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ビニールスリーブ礼賛


 ご常連「香港のKさま」よりご投稿いただきました。先日ワタシが更新した「ビニールケース反対!」への大反論でした。ワタシは「異論反論大歓迎!」「意見の多様性こそ民主主義の華」と考える者なので、たいへん嬉しく思います。


今日の主題はビニールスリーブ(ケースではありませんよ)礼賛です。 御説に対する反論というか、愛用者としての中年の主張です。

ビニールスリーブの利点の一つは、もちろん省スペースですが、もう一つ利点はCD の分類・整理・収納が容易であるという点にあります。

ビニールスリーブにもいくつか製品があるようですが、私のみるところ、Case Logic社のProSleeveという製品に止めをさすと言ってよいでしょう。これの特徴は CDのタイトルを収納するポケットが上部についているために、スリーブにCDを収納 した後のタイトルの検索が容易であること、また、CDの中央部の穴に指をかけやす いように、U字型のスリーブになっているため、出し入れが簡単であるということ、 この二つをあげることができるでしょう。

使用するようになって7年ほどになりますが、スリーブそのものの破損、またCDの破 損も一切ありません。初期のものは、CDが1枚しか収納できませんでしたが、現在の ものは裏表が使えて、2枚の収納が可能です。香港での値段は150枚でHK$200。いま の換算率で2,711円です。

さて、スリーブに収められたCDは箱に入れられて分類・整理されます。私はIkeaの BRANAというCD収納箱を使っています。幅13cm、高さ15cm、奥行き40cmの箱です。通 常のジュエルケースですと、37枚しか収納できませんが、ビニールスリーブを使用 すると、160枚程度までは収納が可能です。例えば、幅80cm、奥行き40cm、高さ 180cm、棚板10枚の棚があれば、きちきちですと、この箱が60個収納できます。詰め 込み効率を85%として計算すると、約8,000枚の収納が可能です。

ついで、私の分類・整理の方法をご紹介しましょう。

私の場合は、先ず作曲家名のアルベットの頭文字で箱を分けています。BやSのよう に有名作曲家が沢山いる文字の場合は人箱では足りないこともあるでしょうから、 その場合はB1、B2といった具合に箱を分けて行きます。また、複数の文字を統合し て1箱にすることもあります。私の場合は例えばIとJを一緒にしたりしています。 個々の箱の中は、作曲家名のアルファベット順で先ず収納し、さらにジャンル、演 奏家名の順番で並べておけば、あとでお目当てのCDを取り出すときに迷うことがあ りません。

また、作曲家によっては、それだけで、1箱もしくはそれ以上のスペースを必要と することもあるでしょう。その場合は箱を独立させた方が整理が容易です。作曲家 についても、例えば、二人で1箱、三人で1箱というやりかたもあるでしょう。

作曲家で分類しにくいもの、オムニバスものや、リサイタル盤などは、ジャンル 別、演奏家順で収納します。たとえば、器楽・室内楽なんていう箱を作ったとしま しょう。その場合は、楽器のアルファベットの順番、ついで演奏家の名前の順番で す。

二人の作曲家の曲がカプリングされているCDの場合は、メインと思われるもの、例 えばチャイコフスキーの交響曲にグリンカの序曲がついているような場合は、当然 チャイコフスキーを優先します。そうでない場合、例えばチャイコフスキーとシベ リウスのヴァイオリン協奏曲がカプリングされているような場合は、どちらの曲 (または作曲家)が自分にとってより重要かを基準とします。

個々の箱には、目一杯CDを詰め込まずに、総スペースの10%から20%を遊びとして開 けておけば、新たにCDを購入したときに、しかるべき場所に挿入することができま す。(いわずもがなか?)目一杯になってきたら、箱を増やして行けばよいので す。並べ替えも箱を動かすだけですから、大した手間ではありません。

先にも申しましたが、スリーブの上部にCDのタイトルを挿入できますので、CDを箱 から取り出すときは、昔の図書館の図書カードを検索する要領ですね。また、通常 のケースのように厚みがありませんから、取り出すときも指でつまんで簡単に引き 出せます。

在来型のケースの場合、爪とヒンジの周辺が破損しやすく、またリーフレットが取 り出しにくいという欠点がありますが、ビニールスリーブの場合、リーフレットの 出し入れもスムーズですよ。ビニールは結構伸縮性があるので、結構分厚い解説も 挿入できます。無理をすると破れますので、あくまで程度の問題ですが、通常のCD ケースに挿入されているリーフレットであれば問題はありません。

もちろん、問題が無いわけではありません。先ず、中古店に売るときには問題が生 じるでしょうね。少なくとも、値は下がります。また、私はスリーブに収納するの は、かならず一度、全部を聞いた上で行います(あくまで原則で、旅先などでは荷 物を少なくするために聴かずに収納してしまうこともあります)。傷などの問題が あった場合に返品して貰えないおそれがあります。

さて、安っぽいというご意見ですが、それは好みの問題もありましょうが、私とし てはとくに否定するとことではありません。ただ、CDそのもがそもそも安っぽいも のだと思いますし、事実最近は安くなってしまいましたよね。私としては、気楽に 音楽を楽しむための道具としての、CDですから、それを気楽に楽しみやすくするた めに、こういうことをやっているということです。

さて、ここまで書いてしまったので、もうひとつ林さんのお嫌いな話を致しましょ う。CDの情報を管理するためのデータベースソフトです。

TDWareというところ の、ClassCatという製品を使っています。信じる信じないはともかくとして、これ は結構はまります。それが証拠に私の場合、手持ちのCD4,800枚すべての情報を入れ てあります。

入力は簡単。CDのレーベル、番号、タイトル、収納してある作曲家、 曲、曲ごとの録音場所、年、トラックごとの演奏時間、演奏家、といった情報を簡 単に入力できます。例えば、マーラーの交響曲なんかのCDだったら、2分もあれば十 分ですね。歌曲のCDのように20曲も入っているような場合はさすがに2分というわけ にはいきません。5,6分はかかるかな。入力が簡単なのは、作曲家、曲、演奏家、と いった情報をマスターファイルに予め登録しておくことができるからです。

さら に、同社のサイトからこの種の情報をダウンロードできるので、有名なところは自 分で入力する必要がありません。もちろん、マスター上に存在していないデータは CD情報入力時に随時更新できますし、それも極めて簡単にできます。

このソフトの面白さは、先ず入力そのものにあります。それが、半分くらいでしょ うか。演奏家のデータは膨大なので、マスターに入っていないケースがよくありま す。その場合、新規の演奏家として登録処理をしますが、その時に生年月日、場 所、没年月日、場所、国籍などといったデータも入れることができます。それがわ からないと、なんとなく落ち着かないものです。

そこで、私はGroveとBaker'sの事 典を大枚払って購入して、調べることにしたのですが、これが面白い。なるほど、 この人はだれそれのお弟子さんだった、などということもわかるし、あるいは私に とっては初めて耳にする名前でも、知られた人だったのだなんてこともわかりま す。

次に、データの検索をしてみると、自分の好みというか、趣味趣向を客観的に把握 できて面白いですね。時折、眺めていると面白いものです。あれ、こんなCD持って たんだとかね。

実用上、役に立つのはただ一つ。ネットでCDを注文する時に、ダブリ買いを避ける ことができる。これだけです。強いていえば、もう二つ。音楽好きの友人が来たと きなどは、それで聞きたいCDを選んでもらいます。もう一つは、例えば、だれそれ が演奏した何とかがあったはずだけれど、ない、というときに、これで検索して、あ あ、カプリングかかくかくなので、別の箱に入っているなんてことはわかる。めっ たにないですがね。

実用上という観点からすれば、不要です。ただ、はまれば面白いし、結構はまって いる人はいるようです。値段もUS$50ほどですので、試してみても悪くはないでしょ う。

以上。(2004年2月14日)


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written by wabisuke hayashi