Beethoven 弦楽四重奏のための前奏曲とフーガ ヘ長調 Hess30/ハ長調 Hess31/
弦楽四重奏曲第1番ヘ長調(初稿) Hess32他


Cascade 02200_10  87枚組7,813円にて購入 Beethoven

弦楽四重奏のための前奏曲とフーガ ヘ長調 Hess30/ハ長調 Hess31
弦楽四重奏曲第1番ヘ長調(初稿) Hess32
フーガ 変ロ長調 Hess36(Handel の「ソロモン」序曲による)

パオロ・ボルチアーニ弦楽四重奏団

弦楽四重奏 ヘ長調 Hess34(ピアノ・ソナタ第9番ホ長調の編曲)

コダーイ弦楽四重奏団

Cascade 02200_52 87枚組7,813円にて購入

 苦手と公言して憚らない不遜なワタシでもBeethoven への畏敬の念はちゃんとあります。巨大87枚全集(か、どうかは厳密には知らないが)をぼちぼち、ゆっくりと聴き進めております。この一枚はすべて”Hess”番号のもので旧全集に含まれなかった作品を別途まとめた人の名前とのこと。パオロ・ボルチアーニって、イタリア弦楽四重奏団の第1ヴァイオリニストでしたよね。彼に敬意を表した団体名なのでしょう。録音年不明。ちょっと金属的な残響が気になる音質。イタリアのレーベルからのライセンスだそうです。ご存じコダーイ弦楽四重奏団はNAXOS音源となります。(こちらはぐっとマイルドなサウンド/演奏技量印象もあるのかも)

 弦楽四重奏のための前奏曲とフーガ ヘ長調 Hess30(約9分)/ハ長調 Hess31(約5分ほど)は(フーガ 変ロ長調と併せ)いかにもバロック風(ほとんどBach だ)のテイストであり、静謐で繊細、痺れるような美しい旋律(前奏曲)が展開されます。いずれも1794-95年の作品と類推されるもの。24-5歳の作品か。こんな若い頃からメロディ・メーカーだったんですね、Beeやんも。フーガは溌剌として、やがて優雅な暗転もあって盛り上がります。(以上ヘ長調 Hess30)ハ長調 Hess31はスケール大きな雄弁を誇って、こちらも名曲と呼ぶに吝かではない。(このCD表記は「前奏曲」と「フーガ」が逆になっております)

 弦楽四重奏曲第1番ヘ長調は、まず確定稿(作品18-1)をちゃんと聴かないとあかんね。この全集中50枚目コダーイ弦楽四重奏の演奏が収録されております。閑話休題(それはさておき)、夢見るような躍動に溢れた第1楽章「アレグロ」で開始され、暗鬱なる第2楽章「アダージョ」は荘厳なる葬送をイメージさせます。第3楽章「スケルツォ」はリズムこそ違え第1楽章によく似たテイストであり、晴れやかな表情の終楽章へとなだれ込みます。楽しいなぁ、確定稿とどこがどう違うんだろう?そのうち調査いたします。ネットで検索しても解説が見あたらない。

 パオロ・ボルチアーニ弦楽四重奏団はややツメの甘い若い団体のようで、リズムのキレやら響きの洗練は、もうちょっとだけ欲しいところ。ま、ワタシに室内楽の細かいことを訊かれてもわかりまへん。数を聴いていないので。

 弦楽四重奏 ヘ長調 Hess34は躍動する旋律とリズムがヴィヴィッドであって、驚異的名曲!(12分ほどの作品)と感じるのは、コダーイ弦楽四重奏団の演奏力量もあるのでしょう。ノリノリの勢いに余裕さえ感じさせて、パオロ・ボルチアーニ弦楽四重奏団の演奏技量とはかなりの差がありました。喜びと若さが吹き上がるような第1楽章「アレグロ」、一転、淡々とほの暗い第2楽章「アレグレット」は陰影豊かな世界であり、終楽章はご機嫌が戻って快活であります。

 ここから番外編。原曲である、ピアノ・ソナタ第9番ホ長調 作品14-1って、こんな名曲だったの?再確認するつもりで件の巨大87枚全集をを確認すると・・・ない。収録漏れか(絶句)。仕方がないので、全集所有しているアンネ・エランド盤全集(1999年)にて比較確認。解釈によるかもしれないが、ピアノ版の方がぐっと落ち着いた、しっとりとした味わいです。どちらも魅力たっぷりだ。

(2009年10月23日)
【追加】ソナタ第9番が含まれない!と嘆いていたけれど、ついに発見。85枚目には「Biamonti」「Hess」「WoO」「作品番号なし」の珍曲ばかり揃えているんだけれど、そこにひっそり「作品14の1」(ダニエラ・ルソ(p))含まれておりました。(2009年12月10日)


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written by wabisuke hayashi