。ほの暗くて、重心がグッと低くて、管楽器の音色が曇っているんです。ついさっき、ブーレーズとの1993年のライヴを楽しんだばかりだけれど、「クープランの墓」の冒頭、オーボエがクルクルと旋律を軽やかに奏でるでしょ?ものすごくセクシー、濡れたような甘さがあって、あれがワタシが馴染んでいる音なんですよ。(馴染んでいる〜なんちゃって録音だけのお付き合いに決まっているが)
戦前のホルンはなに?この重苦しさ、泥臭さ。弦の泣きはたまりまへん。現代のも好きだけど、もっとひとつひとつの旋律に入魂で、初めのうち「そろそろご遠慮しようかしら」なんてそわそわしているウチに、やれ音質がどうのこうのとかキレイさっぱり忘れ去って、テンポの悠然たる”揺れ”に合わせて自らも揺れていることに気付いて愕然としちゃう。
フィッシャーのピアノはとてもリリカルで美しい。この曲、なんとはなしにバックハウスのイメージ(ワタシは1939年のベーム盤しか知らんが)があるけれど、こちらのピアノはもっとクールで、音色がとても可憐。あまり重々しく弾いちゃうと終楽章辺りで食傷気味になるから、終楽章は軽やかに弾いて欲しかったんですよ。軽妙じゃないけど、明るい世界が感じられて、救われます。
この曲は、むさ苦しいドイツのヒゲ爺さんが、イタリアの明るい光に憧れている曲だそう。さて、演奏はどこに焦点を当てていただきましょうか。「むさ苦しいドイツのヒゲ爺さん」〜勘弁してよ、「イタリアの明るい光」〜ポリーニ?いいじゃない?「憧れ」〜これでしょ?やっぱり。だから、若い女性のピアニストなんか、きっと似合うと思うんですよ。(最近、レヒナーの文書にメールもらっちゃったので、嬉しい)
でも、作曲したのはやっぱ「むさ苦しいドイツのヒゲ爺さん」だし、ピアノ付きの交響曲構想らしいから、オーケストラはちゃんとしていないとね。我らがフルトヴェングラーさんは凄いでっせ。「もう、いや!やめて」なんて思いつつ、いつしか上四方固め状態。「Brahms の音はこうじゃけんのう」なんて説得されて、フィッシャーも相当燃えているが、あくまで節度は失わない。
・・・・・・・と、久々聴いたら、先入観よりずっと美しい演奏でした、とさ。(2002年6月28日)
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