Bizet 劇音楽「アルルの女」第1/2番/序曲「祖国」/交響曲ハ長調
(アンドレ・クリュイタンス/フランス国立放送管弦楽団)


Testament SBT7247/CD2 Bizet

劇音楽「アルルの女」組曲
第1番「前奏曲」/「メヌエット」/「アダージェット」/「カリヨン」
第2番(Ernest Guiraud編)「パストラール」/「間奏曲」/「メヌエット」/「ファランドール」
フェルナン・デュフレーヌ(fl)、マルセル・ミュール(sax)
序曲「祖国」作品19
交響曲ハ長調

アンドレ・クリュイタンス/フランス国立放送管弦楽団

Testament SBT7247/CD2  1953年録音

 アンドレ・クリュイタンス(1905-1967)仏蘭西音楽7枚組は音質ちょっぴり古びて、もうエエかな?オークションに出したけれど、日本では人気あるはずなのに数ヶ月、とうとう入札はなし。安くしたんだけどなぁ、この際気持ちを入れ替えてしっかり拝聴しましょう。そんな決意を固めました。ここ最近、音質状態のよろしいものばかり、耳あたりの良いものばかり拝聴しておりました。先人の偉業にしっかり、集中するのもの大切なことでしょう。

 「アルルの女」なんて〜通俗名曲(なんて失礼な表現!)求めてCD購入しまへんで。棚中在庫探ったらトマス・ビーチャム(1959年)、ユージン・オーマンディ(1958年)出てきました。音楽生活も幾数十年、すっかり謙虚さを失ってコ難しい音楽ばかり、求めて聴くようになっておりました。もっと謙虚に、真摯に音楽と向き合わないと。それに往年の仏蘭西の名手、フェルナン・デュフレーヌ(fl)、マルセル・ミュール(sax)の音色も確認したかったところ。

 最近若手指揮者の録音機会は少ないんだろうなぁ、きっと。子供の頃から馴染んだ作品旋律、最近の若い人はどうなんでしょう。もともと劇付随音楽だったらしく、原曲は意外とオモロくなかったりする(編成が小さい。劇主体だから音楽の流れはよろしくない?)・・・組曲は曲順も含め、ようできておりますよ。第1組曲「前奏曲」から決然勇壮荘厳な入場行進曲風(弦)であり、それを優しく管楽器が受け止め、同じ旋律を繰り返してわかりやすい。バソンの鼻声、そして優雅なミュールのサックス早速登場して、甘くセクシーな音色に魅了されます。「メヌエット」の切ないリズム感も悲劇的〜やがて明るく歯切れのよいフルート登場。「アダージョ」のとろり甘美、静謐な弦の調べも絶品です。「カリヨン」って鐘のことだけど、楽器編成に鐘は入っておりません。ノーミソ中には鐘が鳴り響いて、それはホルンを先頭に刻むリズムから連想されるもの。

 第2組曲は「メヌエット」(フルートとハープ)が一番人気だけど、これはGuiraudが勝手に歌劇「美しきパースの娘」より引用したらしい。「パストラール」はゆったりとした風情に木管群が、これ以上ない!ほどの切ない合いの手を入れております。「インテルメッツォ」はアルト・サキソフォーン大活躍!「メヌエット」に於けるフルートは清潔、典雅な風情は最高!十数年ぶりじゃないか、ちゃんと聴いたのは。バソンの合いの手も絶妙であります。「ファランドール」は昔から大好き、それは歌劇「カルメン」の終楽章に登場する(版もある)から。目眩く快速、激しい民族舞踊を連想させます。

 これでもっと鮮明な音質だったらなぁ。でも、けっこう興奮して拝聴いたしました。

 序曲「祖国」作品19は未完のオペラのために作曲されたものらしい。かなり勇壮な、小太鼓のキレも激しい躍動作品。交響曲ハ長調は爽やか、古典的風情を湛えた素直な音楽。初演は作曲者の死後1935年、作品完成の80年後とのこと。もったいない。つまり作品の真髄が理解されたのは20世紀に入ってからだったんですね。明るいホルン(ヴィヴラート有)、薄っぺらいオーボエ、いかにもお仏蘭西風情満載のサウンドであります。快活に歯切れよく躍動する第1楽章「Allegro vivo」、遠い木霊のように静謐な第2楽章「Adagio」〜オーボエのソロが泣かせます。第3楽章「Scherzo. Allegro vivace」は昔懐かしいニュース音楽のテーマソング(作曲者にはなんの関係もなし)、終楽章「Allegro vivace」は無窮動風忙しい雰囲気たっぷり、細かい音型が颯爽と鳴り響きます。

 クリュイタンスはオケの個性を活かして上品、そして構成感抜群の仕上げでした。これで、もうちょっと音質改善されたら、というのが贅沢な希望也。劣悪じゃないけど。

written by wabisuke hayashi