Ravel /Debussy(シルヴェストリ/パリ音楽院管弦楽団)


Ravel /Debussy(シルヴェストリ) Ravel

ボレロ

Debussy

牧神の午後へ前奏曲
夜想曲
交響的素描「海」

コンスタンティン・シルヴェストリ/パリ音楽院管弦楽団

D Classics BX707522 1950年代のモノラル録音  10枚組4,980円で購入

 これ2001年の4月に東京で購入したものだけれど、8月に同じお店に行ったらかなりの量が売れ残っておりました。人気ないんでしょうねぇ。そういえば、サイト上でもあまり話題にもなっていない感じ。個人的には「シェエラザード」とDvora'kの第8番がダブってしまって、心理的に「あとまわし」になりがちなんです。この度、「シェエラザード」はプレゼントしたので、気分も一段落して聴き始めました。

 シルヴェストリは1969年に56歳の若さで亡くなったルーマニアの指揮者。日本にも1964年に来日してNHK交響楽団を振ったそうだけれど、欧米での高い(かった)評価に反して、人気があるとは言い難い存在でしょう。最近珍しくなった爆演系で、お上品とは言いかねるアクの強さが身上なんです。この10枚組は、選曲も演奏もおもしろいので買ってみて損はない。(でも、「新世界」とチャイコの第4・5・6番、「幻想」が抜けているのが気に食わないが)

 このフランスものの録音自体が、意表を突いた存在だと思います。パリでは録音が数枚存在する(「新世界」はフランス国立放送管)ので、人気があったんでしょう。当時、パリ音楽院はクリュイタンスの時代でしょう?シルヴェストリは「小粋なフランスもの」とはイメージが合わないし、そもそもモノラル録音だから、こうしてCD復刻してくれるだけで感謝しないと罰が当たるほど貴重。(なぜ、小粋なデルヴォー/コロンヌの録音が復活しないのか?*やがて無事復活しました。)音質的には、まったく問題なくて(EMIにしては珍しく)安心して聴けます。

 定番のDebussy3曲+ボレロという盛りだくさんの収録で、予想外に繊細で気持ちの良い演奏でした。先入観はいけないが、無遠慮で荒々しく暴走する演奏を期待した人には残念賞かも。これは結果論だけれど、フランスのオケってコシがなくてカルく明るい響き、ラフなアンサンブル、アンニュイな雰囲気・・・なんて想像しがちですが、シルヴェストリの剛直かつ強引な指揮ぶりと、うまくかみ合ったような印象有。

 オケの技量、指揮者のセンスがモロに出てしまう、超難曲「ボレロ」。とことん雰囲気で聴かせてしまう(ズルい)アンセルメも好きだけれど、ここではシルヴェストリの明快〜というのとは少々異なるが〜リズム感が骨太でメリハリが明快、か?〜な指揮ぶりが、ツボにはまっていて、聴き応え充分。オケの一人ひとりがじつに上手くて、しかも響きに色気を感じさせます。小太鼓の微妙なニュアンスの変化、熱の加わりかたも興味深く、手応え充分。

 で、ラストの盛り上がりはシルヴェストリ節全快で、(いままでガマンしてたんや、とばかりに)金管絶叫が満を持して登場。ひさびさに「これぞボレロ」といった熱狂を感じました。

 「牧神」は、予想(無遠慮、大爆発、大勘違い?!)をおおいに裏切って、大掴みではあるが推進力も清潔感もある演奏でした。「夜想曲」には、ワタシはパレーの明快骨太+はっとするくらい新鮮演奏+録音の先入観があるが、これもそう見劣りしない高水準でしたよ。細部への配慮と、全体像の明らかなこと、祭りのリズム感、シレーヌの女声合唱(演奏団体のクレジットなし)も文句なし。  

 有名な「海」にしても、オケと指揮者、両者の個性が出ていて興味深い。全体の響きは清潔で、ズルリと重く引きずったり、濃い色は付きすぎない。フレーシングは無粋にならない程度に明快で、アンサンブルには余裕を感じます。ところが「海の夜明けから正午まで」のラスト、少々明るすぎでヴィヴラートのきついトランペットを、思いっきり強奏させるのがシルヴェストリの真骨頂。

 「海の戯れ」中間部、テンポを加速させてアツく煽るのも個性的です。「風と海の対話」の最初のほう、トランペットが頑張るが、響きが薄いのはフランスのオケらしくてニヤリ。荒馬・ボーンマス響ではないので、混沌とした濁りの渦にはならないものの、金管が大活躍するのはいかにもこの人らしい。(2001年9月1日)


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written by wabisuke hayashi