Berwald 交響曲第1番ト短調「厳粛な」/交響曲第2番ニ長調「気紛れな」
(オッコ・カム/ヘルシンボリ交響楽団)


NAXOS 8.553051 Berwald

歌劇「エストレラ・デ・ソリラ」序曲
交響曲第1番ト短調「厳粛な(セリューズ)
交響曲第2番ニ長調「気紛れな」

オッコ・カム/ヘルシンボリ交響楽団

NAXOS 8.553051 1995年録音

 以下は16年前のコメント。世代的にFranz Schubert(1797ー1828墺太利)と同時代の作曲家、ここ最近北欧方面の録音が増えて、再評価もされているようです。Okko Kamu(1946ー芬蘭)は地元中心に活躍して既にヴェテランの域、この録音時期ヘルシンボリ交響楽団の首席でした。Franz Berwald(1796ー1868瑞典)はお国ものになります。その後この作曲家をほとんど聴いていなかったのは、ノーミソ中でCarl Nielsen(1865ー1931丁抹)とごっちゃになっていたため、情けない。時代も全然違う人じゃないの、気分を取り直して久々に拝聴いたしました。浪漫派の管弦楽作品は一般に苦手としておりました。この辺りの旋律も未だ身に付いておりません。

 歌劇「エストレラ・デ・ソリラ」序曲は風雲急を告げる劇的、ある時は優しくメリハリのある音楽。以前はMendelssohnに似て、そう書いたけれどもっと素朴に闊達な風情はWeber(1786ー1826独逸)やSchubert、同時代の響きでしょう。ヘルシンボリ交響楽団は素朴に誠実軽快な響き、勢いもありました。(8:09)

 交響曲第1番ト短調「厳粛な(セリューズ)は2管編成。第1楽章「Allegro con energia」は生真面目な風情に緊張感と哀切の響きに優しく、端正に歌うもの。あまり編成は大きくないと類推されるオケは、素朴なサウンドが似合います。金管の炸裂はなかなかカコ良いところ。先の「序曲」と同じ素材が使われているとの情報もあったけれど、テンポ設定やらメリハリが違うのであまりそうは感じません。(11:26)第2楽章「Adagio maestoso」はゆったりと優雅なヘ長調の緩徐楽章。ここも生真面目端正なスタイルが誠実でした。金管の響きが素朴、途中の盛り上がりはちょいと型通りな感じ。(6:42)第3楽章「Stretto」はScherzoに非ず、いっそうの緊張感を求めての意味合いでしょう。弦による哀愁の細かい音形が静かに、魅惑的に落ち着かない。ファゴットやホルンの合いの手がなかなか難しそうで、美しいところ。(5:14)アタッカで第4楽章「Finale.Adagio-Allegro molto 」へ。各楽章の主題が再帰して、金管が大活躍。その響きは牧歌的であり、弦は少々薄く感じます。やがてテンポと緊張感を増しつつ、ト短調→ト長調へラスト、ホルンの一撃にて終了。(8:21)

 交響曲第2番ニ長調「気紛れな」の自筆譜は散逸してしまって、後年の再構成とのこと。これも2管編成、ちょうどそんな時代ですよ。第1楽章「Allegro」は第1番ト短調よりずっと自在に、三拍子リズムの変化と色彩に富んで、作品的にはずっとこちらが好き。弦の悠々とした歌にトランペットの楔も決まっております。(11:48)第2楽章「Andante」は静謐に瞑想的な緩徐楽章。Beethovenの交響曲第9番ニ短調第3楽章「Adagio molto e cantabile」を連想させる開始、やがてゆったりとした三拍子舞曲の中間部に入って、ここもなかなか可憐、そして力強い金管の爆発もやってきて・・・冒頭の瞑想に戻ります。(8:42) 第3楽章「Finale.Allegro assai」(11:06)冒頭は軽妙なるScherzo風、それがやがて快速に成長して実質上の4楽章制なのでしょう。前作品よりずっと上機嫌に明るく、旋律リズムもたっぷりユーモラス、愉しい動きがありました。ちょいと型通りのフィナーレは時代なのでしょう。

(2022年6月4日)

 とにかく珍しい音楽、名前の通っていない演奏家、そんななかから新しい魅力を見つける努力をしないと「MUSIC LIFE」はマンネリになります。音楽の授業で聴いたことがあるような名前ばかり、メジャー・レーベルにごっそり録音があるような演奏家ばかり追いかけてもつまらない。19世紀スウェーデンの作曲家Berwald (ベールヴァルトって読むのか?整形外科の先生だったんですね)の作品、1973年第1回カラヤン・コンクール優勝で華々しいデビューを飾ったが、自国に帰って活動を続けているカム(日本でもおなじみ)の演奏や如何に。

 ・・・って、このCD出てすぐ買っているんです。ヘルシンボリ響というのも、いかにも地方オケらしい名前でワタシ好みだけど、忘れてました。既に数年前、あまり著名とは言えない室内楽の方を更新しておりました。

 歌劇「エストレラ・デ・ソリラ(ソリアのエストレッラ)」は1841年作曲、初演は大成功だった、ドイツ語のテキストを用いて書かれた・・・って、なんの説明にもなっていない。(最近、演奏されたことあるんだろうか)古典的佇まいを感じさせる”やや悲劇的”序曲でして、Mendelssohn のテイストたっぷりか。変化の少ない短調の「真夏の夜の夢」序曲方面・・・そんな印象ですね。つまり、現代の演奏会に取り上げられてもおかしくはない、それなりの佳曲であります。

 交響曲に入りました。第1番ト短調は1842年の作〜これもMendelssohn の快活な雰囲気(初期浪漫派か)たっぷり。演奏は”土曜の昼頃、なにげなくFMラジオをつけたら日本の地方オケのライヴやってました”的、あまり鳴らない(とくに弦)が誠実なアンサンブル、残響は不足気味・・・4楽章全30分オーソドックスな交響曲であります。第3楽章「ストレッタ」の柔和でもの哀しい旋律(木管の絡み合い)・軽快なリズムが魅力的、最終楽章は劇的に予定調和的に盛り上がるのではなく、あちこち不安げなる表情を覗かせながらお話はいつまでも続く〜名残惜しく全曲を閉じました。

 交響曲第2番ニ長調「気紛れな」は緩急緩3楽章で構成される、(これも30分ほど、1842年の作)明るい作品。交響曲第3番「風変わりな(サンギュリエール)」が知名度(相対的に)高いらしいが、ワタシはこの「気まぐれな」交響曲がとても気に入りました。細かくハズむような第1楽章のリズム(尻切れトンボ的な印象は演奏故か?)、第2楽章「アンダンテ」はシミジミと安寧であり、中間部の古風典雅な舞曲風旋律も魅力的。

 上機嫌軽快なる最終楽章。そっと囁くような繊細なる音形が、やがて勢いづいてやがて大爆発!・・・するかと思えばそうでもない。その控えめ微妙なる隔靴掻痒感がBerwald の持ち味か。金管がコラール風旋律をやがて大きく発展!・・・させないのも個性か。やがてスピードを上げ、それなりに盛り上げて全曲終了・・・ということでもなく、行きつ戻りつ終わっていく、まさしく「気紛れな」交響曲か。予定調和は許さんよ、的名作。

 演奏的には少々アンサンブルに集中力を欠き、洗練された響きと、リズムにもう少し溌剌感が欲しいところ。ヤルヴィ辺りが有名なんだろうが、知名度劣る名作品の普及のため、廉価にCD供給してくださるNAXOSの姿勢には満腔の敬意を表しておきます。有名作品ばかりでなく、音楽の見聞を広げる努力が必要です。

(2006年2月23日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi